誤解だらけのオーストラリアワイン

オーストラリアワインが熱いらしい、と急激に思いはじめたのは、昨年(2017年)9月のこと。Wine Australia主催のオーストラリア試飲会での、大橋健一MW(マスター・オブ・ワイン)とマイク・ベニーさん(豪ワインライター)によるセミナーがきっかけだった。

そこでは「Old School, New School, Good School」をテーマに、新旧のスタイルを比較試飲した。「果実味の濃いフルボディなワイン」という昔のイメージから、「軽やかでフード・フレンドリーなワイン」にシフトしていることは、その試飲を通して感じることができた。「消費者の好みや食のトレンドに合わせてドラマチックに変わる」(大橋MW)という自由で、多様性に富んだオーストラリアワインに目を向けるようになった。

縁あってWine Australiaに招いて頂き、「オーストラリアの今」を確かめるべく、11月末にオーストラリアに飛んだ。シドニーから入り、ハンター・ヴァレー、キャンベラ、ヤラ・ヴァレーと回った後、ナチュラルワインの祭典ルートストックシドニーへ参加する、という10日間のスケジュールだった。

帰国して、いざ「オーストラリアの今」とまとめようとして奮闘したあげく気づいたのは、「まとまらない……」ということ。それもそのはず、オーストラリアは広い。ヨーロッパがすっぽり入るくらい広いのだ(今回も都市間の移動はすべて飛行機だった)。まとまらないこと、人種もワインも混沌としていろんなものが一つの文化を形成している国、それがオーストラリアだと考えるようになった。

それでもオーストラリアワインの魅力をあえて一言でいうならば、その多様性ゆえに、自分好みのワインが必ず見つかることだと思う。それも、すでに名声を築いた産地のワインよりもずっと安価で手に入る。甘口のドイツワインからワインにめざめた人が、ボルドーやブルゴーニュ、はたまたカリフォルニアや自然派等々へ……ワイン愛好家への道は数あれど、オーストラリアならエレガント系もどっしり系もファンキー系も、もちろん甘いのもどんと来い! 価格が跳ね上がってしまったブルゴーニュやボルドーのワインでお手頃のものを探すより、オーストラリアのお買い得ワインを探す方がずっと楽しく、コスパもいい。

そして一つ、気づいたことがある。日本で予習をしていたとはいえ、自分がいかにオーストラリアワインに対し、誤解や偏見を持っていたかということだ。

例えば今回訪れた産地でいえば
・ハンターヴァレー=伝統産地=面白味がなさそう
・キャンベラ=そもそもワイン造っていたっけ?
・ヤラ・ヴァレー=冷涼=ピノ・ノワール、楽しみ!
・ナチュラルワイン=オーストラリアはナチュラルワインの聖地!
他にも、
・オーストラリアはブレンド文化=テロワールはさほど重要じゃない
・気候がいい=ヴィンテージ差はあまりない
・ユニークだけど、エレガントさではいま一歩
(かなり失礼だが、関係者は怒らないでほしい)

行く先々で、これらの偏見が覆され、気づきが得られた旅だった。このレポートでは、その思い込みがどう変わったかにも焦点を当てている。

もしこのなかで一つでも当てはまる方がいたら、ぜひ読んでみてほしい。





















この記事を書いた人

水上彩
水上彩
シャンパンと日本ワインを愛するライター。ワイン愛が高じて通信業界からワイン業界に転身した。最近は、毎日着物生活をめざして「きものでワイン」の日々を送っている。ワインの国際資格WSETのDiploma取得に挑戦中。

ブログ:余韻手帖 |きものでワイン http://muse-bacchus.com/