パンツェッタ・ジローラモさんに、地元ナポリのこと、イタリア人のワインとの付き合い方、イタリアワインの歴史、そして日本のオススメのお店を教えてもらいました。
パンツェッタ・ジローラモ

パンツェッタ・ジローラモ
1962 年生まれ。タレント、随筆家。建築一家の三男として、ナポリ建築大学在学中に亡き父の後を継ぐ。主に政府からの依頼を受け、歴史的建造物の修復にたずさわる。1988 年から日本在住。以降、男性誌「LEON」を中心とした多数の雑誌、番組に出演。イタリアの料理、言葉、文化、そしてワインなどを紹介している。

ナポリってどんな町?

ナポリは港町だから、典型的なナポリ人は、明るい、遠慮しない、ですね。声が大きくて、キンキラでハデハデですし。明日のことじゃなくて、今日を考えている人が多いですね。結束力、地元愛も強い。でも、私は外にでて、日本で、色々な地方、国の人と出会い、いい友達もできました。オープンマインドなことも、ナポリ人のいいところかもしれない!

ナポリのワインとは?

もちろん、ナポリ(カンパニア州)には、ワインがあって、そのワインには、歴史と、よその土地との繋がりがあります。

ナポリは港町です。古代にギリシャ人が、オリーブとヤギ、そしてワインを持ち込みました。街の周囲には、ギリシャ起源のブドウを植えています。たとえば、白品種のファランギーナ。ギリシャ人は、ナポリでは自分たちのブドウがうまく育たない。ナポリの人は、棒を立てて、ブドウの樹を支えている。それを真似した。その小さな棒の名はファランガ。ファランギーナの名前はそこからきたと言われています。

カンパニア州は山がおおく、土壌は火山由来で、岩の層があちこちにあります。この岩をトゥーフォ(凝灰岩)といって、このトゥーフォの土壌でグレコ(ギリシャ人)が育てたブドウが、グレコ・ディ・トーフォ。かつてナポリから50㎞ほど離れたところにミセーノというローマ帝国の軍港がありました。そこに、水を引くために、山から港にかけて長い水道をつくり、ナポリもその途中だから、この水を利用していました。ナポリには、この工事で掘り出したトゥーフォで造られた建物がいまもあります。

ほかにも、赤ワインブドウならアリアーニコ、ちょっとイチゴみたいな香りがして、日本の巨峰と似た味のフラゴリーノ、グラニャーノの赤の微発泡ワインは日本でもポンペイアーノとして見かけます。イスキア島に行くとまた違うブドウがある。ビアンコレッラっていう薄い白ワインとか。薄い白ワインは、桃をいれて、はちみつを1スプーン、それを冷やして飲むと、めちゃくちゃ美味しい! こういう飲み方も起源はギリシャかもしれない。

ワインに注目してイタリアを旅するのは楽しい。歴史が見えてくるから。

イタリアのワイン造り

私が子供のころは、ワインはビンに入って売っているものじゃなかった。樽が並ぶカンティーナか、ワイナリーまでいって、1リッター、2リッターと買ってきていました。

ワインを造ったこともあります。父の別荘で造ったワインをお世話になった人にプレゼントするのは楽しかった!仕事で2年ほど、地方都市に住んだことがあって、そこの周辺はブドウ畑がないんですが、街中でワインを造っていました。ワイン造りの一週間ほどは、街中ベロベロ。私も記憶をなくして、牛と寝ていたことがあります。そこで造ったワインは、ビンに入れて山の上で飲んだら、最高で、ナポリに1本持って帰りました。そうしたらスパークリングになってた!ワインは移動すると変わってしまうんだということをそのとき知りました。

イタリアの普通のワインはそういうものです。だから、あなたがイタリアの普通のレストランに行ったら、世界的に知られたワインは頼まないことです。フランス人だって毎日ペトリュスは飲まないでしょ?たとえばリグーリア州のワインは酸っぱいものがあって、その酸っぱさが地元の魚料理に合う。

イタリアワインの変化

イタリアのワインはフランスをお手本にして変わりました。イタリア人は樹から10㎏のブドウが採れるなら10㎏採ります。フランス人は5㎏しか採らない。イタリア人にはそんなもったいないこと信じられないけれど、それでブドウが濃くなる。そして、フランス人はアッサンブラージュします。これがとても大事。イタリアにはなかった。

現代のサッシカイアをつくったエノロゴ(醸造家)、ジャコモ・タキスは2016年に亡くなってしまいましたが、彼はフランスのワインの造り方をイタリアに持ち込み、イタリアワインを変えました。そして、ソライア、ティニャネロと世界的に成功して、イタリア人も賢くなった。ボルドー品種だけじゃなく地元のブドウから、もっと美味しいワイン、売れるワインが造れることも学びました。ジャコモ・タキスも、カンノナウというブドウでワインを造っていて、香りがちょっとエキゾチックですが、これも美味しい。

日本でイタリアワインを飲むなら

日本のイタリア料理は美味しい。私も行きたいお店がいっぱいある。日本のイタリアンは、ジャコモ・タキスの話と一緒で、イタリアは大事だけれど、イタリアだけじゃないことも大事です。

新しいお店じゃないけれど、麻布十番のピアット・スズキ。イタリア料理に日本の良さがくわわっています。ワインのセレクションも素晴らしい。

ピアット スズキ

ピアット スズキ
東京都 港区 麻布十番 1-7-7 はせべやビル 4F
tel. 03-5414-2116
営業時間 18:00 ~ 2:00(L.O.24:00)
休日 日曜

ピアット スズキ 鮮魚と野菜のグリル

鮮魚と野菜のグリル。日本全国から買い付けた高品質の野菜はピアット スズキの売りのひとつ。メニューにない料理も、即興で造ってくれる。鮮魚と野菜のグリルはジローラモさんのオススメ

ピアット スズキのワインリスト

20 席程度の小さなレストランながら、ワインのストックは3,000 本ほど。ワインリストは時期によって、変化するけれど、イタリアワインを中心にスーパータスカンから気軽なグラスワインまで取り揃える



南イタリアの味?ミラノじゃないけど、大阪の「コロッセオ」を知ってほしいな。CEOのカンタトーレさん、プーリア出身です。紹介しますよ。電話しようか?

この記事を書いた人

WINE-WHAT!? 編集部
WINE-WHAT!? 編集部
「なんでこんなにうまいんだ!」


「フランスやイタリアの真似をして、たんにコピーをつくったところで尊敬は得られない。自然とどう関わるか」


「ワインも生きている。ブドウも土も、どれも」


「大事なのはひとの問題なんです」


「マニフィーク」



日本のワイン界のレジェンド、麻井宇介と彼の意志を継いだ若者たちの物語
10月20日公開 映画「ウスケボーイズ」より