入り口の看板には、天国への道案内

バラ色の人生

リッチーさんは、浅黒い肌にきれいに整った歯を見せながら常に笑顔をたたえ、「人生が楽しくてしょうがない!」といった調子で話し続ける。ずっとこのテンションでは疲れてしまうのではないか……そう思っていたら、試飲したワインの2本目の説明を聞いて合点がいった。「これは僕のベイビー」と愛おしそうに棚から取り出してきたワインは、「ハーク・エンジェル」。

2014年に大きなバイク事故にあい、膝の移植手術を受けたというリッチーさん。死を意識したとき、「意外と平静だったが、あれもこれもやれば良かったという後悔が次々とわいてきた」という。

「ハーク・エンジェル」はそのときにドナーとなってくれた人への感謝を込めて造ったワインで、売り上げはすべてミャンマーでの学校設立基金となる。

ちなみにリッチーさんとは最終日のイベント「ルートストック・シドニー」で再会。このときもひたすらテンションが高かった彼に、泣いたり落ち込んだりすることはないのか、と思わず聞いてしまった。不意打ちの質問にちょっと驚いたような顔をしたあと、「そんなことしているのがもったいない!」と笑い飛ばしたリッチーからは、まさに人生を謳歌しているのを示すかのように、甘いムスクの香りがしたのだった。

この記事を書いた人

水上彩
水上彩
シャンパンと日本ワインを愛するライター。ワイン愛が高じて通信業界からワイン業界に転身した。最近は、毎日着物生活をめざして「きものでワイン」の日々を送っている。ワインの国際資格WSETのDiploma取得に挑戦中。

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