国際ホテルジャーナリストによるワインの都ボルドー視察の旅。第6回は、“ムートンはムートンなり”のムートン・ロートシルト。

 

Château Mouton Rothschild 〜Pauillac〜

「Château Mouton Rothschild」の事務所棟。近年、醸造庫の隣に整備された常設アートスペースが完成し、メドック屈指のミュージアムとして機能している。

1945年からは毎年違う現代美術家の制作したオリジナル作品のラベルを採用して人気を博している。


われ1級になりぬ、かつて2級なりき

されどムートンは昔も今も変わらず


「ムートン・ロートシルト」の畑は、ラフィットやラトゥールと同じくセギュール侯爵家の所有にあったが、1853年にロスチャイルド家のイギリス分家に属するナタニエル・ド・ロートシルト男爵の所有となる。2年後に有名なメドック格付けが制定され、ムートンは2級に甘んじる。オーナーがフランス人では無かった為、1級が取れなかったとの説もあった。

この時ムートンは“1級にはなれないが2級には甘んじられぬ、ムートンはムートンなり”と言い放ち、1級昇格をめざし地道に改革に専念する。

1922年には、ナタニエルの曾孫フィリップ・ド・ロートシルトがシャトーを引き継ぎ、24年には、長年慣行の樽での出荷を廃止し、初めてシャトーで瓶詰めを行うシステムに変更。45年からは毎年違う現代美術家の制作したオリジナル作品の ラベルを採用。そして長年の努力が実り、73年ムートンはメドック格付け1級に昇格した。

88年にフィリップ・ド・ロスチャイルドの死後、娘のフィリピーヌ夫人が継ぐ事となる。93年にはセカンドワイン「ル・プティ・ムートン」の生産を始め、カリフォルニアの「オーパス・ワン」の地位を確立させるなど発展に尽くした。夫人が2014年に80歳で亡くなった後は、彼女の3人の子供達がシャトーの経営を担っている。

近年、大型のテクニカル・ヤードが新設され、その中にメドック屈指のミュージアムが併設されている。初期からのラベルの歴史変遷は圧巻の資料で、各国著名人の訪問写真も豊富に展示されている。



展示品コーナーから貯蔵育成庫を望む。残念ながらムートンのミュージアムは撮影禁止。

各年代のラベルを貼った大小のワインボトルの展示。

最新鋭のステンレスタンクが並ぶテクニカル・ヤード。

左は1973年メドック格付け1級に昇格した証書。右はナタニエル・ド・ロートシルト男爵。

2016年収穫のムートンを1年間育成した新酒を、2017年9月6日訪問日付でいただいた。

広々とした専用テイスティングルーム。

この記事を書いた人

小原康裕
小原康裕
国際ホテルジャーナリスト

慶応義塾大学法学部法律学科卒。1974 年Munich Re 入社。

2001 年投資顧問会社原健設立、代表取締役CEO。

JHRCA、日本ホテルレストランコンサルタント協会理事。

www.jhrca.com/worldhotel

https://www.facebook.com/yasuhiro.obara.16

現在、筆者のホームページで「世界のリーディングホテル」を連載中。多くの美しい写真と興味深いコメントで、世界中のホテルとそれら関連都市を紹介。