02 Soalheiro(ソアリェイロ)
アルバリーニョのパイオニア
メルガッソ村にあるソアリェイロは、アルバリーニョのパイオニアにして、そのワインの質の高さで知られる生産者だ。
ミーニョ川中流域が原産地とされるアルバリーニョは、日本ではスペインはリアス・バイシャスの品種として知られる。その中流域に位置するサブリージョン、モンサン・メルガッソは大西洋の影響が限定的で降水量が他地区より少なく日射量に恵まれ、アルバリーニョの適地として今や注目の的だ。
ジョアン・アントニオ・セルディラは他に先駆け1974年、対岸にリアス・バイシャスのブドウ畑を望むミーニョ川沿いの日当たりのよい花崗岩土壌の畑にアルバリーニョを植え、1982年に「ソアリェイロ」(「日当たりの良い」という意味)の名でアルバリーニョ単一品種のヴィーニョ・ヴェルデを世に出した。
それは「微発泡の若飲みワイン」というヴィーニョ・ヴェルデの概念を覆すワインだった。一般にヴィーニョ・ヴェルデは果実や花の香りをもつ軽いワインだが、ソアリェイロは違う。発泡性はなく、爽快な酸を保ちながら香りにも味わいにも厚みがある。
今はジョアンの長男、アントニオ・ルイスがワインメーカーとしてソアリェイロを率いる。アントニオはよちよち歩きの頃から父の後をついてまわってワイン造りを体得、後に大学で醸造学を学んだ。
現在、働き盛りの40代後半、次々と新しいワインを造りだしている。自社畑ではほぼ全面的に有機栽培を実施し、2014年から認証取得済の有機栽培区画から一部をくるみ材の大樽で発酵させた、香りと味わいの豊かさでアルザスの上質なグラン・クリュを思わせる「テラマター」をつくる。
16年から造る「グラニット」は砂質花崗岩土壌の区画産ブドウを高めの22度で発酵させた清冽なミネラル風味をもつ、ふくよかさの中にピンと背筋が通ったワインだ。両方とも日本に輸出できるのはこれから。アルバリーニョにロウレイロをブレンドしたコスパの高い「アロ」を飲みながら待っていよう。