寿司とワインのマリアージュを身近に楽しむ。それは、世界がうらやむ日本人ワインラヴァーの特権である! であれば、この特権をよりいっそう楽しまないと世界に対しても申し訳ないです。
そこで『WINE-WHAT!?』2018年9月号(No.24)では「ワインと寿司のマリアージュ徹底検証ー夏の陣ー」を開催。オンライン版でも、前半につづいて、後半をここに収録。夏のネタに合うワインは予想を覆すものだった!!
なお、「冬ネタ編」はこちら



取材協力:すしざんまい 奥の院 
東京都中央区築地4-5-12 http://www.kiyomura.co.jp

検証4 スズキ

夏場が旬の白身魚。成長するにつれて、セイゴ→フッコ→スズキと呼び名の変わる出世魚。本日は常磐産のスズキで検証を行う。繊細な甘味を持ち、噛み応えがあるために、白身でありながら軽やかなだけのワインではない方が合わせやすいとテイスター陣の意見が一致。



思いのほか淡白なだけではない。いろいろなアプローチが可能

 個人的には難しかった印象が……。〇はありますか? 



紫貴 「マンサニージャ(06)」が〇です。ワインの塩っぽいニュアンスがネタのさわやかさを引立たせてくれています。



 「アシルティコ(07)」もまったく違和感がない。



富田 意外なところで「パイス(09)」を試してみませんか? これぞ寿司マリアージュ界の「紅白歌合戦」や!

06 バロン 
バロン・ミカエラ・マンサニージャ NV

07 ドメーヌ・シガラス
サントリーニ アシルティコ 2017

09 ミゲル・トーレス・チリ 
レゼルヴァ・デ・プエブロ 2016

太田 あ、赤ワインと白身ネタだけにね(笑)。



富田 きれいに、そして滑らかに合うんです。



松木 あれっ不思議! なぜ合うんだろう……。やっぱりワインの軽さでしょうか?



 そう、「シノン(12)」だとワインの主張、特にタンニンが勝ってしまうから、軽さだと思う。



紫貴 パイス自体は渋みのある品種ですが、マセラシオン・カルボニックでタンニンは押さえて、果実味を前面に出しているからOKだったということですね。



 あと、スズキってあまり塩で食べることはない。醤油がうまく橋渡ししているということも考えられる。薬味として穂紫蘇などを添えればさらに距離が近づくかと。



松木 あとは「クレマン・ド・リムー(10)」です。ネタとワインの繊細さ、軽やかさの比重がマッチ。「オリとともに熟成」させたという点がポイントになっていますね。



富田 白身とはいえ、スズキって噛み応えがあって、思いのほか淡泊なだけではないから、いろいろなアプローチが可能でしたね。





スズキに合うワイン

06 バロン 
バロン・ミカエラ・マンサニージャ NV

07 ドメーヌ・シガラス
サントリーニ アシルティコ 2017

09 ミゲル・トーレス・チリ 
レゼルヴァ・デ・プエブロ 2016

10 エシェ&バニエ
クレマン・ド・リムー・ブラン ブリュット・レゼルヴ NV





検証5 シマアジ

アジ類のなかでは高級魚として知られる、夏が旬のネタ。体に黄金色の横縞が走っているのが特徴だ。身質がよく締まり、程よく脂がのっている。素材の香りはもちろんだが、脂の旨みとワインのボリュームが一致していることがマリアージュ成功の条件に。



脂の旨味にワインのスパイス感が大活躍!

 もしかして夏ネタって、実は難しい? こちらも◎が出ていない。合うんだけど、驚きにまでは至らないという。

松木 今更かもしれませんが、名前はシマアジだけれど、味わいはアジとはまったく違いますね。

 そう、脂がしっかりしていて、ややカンパチなどに近い。

松木 確かに、クラゲとキクラゲくらい違う(笑)。

富田 「ソアリェイロ(14)」が持つ海のニュアンスとコクに合いますよ。華やかでトロピカルな香りがあるので、シマアジのように少し脂のボリュームがあるネタだとバランスが取れる。ポルトガルなどの質の良いオリーブオイルを使った魚介や、脂ののった秋~冬のネタで試してもよさそうです。

紫貴 これが柳さんのおっしゃる「土地の密約説」っていうことですね。現地では「イワシ祭り」というのがあるらしいですから。

松木 ホワイトペッパーみたいなニュアンスがネタの味わいをキュッと引き締めて、余韻も心地いい。

太田 「クラレンドル(15)」もなかなかですよ。

 あっ、それはよさそう!

太田 ロゼとはいえ、メルロとカベルネ・フランなのでタンニンの主張があるワインなんですよね。それがピンクペッパーみたいにアクセントとして効いている。

松木 確かに、合わせてみるとカルパッチョみたい!

 決してクセの強いネタではないけれど、適度に脂の主張があるので、ほのかにワインのスパイス感を効かせるのが有効でしたね。





シマアジに合うワイン

14 ソアリェイロ 
ソアリェイロ 2017



15 クラレンス・ディロン 
クラレンドル・ロゼ 2016





検証6 アジ

通年食されているが、もっとも脂がのるのが夏期。「すしざんまい」では、石川県もしくは鹿児島県産を主に扱い、取材時は石川県産に薬味としてショウガとネギを添えた。青魚特有の香りを生臭く感じさせないことと、脂のボリュームにも対応するワインが求められる。



ネタだけでなく、薬味の香りを味方につけるワインが必須

松木 「ヴァン・ド・コルス(01)」がよかったです。これは「比重の法則」。アルコールのボリュームとネタの味の強さがちょうどいい。しかも、ワインにやや熟成感があるので、コク同士が相乗してくれます。



富田 ワインのこなれ感がうまくネタを受け止めていますね。あと、次点ですが「レトワール(02)」も〇。ジュラのフロールがついたワインって流行りそう、いや、流行っていいはずなんですけどね(笑)。



 ジュラってどういうわけか地味なイメージが拭えない(笑)。ブルゴーニュとアルザスの陰に隠れているかのよう。

太田 確かに華やかではないかもしれないですが、舞台俳優みたいな味わい深さがある。

松木 あ、これは新しい! ジンジャーみたいなスパイス感が加わって、ネタはもちろん薬味まで網羅出来る。

紫貴 そう、ジンジャー感。だからこのワイン、実はガリともけっこう合うんです(笑)。

 素材が持つ香りとクセや生臭さを混同してはいけないのを前提として。でもやっぱり青魚って相当独特の香りがある。だから、赤や白というカテゴリーだけでなく、フロールに由来するインパクトや個性があったほうがいい。

富田 それって、「冬ネタ編」検証でもかなり議論の的となったテーマですよね。

 寿司マリアージュでは避けて通れない。その話、次のネタでより深く触れてみましょう。富田さんが熱く語ってくれるそうです(笑)。





アジに合うワイン

01 ドメーヌ・ペロ・ロンゴ
セレニテ AOP ヴァン・ド・コルス・サルテーヌ 2014

02 ドメーヌ・ド・モンブルジョー 
ヴァン・ブラン・レトワール 2014





この記事を書いた人

WINE-WHAT!? 編集部
WINE-WHAT!? 編集部
我輩は「WINE-WHAT!?」である。名前は「WINE-WHAT!?」である。誰がつけたかとんと見当がつかぬ。

ワインホワット?

「WINE-WHAT!?」である。にゃ〜。