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ラングドックのAOCワインとシュッド・ド・フランスのIGPワイン

ラングドックワイン委員会が11月5日に明治記念館で開かれた業界向けセミナーより

アピシウスのシェフソムリエ、情野博之さん。

ラングドックワインをテイスティングする

ヴィラレさんのお話の後、ソムリエの情野博之さんに導かれてのワインテイスティングとなった。全部で8種類が紹介され、1本ずつ丁寧かつ愛情あふれる解説とコメントに、なるほど〜と感心するばかり。

ジャン・クロード・・マス・エステーツ & ブランズ
d.A.ブランケット・ド・リムー
NV[泡・白]

輸入会社:スマイル
ブドウ品種:モーザック、シャルドネ、シュナン・ブラン
小売希望価格:1,850円

爽やかな泡が軽やかでフレッシュなアタック。フルーティで奥深い味わい。

最初はスパークリングからである。「d.A.ブランケット・ド・リムー」という名称の通り、AOCブランケット・ド・リムーで、リムーというのは世界で初めて瓶内2次発酵のスパークリングワインが生まれたところだそうである。AOCクレマン・ド・リムーというのもあって、そちらはシャルドネ主体、ブランケット・ド・リムーを名乗るにはモーザックというブドウ品種を90%以上使わないといけない。モーザックは青リンゴ、蜂蜜のように爽やかな香りで、泡は軽やか。フルーティで奥深くて、滑らかで苦味が強くない。優しくてエレガントだから、アウトドアでも楽しんでもらえるし、パーティーで開ければ、日本ではまだ知られてないから話題を提供することもできる。意外に使い勝手がよい、と情野さん。

以下、ご参考までに紹介されたワインを並べるとこうなる。いずれもAOCラングドックのグラン・ヴァンもしくはクリュのワインである。

シャトー・ダングレス
クラシック・ブラン
2016[白]

輸入会社:アルカン
ブドウ品種:ブールブラン、グルナッシュ・ブラン、ルーサンヌ、マルサンヌ
小売希望価格:2,052円(税込)

新鮮なスパイスのエレガントな香り。ミネラルの感じられるフレッシュ感。

ドメーヌ・ローリエ
ドメーヌ・デ・ローリエ・ピクプー・ド・ピネ
2017[白]

輸入会社:カリテ・エ・プリン
ブドウ品種:ピクプー
小売希望価格:1,900円

「ピク」とは“刺す”の意。酸味と果実味の品のよいバランス。

シャトー・ボリー・ヌーヴ
レ・テラス
2017[ロゼ]

輸入会社:グラマーインターナショナルワイン
ブドウ品種:サンソー、グルナッシュ
小売希望価格:1,836円

やさしい果実味がしっかり。癖がない。少し冷やして。

トゥール デ ガルディエ
トゥール ガルディエ ピク サン ルー
2013[赤]

輸入会社:稲葉
ブドウ品種:シラー、グルナッシュ、ムールヴェードル
小売希望価格:2,916円

口当たりはバランスが取れている。パーティー用にすごくいい。

ドメーヌ・デュ・パ・ド・レスカット
レ・クラパス・ルージュ
2015[赤]

輸入会社:アンジュエ
ブドウ品種:シラー、カリニャン、グルナッシュ
小売希望価格:3,780円

スパイシーな香り。お肉が食べたい味わい。

ジェラール・ベルトラン
シャトー エグ ヴィヴ
2015[赤]

輸入会社:ファインズ
ブドウ品種:カリニャン、シラー、グルナッシュ、ムールヴェードル
小売希望価格:3,900円

スッキリ爽やかメントールの香りにモカ的要素。低重心。

カーヴ・ド・ラブレ
ミュスカ・ド・ミルヴァル・ビオ
2014[天然甘口ワイン]

輸入会社:トゥエンティーワンコミュニティ
ブドウ品種:ミュスカ・ア・プティ・グラン
小売希望価格:2,646円

グラスを細くすると甘みを感じる。フォアグラにも合う。

というようにバラエティに富んでいる。

記者が興味深いと思ったのは7本目の「シャトー エグ ヴィヴ」を紹介するときに披露されたお話だった。こちらのAOCコルビエール・ブートナックはラングドックの最高位の「クリュ」に認定されている地区で、価格も参考上代が3,900円と、今回紹介されたなかで一番高い。AOCコルビエール・ブートナックでは30%以上のカリニャンのアッサンブラージュを義務づけているので、ブドウ品種は上記のごとくになっているわけだけれど、カリニャンというのはもともと、情野さんいわく「1haあたり100リットルとれる、産めよ増やせ品種」だった。

それというのも、フランス国内向けのテーブルワインをつくっていた植民地アルジェリアが1962年に独立した後、ラングドックが好適ということになり、このカリニャンが植えられたからだ。ところが、EU統合(1993年)で、安いテーブルワインはフランス産である必要がなくなった。そこで、フランス政府はラングドックのカリニャンを抜く対象にした。おかげで、カリニャンが珍しい品種になってきた。という状況のなか、ラングドックの頂点に立つAOCを探しましょう、となったときにコルビエール・ブートナック地区が選ばれたのは、カリニャンのよさを表現するテロワールに恵まれていたからだった。

世のなか、わからないといいますか、捨てる神あれば拾う神あり。人間万事塞翁が馬。禍福はあざなえる縄の如しであります。


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