さる7月4日(水)~6日(金)、ヴィーニョ・ヴェルデ ワイン コミッション(CVRVV)主催による産地ツアーにWINE-WHAT!?が参加してきました。さわやか&軽やかな微発泡の白に代表される、ポルトガル北西部ミーニョ地方のワイン、原産地名称「ヴィーニョ・ヴェルデ」の最新事情を報告します。

 

グリーンだよ、ワインだよ

ツアーはCVRVV(Comissão de Viticultura da Região dos Vinhos Verdes)本部訪問から始まった。19世紀に建てられた石づくりのひんやりした建物のなかで、ヴィーニョ・ヴェルデについての説明をマーケティング部のトーマス(Tomás Gonçalves)さんから受けた。その説明をもとに、もらった資料と足して、以下ヴィーニョ・ヴェルドの概略を記したい。

CVRVV本部の建物を中庭から眺める。

説明するトーマスさん。

CVRVVは1926年に設立された。現在2018年なので、90年以上の歴史がある。ヴィーニョ・ヴェルデの品質および信頼性を保証するため、1959年には「保証シール」を取り入れた。CVRVVが「ヴィーニョ・ヴェルデ」という原産地名称(DO)と「ミーニョ地方」の地理的表示が認められたワイン関連商品の生産・販売、そして認可を行う機関として、法的に定められたのは2008年と比較的最近のことだけれど、ヴィーニョ・ヴェルデの実質上の管理者だった。

その昔、この地方ではハシゴをかけるほどブドウの樹を大きく育てた。

それは、下にトウモロコシや穀物、野菜をつくるためだった。

ポルトガル語でヴィーニョ・ヴェルデ(VINHO VERDE)とは英語でいうとグリーン・ワイン、日本語だと緑の葡萄酒である。緑色の葡萄酒ということではない。原産地であるミーニョ地方が緑にあふれていることから、そう呼ばれる。実際、7月の初旬、この地方は日本列島のような緑に包まれていた。緑の大地のワインなのだ。

だれが名づけたのか知らねど(聞いておくべきだった)、ヴィーニョ・ヴェルデというのは、ワインを表すヴィーニョ(VINHO)とミーニョ(MINHO)で韻を踏んだことば遊び、ようするにダシャレであろう。ミーニョのヴィーニョだよ、グリーンだよ、い〜んだよ、というWミーニングなのである。たぶん。

北はミーニョ川、南はドウロ川に挟まれた地域に6つの河川、9つのサブリージョンがある。

で、少なくともCVRVVが管理する地理的表示である「ミーニョ地方」と、ワインの原産地名称である「ヴィーニョ・ヴェルデ地方」はイコールで結ばれるらしい。ヴィーニョ・ヴェルデ地方はポルトガルで最も古いワイン生産地のひとつで、2000年以上も前から始まったという。

生産区域は、大雑把に申し上げて、北はスペインとの国境をなすミーニョ川まで、南はポルトの街に注ぐドウロ川までを指す。

大西洋に面したヨーロッパ大陸の角っこで、広さは7000㎢というから、日本で言えば7100㎢の岡山県か高知県よりちょっと狭いぐらい。このなかにブドウ畑が散在していて、その面積は2万1000ヘクタール、すなわち210㎢ある。

ポルトガル国内のワイン用ブドウ畑の全面積の約15%で、意外と小さいとも言えるけれど、日本のブドウ栽培面積(ワイン用に限らない)は1万7000ヘクタールだから、ヴィーニョ・ヴェルデのブドウ畑より狭いことになる。



ヴィーニョ・ヴェルデのブドウ品種は固有品種のみ、赤白用合わせて全部で47種が認められている。ブドウ栽培者は小規模業者が多くて1万8000、醸造瓶詰業者は600社、ワイン・ブランドは2000ある。やがてこれらは淘汰される運命にあるのが資本主義のつねだとすると、ヴィーニョ・ヴェルデはその歴史に比して本当の競争はまだ始まったばかり、なのかもしれない。年間生産量は8000万リットル。9つのサブリージョンが設けられていて、それぞれに特定の品種が指定されている。

生産されているワインのほとんどは白で、2017年は86%を占めた。赤とロゼはそれぞれ7%と少ないけれど、ないわけではない。トータル・セールスの43%が輸出されている。輸出先は1位アメリカ合衆国、2位ドイツ、3位フランス、4位ブラジル、5位カナダといったところで、世界100カ国以上で販売されている。

ヴィーニョ・ヴェルデ地方の気候は地中海性気候だけれど、平均年間降水量は1200mmと多めだ。といっても日本の年間降水量の全国平均は1757mmで、1200mmより少ないのは山梨県の1190mm、岡山県の1143mm、そして長野県の902mmの3県だけ。長野県の降水量はボルドーより、ちょっとだけ少なかったりする。ブドウ栽培にとって降水量は少ない方がいい(日本の数字は2014年の年間降水量)。

ヴィーニョ・ヴェルデにとって幸いなのは、夏はホット&ドライなこと。あいにく私たちの滞在中は曇り空が多かったけれど、雨にはほとんど降られなかった。

ブドウ栽培において大きな役割を担う河川は6つある。山があるから川があるというべきか、内陸部は渓谷が連なり、複雑な地形をなす。川は西から東へと流れて大西洋に出、大西洋から冷涼な風が内陸に向かって吹く。

土壌は基本的に花崗岩がベースで、地面を掘ると花崗岩にあたる。日本では御影石とも呼ばれるこれはお墓に使われる。こちらでは大量に産出するので生きているひとたちの家に使われる。ということはさておき、土壌が花崗岩質ということは、ワインの場合、フレッシュでさわやかなワインができることを意味する。

ブドウ品種は土地の固有品種に限定されている。白ワイン用のロウレイロ、アリント、トラジャドゥーラの3種がヴィーニョ・ヴェルデ地方のほとんどの地域で栽培されている。ヴィーニョ・ヴェルデと認められるには、繰り返しになるけれど、ヴィーニョ・ヴェルデ地方の固有品種を使用しなければならない。

このあと、同じ建物内の別室に移動し、10種類のヴィーニョ・ヴェルデのテイスティングを行った。





この記事を書いた人

WINE-WHAT!? 編集部
WINE-WHAT!? 編集部
「なんでこんなにうまいんだ!」


「フランスやイタリアの真似をして、たんにコピーをつくったところで尊敬は得られない。自然とどう関わるか」


「ワインも生きている。ブドウも土も、どれも」


「大事なのはひとの問題なんです」


「マニフィーク」



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