イタリアワインや食材の輸入商社でPRコミュニケーションを担当するジュゼッピーナさんに、彼女が故郷のヴェネトよりも大好きだというシチリアと、日本で食べられるシチリア料理のお店について教えてもらいました。

ジュゼッピーナ・スクアルゾン
ヴェネト州ヴィチェンツァ生まれ。初来日は、学生時代の2000年。ヴェネツィアの大学で日本語を習得したのち、さらに東洋大学で日本文学を学ぶ。いちどはイタリアに帰国し日本企業に5年間勤めるも、また日本へ居を移すことを決意。現在、日欧商事マーケティング部PRコミュニケーション担当。修学旅行で訪れて以来、なぜかシチリアにドハマリ。自宅での食事は、和食とイタリアンが半々。



シチリアは歴史が深い!

シチリアが大好きな私の出身地は、イタリア北部のヴェネトです。

普通ならヴェネト推しであるべきだけれど、今回は無理矢理シチリア枠に入れてもらいました。ヴェネトもシチリアも同じイタリアなのに、ヴェネト人の私にとって、シチリアは特別な魅力を感じます。以前に誰かが「シチリアはヨーロッパではない」と表現していて、なるほどな~と納得しました。

地中海のど真ん中にある大きな島で、小さな大陸ととらえても問題ないくらいのシチリア。ギリシャ、アラブ、フランスなど、交流のあった周辺諸国の文化がブレンドされていて、だから人種もいろいろ混ざっていますし、非常に歴史が深いんです。

逆に、食の面でヴェネトとシチリアには共通点もありますよ。ヴェネトの州都、ヴェネツィアは商売の盛んな町で、昔から世界各地から食材や香辛料が入ってきました。シチリアも同様で、レーズンや松の実を使った少し甘酸っぱい料理など、ヴェネトとシチリアの両方にあるんです。

イタリアのなかでは北と南で離れているけれど、海のルートではつながっていたので、その意味では近いんですね。

大きく違うのは、お酒の飲み方かしら。昔も今も、ヴェネト人はイタリアで一番お酒を飲むと言われています。食事をするときは、必ずボトルワインが置いてある。普通、親戚を訪ねたりすると「お茶でもいかが?」と聞かれるものだけど、ヴェネトでは「ワインでも一杯どう?」。訪問時間に関係なく、です。

プラネタ
アラストロ シチリア DOC 2016 b
地場品種グレカニコ主体。アラストロはシチリアの湖畔に咲く花の名前。

だからか、ヴェネトに住んでいた時代からシチリアのワインについては知っていました。とくにプラネタは、ただ有名だというだけでなく、シチリアの歴史を変えたワイナリーです。

それまでのシチリアは廉価ワインの大量生産で知られていたけれど、プラネタは「シチリアでも高品質なワインはできる」と考えて実行しました。国際品種のシャルドネをリリースすると、たちまち世界中で高い評価をもらい、それをきっかけにシチリアのワインが注目されるようになりました。

最初のワイナリーは、シチリア西部に位置していました。でも、その土地に合うブドウ品種を選び、現地でワインを造るというコンセプトで、シチリア各地を周遊し、現在はシチリア各地に6つのワイナリーを所有しています。

シチリアって、ワイン産地としては暑いと思われがちですが、火山のエトナ山がそびえているほか内陸部には標高の高い冷涼なエリアがあります。ブドウ畑は海抜0メートルにも、900メートルにも広がっていて、シチリアのなかだけでワインの旅はじゅうぶん堪能できるんです。なにしろ、エリアによって地質がまったく異なる。粘土質、石灰質、火山灰土壌……と世界中の土壌がシチリアに揃っていると言ってもおかしくないほどです。

リストランテ・ダ・ニーノ
東京都港区南青山1-15-19 グランドメゾン乃木坂
tel. 03-3401-9466
営業時間 11:30-14:00(L.O.) 18:00〜22:00(L.0.)
休日 日曜



ピスタチオのジェラートがこれまたおいしい

私の初来日は、2000年。3カ月滞在しました。まだ学生だったからかもしれないけど、当時の日本では本格的なイタリア料理店になかなか巡り合えませんでしたね。あれから18年経った今、イタリア料理店の店舗数がとても増え、リーズナブルな店からクオリティの高い店まで様々。さらに、ただイタリアンを謳うだけでなく、シチリアやピエモンテなど地域性にフォーカスする店もたくさんできました。まあ、ヴェネトの料理を食べられる店はまだまだ少ないですけど。

日本のシチリア料理店で私がもっとも満足できる店は、「リストランテ・ダ・ニーノ」です。

ニーノさんの料理を初めて食べたのは、この南青山の店ができる以前の話。知り合いのイタリア人に、ニーノさんがシェフをつとめる店へ連れていってもらいました。当時は私もまだ日本に住んでなくて、「たしかにおいしいなぁ」という感想くらいでした。日本に住むことになり、グルメ情報にニーノさんの名前を頻繁に聞くようになったところで、あらためてニーノさんの料理を食べに出かけたわけです。7〜8年前ですね。

んまぁ、素晴らしかった。涙が、出そうになった。

もちろんイタリアでもシチリア料理はよく食べてたけれど、ニーノさんのシチリア料理が一番!  「すごく頑張って作りました」という感じがぜんぜんなくて、なのに洗練された味なんです。

最後に登場するピスタチオのジェラートがこれまた、今までで一番おいしい。ニーノさんに尋ねてみたら、ピスタチオにすごくこだわりを持っていらっしゃる。基本的にジェラート用のピスタチオは皮を剥かないことが多いけれど、ニーノさんは生のピスタチオを使い、皮を丁寧に剥いていて、なるほど、と納得。

シチリア人のニーノさんは真面目で、一切妥協しなくて尊敬します。もともとシチリア人はみなさん非常に親切で、最高のおもてなしをしてくれます。イタリアでは、北の人はちょっと冷たいかなと思われがちで、南に行けば行くほどホスピタリティがすばらしい。食べきれないほど料理を出してくれるし、にぎやかだし。

私がシチリアを旅行したのは、プライベートと仕事と合わせても5〜6回に過ぎません。しかも、東のエリアが未訪問なんです。美しい名所はまだまだたくさんあります。休暇がたっぷりとれれば、ゆっくり周りたいです。



シチリアのショートパスタ、カサレッチェをカジキマグロとなすのソースで。ピスタチオとリコッタをあしらったのがニーノさん流。

シチリアのブロンテ村から取り寄せた高級ピスタチオをふんだんに使ったジェラート。

この記事を書いた人

WINE-WHAT!? 編集部
WINE-WHAT!? 編集部
勝沼の甲州手積みしてこれでロゼワインつくろうぜ

果皮ごと絞ってみたけど白になっちまう

(中略)

I say だいたい適当でマセラシオンは

だいたい適当であざやかな

だいだい色でできたのはオレンジワイン