ヴィレ・クレッセ Viré-Clessé
Domaine André Bonhomme
アンドレ・ボノム
https://www.vireclessebonhomme.fr/
eric palthey andre bonhomme

エリック・パルテさん

動物いっぱいのワイナリー

ワイナリーに足を踏み入れる前から、鳥の声がしていて、犬、猫、鶏は言うに及ばず、裏手の畑には、鴨にアヒルに、羊に馬までいる。ミツバチも育てている。ここまでワイナリーで動物にあまり会わなかった、とおもっていたら一気に出会った。

引き取り手のいない動物を引き取っているうちに、動物だらけに。畑では除虫、除草に活躍する

ドメーヌ アンドレ・ボノムはマコン・ヴィレという村にあり、AOCはヴィレ・クレッセという。モンヴェレ、ヴィレ、クレッセの3つの村でヴィレ・クレッセを為し、現当主、エリック・パルテさんの義理のお父さんであるアンドレ・ボノムさんと、その妻、ジゼルさんが、創設した。基本的には組合で醸造していたこのあたりのブドウ農家のなかで、次に訪れる、ドメーヌ ドゥ・ラ・ボングランとともに、最初に独立したワイナリーだ。

ワイナリーの設立は1956年

建物の奥の小さなテイスティングルームに通されて、いざ試飲、なのだけれど、アットホームな雰囲気に、気を抜いていて、出されたワインの見事さに驚いた。

ブドウはシャルドネ。53もの区画にまたがった畑の総面積は13ha。樹は樹齢60年から100年を越えるものもある。おそらく畑の位置と樹齢が、ここでは重要だ。というのは、標高の高いところ、土地の痩せたところ、古樹のブドウは、ゆっくりとよく熟す。このあたりで一般的な収穫日よりも約1週間は遅らせて、手積みで収穫するというけれど、凝縮したブドウでないと、この味は出ないだろう。

醸造はシンプルで、青い味が出ないよう、全房を優しくプレスして、20度を越えない低温でゆっくりと一カ月くらいかけて発酵をおこなうそうだ。基本的にはブドウに任せる、とのことで、1月になっても発酵がおわっていないこともあるというけれど「焦らないこと。ブドウを焦らせないことです」。澱引きはボトリングのときまでしない。バトナージュはワインに厚みをもたせたいときに、やることもある。

最初に飲んだのは、いずれも、樹齢25年程度で、それはこのドメーヌ基準ではまだ若い樹のブドウのワイン。ヴィレ・クレッセのピエール・ブランシュというワインは、その名の通り、真っ白な石灰の土地を、周辺のドメーヌと1991年に開拓、槭樹した畑だという。つづけて、ヴィレ・クレッセのレ・ブレニヨン。こちらはヴィレ村のリュー・ディで、標高320mくらいの丘の上にある。後者のほうがより柑橘系の印象。共通するのは甘みと苦みのある白ワインで、あとから酸を感じるところ。この特徴は、この先のキュヴェでもっと顕著になる。

アンドレ・ボンノムのワイン

ヴィレ・クレッセ 「ヴィエイユ・ヴィーニュ」というワインのブドウは樹齢70年から95年のものだそうだ。まろやかでなめらか。甘みも感じさせながら、スパイシーさ、苦みがあり、液体の中から酸味が溢れてくるように感じる。ヴィレ・クレッセ「オマージュ・ア・ジゼル・ボノム」は、(アンドレ・ボノムの妻、ジゼルさんに捧げたワイン。新樽100%、18ヶ月熟成で2016年ヴィンテージ)液体の中から、さまざまな味が湧き出して来るよう。酸味と苦み、パイナップルのようなフルーツの味、樽の香り、花の香り。噛めば噛むほど味がでる、という感覚に近い。万華鏡というのだろうか。ドラマチックだ。

「今は飲み頃ではあるんですが、うちのワインは10年は持ちますよ。といって昨日あけたマコン・ヴィレの97年ヴィンテージがありますので、試してみて下さい」

ヴィレ・クレッセが村名アペラシオンとなったのは1998年。それまではマコン・ヴィレという地域名アペラシオンだった。そのマコン・ヴィレ最後のヴィンテージだ。20年の時を経たそのワインは甘く、とろりとして、ちょっとウィスキーみたいな雰囲気になっている。

「コンテチーズと飲みたくないですか?」

ああ! もうコンテが食べたくてしょうがなくなってしまった。

最後に、この間の20年で特筆すべき変化はありましたか、と質問してみると

「この場所は2016年は天候に恵まれていいヴィンテージでした。一方、2018年は暑すぎて、やや強いワインになりそうです。という程度の差はありますが、昔と比べて大きく環境やワインが変わったとはおもいません。造り手次第、畑次第でしょう」

エリックさんは、現在は広報や経理の担当だそうで、ドメーヌは2人の息子さんが中心。近年、評価が高まっているのだそうだ。ということは最大の変化は、ボノム家とパルテ家の血を継いだ3代目の登場なのかもしれない。

この記事を書いた人

WINE-WHAT!? 編集部
WINE-WHAT!? 編集部
(『猫』の次は『三四郎』より抜粋。あ、中身とは関係ありませんでした……) 

三四郎は鞄と傘を片手に持ったまま、あいた手で例の古帽子を取って、ただ一言、
「さよなら」と言った。女はその顔をじっとながめていた、が、やがておちついた調子で、
「あなたはよっぽど度胸のないかたですね」と言って、にやりと笑った。