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「寿司ワイン」と「お好み焼ワイン」の開発裏話

国分グループ本社マーケティング開発部の網島 隆さんが語る

“こなもん”で行こう

2013年には鍋料理に合うワインを選びまして、2014年は「“こなもん”で行こうか」という話になりました。

展示会でお会いしたお好み焼屋の社長さんと立ち話をしたら、「ほとんどのお客さんが飲まれるのはビール、酎ハイ、焼酎。ワインをもっと売って、女性客を呼びたい」との思いを伝えていただいた。最初は、ただお好み焼に合うワインを探すつもりだった。

ですが「寿司ワイン」がすでにあり、第2弾で「なんか作ってみようか」と盛り上がりました。

お好み焼って、くくりとしては粉を使ったこなもんなのに、実際はそんなに小麦粉を使ってない。

パスタやうどん、ラーメン、ピザなら、「モチモチとした食感で粉の味がする」なんてコメント。でも、お好み焼は「生地がふんわりと柔らかい」「出汁と具の味が出てた」と、粉自体の味のコメントは出ない。つなぎは卵や山芋だったり、広島では野菜炒めをクレープで閉じたようなものだったり。

食べ歩くうち、「見た目はこなもんでも、あんまり粉にこだわるとワイン造りは失敗するな」と気づきました。

お好み焼ワイン
●生産国:スペイン 
●希望小売価格:1,100円

甘味、酸味、塩味、苦味、旨みがいっぱい入っているお好み焼。なら、各地のお好み焼に共通するものは? 

行きついたのが、ソースの存在です。今度はソースをずらーっと並べて食べ比べですよ。と同時に、寿司ワインを開発してくれたワイナリーの現地でも、また実際にお好み焼を食べて研究してくれていました。

ソースは結局、代表的なメーカーのおたふくソースを基準にしました。

ソースの甘味にピッタリ合わせられるよう、糖度を1度ずつ変えた赤ワイン群をサンプルで用意し、「お好み焼き活性化委員会」の協力の下、プロ10人ほどで検証しました。品種は最初、テンプラニーリョとメルローのブレンドで、香りと最初のアタックはよかった。けど、途中からのドッシリ感が欲しい。

それで、さらにカベルネ・ソーヴィニヨンを入れてもらい、濃厚さと厚みが出たところで決定。糖度とブドウ品種は、非常に重要な要素でしたね。

統計によると、お好み焼は12月から多く食べられるんです。安いキャベツが出回る時期だし、年末年始のイベントでちょっと財政難になったご家庭では、リーズナブルでパーティ感も出るお好み焼の出番が増える。

それに、これからは海外にも広がるポテンシャルがお好み焼にはあります。火が通っている料理で、具を変えれば宗教上の食材問題もクリアできる。ソースとワインとをセットにして、世界に発信していけます。「お好み焼ワイン」に続き、ピザとパスタ用のワイン「PIZZA&PASTA」も開発しまして、今のところ寿司、お好み焼、ピザ、パスタと炭水化物を抑えてきました。

次の展開ですか? 

唐揚げとかね。唐揚げ嫌いな人、あまりいてないでしょ。でも、こういうのってだいたい3つくらいで止めといたほうがいいんですよ。やりすぎてもねぇ。

僕は商品開発の責任者で、輸入洋酒の営業の責任者もしてます。商品作ったら、売らんとあかん。作るのと売るのとで部署が違う会社はよくあるけど、ここでは自分にぜんぶ降りかかってくる。

それでも、気軽、気楽にワインを楽しんでもらえるような商品開発を今後もやっていこうかな、とは考えてます。

網島 隆(あみじま・たかし)
国分グループ本社株式会社
マーケティング統括部 マーケティング開発部 開発二課長
家電販売店に勤務しながらマーケティングのノウハウを会得。著名ホテルに舞台を移して1999年までソムリエとして勤務したのち、日本市場でワインのシェアを広げる目的を担い、国分株式会社(2016年に国分グループ本社株式会社へ社名変更)に入社。

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