一緒にワイナリーを巡った取材陣8名のうち2名が韓国のメディアだったのだが、その韓国勢にとくに評判がよかったのが、ヘルム・ワインズの「プレミアムリースリング」だった。

二人ともちゃっかりワインを購入していた。

木陰で豪華なピクニック。リースリングにサーモンやハム、フロマージュが最高に合う。


キャンベラ一のリースリングといえば

ヘルム・ワインズは1973年創業の、キャンベラでは最も古いワイナリーのひとつ。リースリングとカベルネ・ソーヴィニヨンは世界的に評価が高い。創設者のケン・ヘルムさんは19世紀後半に入植したドイツ系移民の子孫にあたる。「キャンベラ インターナショナルリースリングチャレンジ」という品評会の議長を長年つとめるだけあり、リースリングが看板商品だ。

キャンベラ地区を案内してくれたドライバーの女性が「彼はワイン造りもすごいけど、偉大なストーリーテラーだからね」といったとおりの話好きの方で、話し出すともう止まらない。

「ただひたすらぶどうを監督するのが仕事」というヘルム・ワインズの創設者ケン・ヘルムさん


新興産地といえるキャンベラ。多様な品種を実験的に植えるワイナリーも多い中で、ケンさんはリースリングとカベルネ・ソーヴィニヨンに特化している。「ほかの品種で気晴らしする必要なんてない。たとえばロゼなんていうのは、“うっかり間違って赤ワインと白ワインが混ざってできたもの”と誰かも言ってたな」と皮肉っぽく笑う。

ちょっぴりクセがありそうだ。

時計職人のようなワイン造り

彼のワイン造りは時計職人のように正確で、無駄がない。

アロマが命のリースリングでは、温度管理に細心の注意を払い、余計な介入はせず、ただひたすらぶどうを監督する。シーズン中は基本的には面会謝絶。ワイナリーで寝泊まりすることもある。「酵母でワインが汚染される可能性がある」とワイン造りの最中にはビールも一切飲まない。「1リットルのワインは5ガロンのビールで造られる」というほどビールをよく飲むオーストラリア人が見たら、目を剥くに違いない。

テイスティングルームは元小学校の建物

説明を聞いていると、ケンさんが先生に見えてきた


極めつけは、ワインを運搬する箱。通常は1ケース12本だが、ここでは10本。理由を聞くと「ひとつは職業上の健康と安全の向上のため(12本入より軽いので)。あとは、サイズの問題だね。片腕で持ち運べるし、車の座席や飛行機の頭上の荷物入れにもすっぽり入るよ」とにやり。これには皆、感心した。

すぐに取り出せるよう、バックヴィンテージのワインも整理整頓されていた

この記事を書いた人

水上彩
水上彩
シャンパンと日本ワインを愛するライター。ワイン愛が高じて通信業界からワイン業界に転身した。最近は、毎日着物生活をめざして「きものでワイン」の日々を送っている。ワインの国際資格WSETのDiploma取得に挑戦中。

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