2019年3月、世界最優秀ソムリエの座をかけた、3年に一度の大会が開催される。「ソムリエのオリンピック」ともいわれる舞台に立つ日本代表は、ベテランの実力と風格を備える森覚氏と、彗星のごとく現れた若手の岩田渉氏に決まりました!!

 

2019年ベルギー大会へ

2018年師走の慌ただしい風がそろそろ吹き始めるころ、朗報が届きました。

2019年3月10日から15日にベルギーのアントワープにて開催される第16回A.S.I.(Association de la Sommellerie Internationale=世界ソムリエ協会)世界最優秀ソムリエコンクールに出場する日本代表選手が発表となったのです。

世界最優秀ソムリエコンクールとは、A.S.I.加盟の55カ国、そしてオブザーバー参加の4カ国からなる各国の代表ソムリエと、3大陸それぞれで行われるコンクールを勝ち抜いた代表ソムリエ3名の、合計たった62席しかない限られた代表権を獲得するところから始まる戦いを制した、まさに精鋭たちがしのぎを削る決戦場です。



2010年チリ大会、2013年日本大会、2016年アルゼンチン大会、2019年ベルギー大会と、世界大会4連続出場を果たすベテランの森覚ソムリエ(40歳)。

日本代表の1席を手にしたのは、森覚ソムリエ。2008年の第5回全日本最優秀ソムリエコンクール優勝者であり、以来、世界大会への挑戦を開始、日本のみならず世界のトップと戦ってきた実力と経験を武器とする選手です。各国を代表するソムリエの動向や、どんな問題が出されるかも、そのとき、自分がどういう気持ちになっているかもわかっています。経験ほど頼りになるものはありません。

森ソムリエは、何度も出場しているからこそ、自分に課しているテーマがもあると言います。世界大会出場の先輩として、もうひとりの日本を背負う代表である岩田ソムリエを支える存在となることです。もちろん、後続の若い世代にとって目標となるものを遺したい、という熱い想いも胸に抱いています。出るからには勝負にこだわり、世界一を目指す。参加することに意義がある、ということではありません。

「プレッシャーはもちろんあるが、日本代表選手は2人である分、プレッシャーも2分される」と冗談交じりに話してくれましたが、実際、4回目の出場となる森ソムリエに世界中から集まる注目度は高いと思われます。

日本ソムリエ協会副会長でもあり前回のアルゼンチン大会セミファイナリストである石田博氏は、「世界大会を目指すソムリエは精神的にも辛い」と語っています。それに対して森ソムリエは、「環境を整えることで乗り越えられる」と返しています。緻密な努力と調整を重ねる森ソムリエの頭上に「世界一ソムリエ」の栄冠が輝く姿を期待してやみません。

世界大会初出場となる岩田渉ソムリエ(29歳)。常に笑顔を絶やさない好青年ながら、時にみせる鋭い眼差しは世界一を照準に定めている。

そして、もうひとりの日本代表は、10月に京都で行われた第4回A.S.I.アジア・オセアニア最優秀ソムリエコンクールの優勝者、岩田渉ソムリエです。

前回の世界大会、アルゼンチン大会を、スカラシップ優秀賞の副賞として訪れて見学した際、「自分もきっとこの舞台に立つんだ!」と心に決めたそうです。その夢の舞台に立つことが決まり、嬉しさで胸がはち切れんばかりの熱い想いが手に取るように伝わってきます。

若さあふれ、彗星のようなオーラを放つ岩田ソムリエですが、話してみると意外(?)にも不安に思っている様子が見え隠れします。世界を視野に入れると、まだまだ知識が足りない部分が多く見えてくる、ということでしょうか。しかしその謙虚な姿勢が推進力となり、新たな知識の取得へとつながっていくことでしょう。初出場で世界最優秀ソムリエの称号獲得も夢ではない! 準決勝、決勝を勝ち抜く姿を待望します。

ワインの世界はいま、大きく変革しています。

かつてはワインの伝統国と言われるフランスやイタリアの選手が上位を占めていた世界最優秀ソムリエコンクールですが、世界のワイン生産国を表す地図のように、優秀なソムリエを輩出する国は新世界にまで広がって、それまでのような単純な予想はつかなくなっています。全体のレベルが上がって、どの国の選手が世界一になっても不思議ではなく、もちろん日本も例外ではありません。そう、世界3大陸コンクールのひとつであるアジア・オセアニア大会を制した岩田ソムリエがその好例でもあるように。

世界大会まで残り約100日!! 森、岩田両選手ともに、12月、または1月で退職し世界大会に集中します。退路を断った世界への挑戦!! 見逃せません!!

世界一を目指す同志でもあり、好敵手でもある両氏。日本人のワン・ツー・フィニッシュを期待しています!!

この記事を書いた人

須藤千恵子
須藤千恵子
語学留学など世界複数国に滞在するなかで異文化と触れてきた経験と、帰国後にワイン輸入販売社勤務経験から、ワインと食の在り方など、独自のPR活動を行う。(社)日本ソムリエ協会ソムリエ、(社)日本ソムリエ協会SAKE DIPLOMA、(社)日本フードアナリスト協会フードアナリスト。