ニュージーランドというと、高級で高品質なワインの産地、というイメージがありはしないでしょうか。そして、「クラウディー ベイ」はまさにそんなイメージを代表する存在ではないでしょうか。WINE-WHAT!?は、ヒルトン東京お台場の「シースケープ テラス・ダイニング」で展開中の、東京湾をはさんで東京の街を向こうに眺めながら、クラウディー ベイと、ヒルトン東京お台場のペアリングフードが楽しめる、「シースケープ テラス・ダイニング」にやってきた、クラウディー ベイの顔、ジム ホワイトさんに、「なんで、ニュージーランドのワインは高級なのですか?」とあらためて聞いて来ました。今回はジム ホワイトさんとの会話から見えてきた、クラウディー ベイのプロフィールをご紹介します。
ジム ホワイト

ジム ホワイト
クラウディー ベイのブドウ栽培責任者だったが、現在は栽培の責任者を継続しながら、テクニカル ディレクターという立場に。
メルボルン大学で農業とブドウ栽培学を修め、オーストラリア各地で経験を積んだあと、ニュージーランドへ。
海と山を愛し、スポーツも料理も得意。そして大の日本好きである。

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「久しぶり! またここで会えましたね」

赤いスニーカーを履いているのがなんともシャレたジム ホワイトさんは、どうも筆者のことを覚えていてくれたらしい。

「一年ぶりに再会できて嬉しいです。前回ヒントをいただいた、日本の食とワインのマリアージュ企画、おかげさまで好評です。雑誌をもってきました。これがお好み焼、これが寿司、これが焼き鳥……」

「あ、このページのこのお店いきました! ワインセラーもすごいんですよね。Google翻訳で読めるかな?」

「記事はWebサイトにも掲載していますので、Google翻訳でよろしければ搭載しております。URLは僕の名刺に書いてあります。これです」

「そうだ、名刺といえば、私のタイトルが変わったので、あらためまして、これが新しい名刺です。ブドウ栽培の責任者から、テクニカル ディレクターとなって、もうすこし、ワイナリーのほうにも、指導的立場で関わるようになったんです」

「では、ゆくゆくは醸造家に?」

「あはは。ワインメーカーをトレーニングするつもりはないですよ。でも私のキャリアも20年を越え、畑とワイナリー、両方に関わることで、クラウディー ベイをもっと良くしてゆくための助言ならできると考えています」

「仕事が増えますね。クラウディー ベイはたくさんワインを造っているから、畑の管理だけでもかなりハードなお仕事では……」

「?」

「いえ、生産量的にたくさん……」

「ああ! いやいや! クラウディー ベイの生産量は、ニュージーランドのワイン全体からみても1%にも満たないんです。多くはないですよ」

「え! こんなに世界的に有名なのに? アイスランドでも注目の的でしたよ

クラウディー ベイと楽しむスペシャルペアリングメニュー、ニュージーランド産のラムチョップ

総料理長を務める水口雅司シェフ

この日は、ヒルトン東京お台場の水口雅司総料理長が、特別に目の前でラムを焼いてくれました

「嬉しいですね。有名でも、生産量は多くはないのです」

「実はそこは、あらためてお伺いしたかったことでもあるのです。ニュージーランドワインといえば、少量生産の高級・高品質なワインという印象があります。ジムさんによれば、その理由はなんですか?」

「そもそも、品質はそこまで高くなくても、量が稼げるブドウを育て、ワインを造れる環境がニュージーランドにはないんです。温かい内陸の広大な土地、などというのはないですから。冷涼な気候で、お金も時間もかけて、ワインを造るのがニュージーランドのワイン造りです。そうすれば、必然的にワインの価格は高くなってしまいますよね。それでもニュージーランドのワインがやっていけるのは、需要があるからです。ニュージーランドのワインは世界の偉大なワインとも、品質で互角の勝負ができるレベルです。加えて、信頼性が高い。私たちは安定して高品質なワインをお届けできます」

「天候、環境が安定している、というのも理由でしょうか?」

「そうですね、ヴィンテージごとの差が大きくない、というのは強みです。そしてアプローチャブルです」

「アプローチャブル?」

「ワインに美味しさがある、というのでしょうか。いきいきとした果実味、酸味、爽やかさ。私たちのワインの味への評価は、世界のどこでもあまり変わらないのです。それも強みです」

そこで、筆者はクラウディー ベイの代表的ワイン、「ソーヴィニヨン ブラン」のことをおもう。あの、口のなかにじゅわーっとひろがる、果実をそのままかじったかのような贅沢な味わい。その基本的な性格はヴィンテージをまたいでも変わらないし、これが嫌だという人もあまりいないだろう。

