Château Les Remparts
シャトー・レ・ランパール
ロシアより愛をこめて移住!
メルロ100%にテロワールを映し出す
親日家で、日本語を勉強中のイゴー・ソロモン。不動産コンサルタントにして、シャトー・レ・ランパールの共同オーナーのひとりである。
ロシアに生まれ、ロシア軍隊に身を置いたこともある彼がワインと出会ったのはイスラエルでの大学生時代。学費を稼ごうと飛びこんだバイト先がワインショップで、「バイト代がそのままワインに消えた(笑)」。
ボルドーで空き物件を探し始めて数年、ようやく出会えたのがグラーヴだった。現在は敷地内の牛小屋を改造し、建築家の妻、娘、息子と暮らす。
赤は2012年からメルロ100%に切り替えた。単一品種のワインはグラーヴで珍しい。
「うちの畑は砂利交じりの石灰岩土壌で冷涼だから、カベルネに向かない。メルロは鉄分を含んで独特の味わいになり、どこかリオハっぽいのかな。アメリカンオークを10%弱使っていてね」と、味わいもまた傑出した個性を持つ。全生産量の8割はフランス国内で消費されるグラーヴワインだが、彼のワインは輸出が8割を占める。当初から世界に目を向けた造りであったことは間違いない。
2017年は早春の霜害で収穫ゼロ。その分、空いた時間にボルドー大学へ通い知識を吸収した。2018年のリベンジに期待しよう。
Château de Portets
シャトー・ド・ポルテ
婦唱夫随で
仲良しシャトー業
アルジェリアで3代続けてワインを造っていたテロン家が、第二次世界大戦を機にフランスへ引き揚げ、かのナポレオンとジョセフィーヌも訪れたシャトー・ド・ポルテを入手したのは1956年。
そこからさらに2度の世代交代を経て、今はマリー=エレーヌ・ユング=テロンがオーナーを務める。
そして、このシャトーで生まれ育った彼女を支えるひとりが、伴侶のロドルフ・ユング。本職は公認会計士で、家では料理担当だ。ボルドーの家族観はやや封建的なので、シャトー業が忙しいときはワイン造りも快く手伝ってくれる彼のような存在はちょっと珍しい、とか。
「ベスト・オブ・ワイン・ツーリズム2017」建築・景観部門賞を獲得したシャトーは、外観こそ古式蒼然たるものの、内部には最新鋭のAV機器が随所に設置されている。ワイン造りのショートムービーを閲覧したり、シャトー情報をタッチパネル上で展開させたり、とまさにミュージアム。
ショップではワインのほかオリジナルのジャムやパテが売られるなど、訪問者を楽しませる工夫にあふれている。