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ナパ・カベルネの歴史とともに生きる
ワグナー・ファミリー・オブ・ワイン

チャック・ワグナーに聞きました

ワグナー・ファミリー・オブ・ワイン

ランチには、8種類のもワグナー・ファミリーのワインがサーブされた。写真はそのうちの7種類。左から、「コナンドラム・レッド」、「ケイマス・スペシャル・セレクション・カベルネ・ソーヴィニヨン」(2010年、2008年、2014年ヴィンテージの順。2010年と2008年はマグナム)、「ケイマス・カベルネ・ソーヴィニヨン」、「メール・ソレイユ・リザーヴ・シャルドネ」、「メール・ソレイユ・シルバー・アンオークト・シャルドネ」

チャックの子どもたち

チャックは、父、チャーリーとワイン造りをはじめた。チャックのワインのスタイルは一貫しているけれど、必ずしも父親のワインをそのまま引き継いだわけではなく、ブドウ栽培、ワイン造りは、チャックの代で、チャックなりの試行錯誤があったようだ。収量を制限する、樹に果実がなっている時間をコントロールして熟度を変えるテクニックなどは、どうやら父親の代からある考え方のようだけれど、会社の規模は大きくなっているし、たとえば、樹と樹の間隔を狭め、代わりに樹一本あたりの収量は減らす、というのはチャックの発案による、より高品質なブドウ栽培のためのテクニックのようだ。

そして、チャックはいま、父親として、息子のチャーリー2世、娘のジェニーを積極的にワイン造りに参加させている。ケイマスで、ワインを格付けするテイスティングには、ふたりが参加しているそうだし、ジェニーはオークノールAVAでソーヴィニヨン・ブランとメルローをワインにする「エモロー(Emmolo)」というブランドを担当し、チャーリー2世はモントレー・カウンティのサンタ・ルシア・ハイランズに、チャックが1992年に設立した、「メール・ソレイユ(MER SOLEIL)」というワイナリーを引き継いでいる。

メール・ソレイユは、シャルドネで白ワインを造るワイナリーで、樽を使い、マロラクティック発酵をおこなう「リザーヴ」と、コンクリートタンクでノンマロラクティックの「シルヴァー」が試飲できた。いずれもマーマレードジャムをたっぷり塗ったパンのような風味を感じたけれど、種明かしをきいてしまえば、「リザーヴ」のほうでマロラクティック発酵ゆえの酸のまろやかさ、そして、樽を使っていることが、はっきりとわかる。

フランス語の海(MER)と太陽(SOLEIL)を組み合わせた「メール・ソレイユ」。名前はモントレーを特徴づける、日照と、海の寒流に由来。写真のリザーブは、フレンチオーク樽で発酵、熟成させたシャルドネ100%の白ワイン

一方灰色のボトルがユニークな「シルバー」は、コンクリートタンクをイメージしたデザイン。タンクはブルゴーニュから取り寄せたものだという

やがてこの二人が、ワグナー・ファミリーを引き継いでゆくのだろう。

「ジェニーはとても細部に敏感なワインメーカーで、これからがとても楽しみです。チャーリーのほうは、わたしよりも、もっと繊細なワインを造ります」

次世代に引き継がれれば、王者のスタイルも変わるかもしれない。

「ケイマスをはじめたころはわずか10社ほどだったナパに、いまは、400を超えるワイナリーがあります。外国の会社が、ナパに大きな投資をして、ファインワインのワイナリーを設立する、ということもあります。私が若かった頃と、状況は変わりました。だけれど、まだまだナパのワインに占めるファインワインのパーセンテージは高くない。ナパはもっと追求できる産地だと考えています」

チャックは、おおらかに、時代の流れと、それにともなう変化を好ましいもの、と捉えているようだった。

ただ、ワグナー家のワインについては、変わってゆくとしても、その変化は緩やかなものになるように感じられる。というのは、試飲に登場した、ワグナー・ファミリーのワインで、「コナンドラム(CONUNDRUM)」というワインからおもったことだ。新作のスパークリング「コナンドラム・ブラン・ド・ブラン」と、赤ワイン「コナンドラム・レッド」の2015年を試飲した。

このコナンドラムという名前は、パズル、というような意味で、ワグナー家では、夕食のときに、即席ブレンディングをして、食事にあうワインをつくる、というなんだかとても「ファミリー・オブ・ワイン」的な習慣があるそうなのだけれど、そんなワグナー家の、パズルを組み立てるようなブレンドの技を商品化したのが、このコナンドラムだという。複数の品種がブレンドされていて、かつ、そのブレンド比率は秘密なのだそうだ。出自ゆえに、フードフレンドリーで、レッドはアメリカンなハンバーガーやステーキとともに、ガブガブ飲めばきっととても楽しめそうな味だし、ブラン・ド・ブランはオーセンティックなシャンパーニュスタイルのスパークリングで、酸味とドザージュのバランスが見事。爽やかだけれど、さっぱりしすぎず、甘いけれど甘すぎない。食事に合うし、食事の前に飲めばお腹がすいてくること、請け合いだ。

いずれも奇をてらわず、ゆえに色々な楽しみ方にも対応するであろう懐の深さもあるようにおもわれる。これがワグナー・ファミリーのワイン観の基礎として共有されているのならば、そんなに急激に先鋭化はしないだろう。血脈は低重心だ。

新作の「コナンドラム・ブラン・ド・ブラン」。シャルドネ、ピノ・グリ、マスカット・カネリ、ヴィオニエ、シュナン・ブランのブレンドで、瓶内二次発酵、ドザージュをおこなうシャンパーニュ式のスパークリング

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