左写真のディスプレイされたワインはグラスでもボトルでも、オーダーできます。右はシャンパーニュ方式で造られるクラウディー ベイのスパークリング「ペロリュス」。グラス1,600円、ボトル8,500円です

すると、その「ソーヴィニヨン ブラン」の新ヴィンテージ、2017が注がれたグラスが、なんとテーブルの上にいつの間にか置かれていた! それを一口、口に含みーー

「クラウディー ベイについていえば、こういう人がクラウディー ベイのお客さん、こういう人のためにワインを造っている、という想定はありますか?」

「あべこべな答えかもしれないのですが、クラウディー ベイの安定した高品質を評価してくださる方です。たとえば「ソーヴィニヨン ブラン」をはじめて口にしたとき、強い印象を受けませんでしたか?」

「受けました。うーん、やっぱりこれですね。この2017年ヴィンテージも、まさにあのクラウディー ベイを感じます」

「それ、また飲みたくなりませんか?」

「なりました。クラウディー ベイの「ソーヴィニヨン ブラン」を飲むと、「これぞ、ソーヴィニヨン・ブラン!」とおもうのですが、実際は、ほかになかなかないんですよね。それで結局、あれこれ迷っているくらいなら、素直にクラウディー ベイを買おうって……」

「まさにそれです。お客様が戻ってきてくださる。お店でニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランを探すのではなくて、クラウディー ベイの「ソーヴィニヨン ブラン」を探してくださいます」

「すごく説得されました」

ジム ホワイト 運命のワイン

「ところで、ジムさんは、どうしてワインの道に入られたんですか?」

「大学で農業の勉強をしていたんです。野菜や果物の栽培の勉強です。そこで、ある疑問をいだきました。一般的なスーパーマーケットに野菜や果物を売るとき、一番重要なポイントってどこだとおもいますか?」

「あ、それ、僕も日本で経験がありますよ。見た目のきれいさ、じゃないですか? あと棚持ち」

「そう。本をカバーで判断するなっていう表現がありますよね。でも、野菜や果物の世界は、味の前にまず見た目です。どんなに美味しくても、見た目が悪いと売れない。それが私は納得できなかった。でも、ワインなら、ブドウの見た目の良し悪しは大きな問題ではありません」

「ワインですからね」

「ワインブドウを育てるひとは、風味、味の凝縮感、酸味といった質を追求している。それが魅力でした」

「では、果物の業界にもしばらくいらしたんですか?」

「いえいえ、大学で勉強していただけで、仕事は最初からワインブドウの仕事です」

「ジムさんをワインの道へと導いた、運命のワインってあるんでしょうか?」

「オーストラリア、ヴィクトリア州のミッチェルトン ワインズのカベルネ・ソーヴィニヨン。その1991年ヴィンテージです。野菜・果物の道を進むか、ワインの道を進むか、当時の迷いは、あのワインに出会って吹っ切れました。幸運だったとしかいえません」

「そんなに衝撃的だったんですか。飲んでみたいですねえ」

「それが1年前、再会したんですよ。友達がもっていたんです、それを!」

「91年を?」

「そう! そのボトルは、いま、大事にうちに飾っています。私のすべてを変えたワインです」

「なにがそんなに衝撃的だったんでしょう?」

「結局、初めて飲んだちゃんとした赤ワインだったんですよね。ミッチェルトンの91年が。学生で、お金もなかったから、ワインはたくさん飲んでいましたが、安いワインばかりで、そんなにエキサイティングな経験はしていなかった。ミッチェルトンのカベルネには、ストラクチャーがあり、タンニンがあり、赤いベリーの魅惑的な味わいがあり、いまおもえば、本当に典型的なカベルネ・ソーヴィニヨンの特徴が力強く、濃厚に表現されていたんです。私の初期のワインの判断基準は、これがベンチマークになりました。ビッグなワインが好きでしたね。シラーもシャルドネも、樽がしっかり効いていてパワフルなワイン。いまはもうちょっと経験も積み、大人になって、繊細さやフレッシュさも大事だとおもっていますが、でも、絶対的なパワーをうちに秘めたワインが好きです」

この記事を書いた人

WINE-WHAT!? 編集部
WINE-WHAT!? 編集部
勝沼の甲州手積みしてこれでロゼワインつくろうぜ

果皮ごと絞ってみたけど白になっちまう

(中略)

I say だいたい適当でマセラシオンは

だいたい適当であざやかな

だいだい色でできたのはオレンジワイン