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ワインと寿司のマリアージュ徹底検証ー夏の陣ー(前編)

東京築地すしざんまい奥の院で寿司ざんまいのテイスティング実況中継

検証1 白イカ

夏場が旬で、鳥取県など山陰地方で水揚げされる。ヤリイカ科ケンサキイカのなかでも、甘味が強く噛み進めるごとにねっとり感を増す。淡泊な味わいながら、今回は添えられたショウガのスパイシーさに加え、ネタとシャリの甘味をワインがどう受け止めるかがカギ。

噛めば噛むほどの甘味をワインでどう生かす?

 まずテイスター陣に、割り当てたワイン3アイテムと12種類の寿司ネタ、総当たりで試していただきました。ここからはネタごとに「これは!」という提案をお願いし、検証していきたいと思います。白イカで最高評価の◎はありますか?

一同 うーん……。

 僕は「アシルティコ(07)」が〇。新しい世界ではないが、すんなり。

太田 ショウガを添えてあることが大きい。それがないとワインが勝ってしまうと思います。

松木 こちらも意外性はありませんが「クレマン・ド・リムー(10)」。ワインの甘味がポイント。噛むほどに甘味を増すイカとのバランスがいいですね。

 うん、格別な相乗感ではないものの、ワインにドサージュ由来の甘味があるからバランスがいい。

紫貴 お店で頂くならいいけれど、イカってスーパーで購入するとちょっと鮮度がイマイチなときがありますよね? でも、この組み合わせだと、ワインのフレッシュ感がネタを補ってくれそう。

 それ、決してネガティブじゃなく実用的な意見。試してみるときって、まずは自宅だから。番外編ですが、大NGも試しませんか? 完全にワインとネタが分離してしまうのが「シノン(12)」。

太田 うわっ、グラスに鼻を近づけた瞬間から違和感しかない。

 まぁ予想通りでしょうけれど(笑)。ダメなパターンを知ることもワインを選ぶ際には有効な手段ですから!

白イカに合うワイン

07 ドメーヌ・シガラス 
サントリーニ アシルティコ 2017

10 エシェ&バニエ 
クレマン・ド・リムー・ブラン ブリュット・レゼルヴ NV

検証2 甘エビ

タラバエビ科に分類されるホッコクアカエビ。特徴的なアミノ酸由来の甘味が、甘エビという名称の由来となっている。本来の旬は冬場だが、みずみずしくトロりとした口当たりで、一年中の定番ネタ。味わいは淡泊ながら独特の香りが一筋縄では行かない結果を生む。

一見優しいようで、主張あり。新展開をもたらすアプローチ

 続いて、「甘エビ」はいかがでしょうか? 旬は夏ではないが、さっぱりみずみずしくて、通年人気のネタですね。

太田 「ルカツィテリ(08)」はエキゾティック感がいい! 甘エビのねっとり甘いところに、マセラシオンから来るブドウのちょっと野趣のあるえぐみが加わって、アフターがスパイシー。

紫貴 これは予想がつかなかった!

 「冬ネタ編」でも、エビってダークホースでしたよね? 淡泊なようで香りの個性が強い。

太田 あの時は火入れした車エビで、果皮を漬け込んで造るオレンジ系の白ワインがマッチしていましたよね。これは「トムヤムクン」の法則と名付けるべきか(笑)。急にエスニック的な世界感が広がる。

松木 ワインの“土”っぽいニュアンスもエビに合っています。

 泳いでいるわけじゃなくて、基本的に海の底を歩いている生き物だからね(笑)。

松木 〇に2プラスなんですけど……。「クレマン・ド・リムー(10)」。ネタのみずみずしさとワインのフレッシュ感が合います。

 なるほど、これはすんなり楽しめる。本来は四段階判定なんですけど、前回の経験を経たためか、随分細かく評価してきましたね(笑)。

松木 はい、個人的にも試しました。

富田 私もすっかりはまって宅配寿司で試したり、友人にも意見を聞いたりしてきました。


 自主練チームに期待して、どんどん進めましょう!

甘エビに合うワイン

08 オルゴ 
オルゴ ルカツィテリ 2016

10 エシェ&バニエ 
クレマン・ド・リムー・ブラン ブリュット・レゼルヴ NV

検証3 活けダコ

日本では、東北以北に生息する水ダコで、本日は北海道産を使用。足1本でも1㎏を超えるほど大きい。さっぱりした味わいのネタではあるものの、咀嚼回数が多い=口中滞在時間が長いことがマリアージュポイントを探る際にかなり重要であることが判明する。

「噛み応え」を考慮するのが成功への近道

松木 〇評価だと「コルス(01)」。咀嚼回数が多い食材って、味わいがソフトでもアルコール感やボディの厚みが必要。軽やかなワインではちょっと物足りないですね。

紫貴 おっしゃる通りです。その理論と同じく「ヴィオニエ(11)」もよかったです。

富田 あ、本当だ! コレは何て幸せな組み合わせ! 品種のアロマティックさでタコに華やかさが加わり、まろやかになります。

太田 「ヴィーニンガー(13)」が◎でしたよ。タコを噛んでいるうちにジワジワと出てくる甘味や旨みを時系列で全部受け止めている。飲み込むタイミングでさらに、あ、これは旨いなと。

富田 ワインに上品なスパイシーさがあるのがいいアクセントになっています。これは品種由来なのでしょうか?

紫貴 そうです。混植&混醸で、使用している品種が多いので、かなりフレーバーの要素が多彩ですよね。

 だからこそ、ワインのハーブ香とワサビとか、細かい点まで器用に対応できている印象です。

松木 これもボディがある。風味の重量感のほかに「噛み応え」を考慮するのが成功の近道です。

活けダコに合うワイン

01 ドメーヌ・ペロ・ロンゴ
セレニテ AOPヴァン・ド・コルス・サルテーヌ 2014

11 ドメーヌ フランソワ・ヴィラール
レ・コントゥール ド ドポンサン ヴィオニエ ヴァンド・ペイ・デ・コリンヌ・ローダニエンヌ 2016

13 ヴィーニンガー
ヴィーニンガー ゲミシュター・サッツ 2016

後編につづく

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