マコン プリッセ Macon Prisse
Vignerons des Terres Secrètes
ヴィニュロン・デ・テール・セクレット
http://terres-secretes.com/


マコネーを発見せよ

今回の旅で唯一、ドメーヌではないのが、このテール・セクレット。

マコン・プリッセという場所に3つの建物からなる醸造施設をもち、ここから半径10㎞圏内にある157の農家の2500区画からなる900haの畑から収穫されたブドウを醸造、ボトリングする共同醸造所だ。キュヴェは37種類。その他、大口の顧客となる、イギリス、ドイツ、フランスの大手スーパー、GMS等にむけたプライベートブランドもあり、仕向け先は40カ国。世界のどこかで17秒に1本のボトルがあいている計算になるそうで、清潔な製造ラインでは、 ボトリングマシンが1時間に6,000本ペースで瓶詰め作業をしていた。これまででもっとも巨大。数字のケタもちがう。

巨大なステンレスタンク

所狭しと並ぶステンレスタンクは、巨大なものもごく小さいものもある。このほか、1928年の稼働開始時から使われるコンクリートタンクも現役

ボトリングライン

自動化され極めて清潔なボトリングライン

「全部で19のプレス機があり、そのおかげで、こまかな区画ごとのキュヴェも造ることができます。そういったワインは、現状ではマコン+村名、といった名称になります。サン・ヴェランの場合は、プルミエ・クリュと同じ仕組みで、クリマ名を表記できます。ここでは、サン・ヴェラン+リュー・ディとなります。」

とは、ここの醸造長、ジョルジュ・ブリションさん。ちなみにサン・ヴェランの区画、レ・クラは今後、プルミエ・クリュになりそうだということで、そういった申請作業なども頑張っている、この地域の代表格だ。

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醸造長のジョルジュ・ブリションさん

「そのため、ちょっと価格は高いです」

というのだけれど、もらった豪華なパンフレットには価格が載っていて、サン・ヴェランのレ・クラ、品種はシャルドネで、確かにここでは、特別な価格。とはいえ12.5ユーロなのである。フランス現地価格ではあり、そしてその価格はフランスでは高級品だけれど、日本だったら3,000円くらい? 品質から考えたら安い。

「そうでしょうか。かなり個性的だとおもいますが。このあたりでは標高が高い区画で、60mくらい下にいくと、レ・プランテというクリマになります。表土がほとんどない岩がちの土壌です。4haほどしかなく、天候に左右されやすく、飲み頃になるのにも時間がかかりますし、石灰の土壌ですから、好き嫌いは分かれるところかとおもいますよ」

ピーンとした酸と、口当たりのミネラル感はそれゆえか。

「30%ほどが樽熟成で、熟成期間は30ヶ月。生産量は、最大限造れて3万3千ボトルくらいですね」

大量生産を実現する傍ら、こんな個性的なワインが造れる。ちなみに、言及のあったレ・プランテは土壌が粘土質だというのだけれど、青リンゴのような酸味とジューシーさがバランスよく、ミネラル感は遜色ないほど。よりフレンドリーかもしれない。サン・ヴェランのレ・クラより、2ユーロくらい安いし。

このレ・プランテと同価格帯のサン・ヴェランでも、クロワ・ドゥ・モンソーというリュー・ディのものは、日当たりがよい畑ということで、甘みがある。大手量販店向けの、サン・ヴェランのオー・モン、レ・グランヴィー ニュには、中間に若干の苦みを感じる。そして、これらよりさらに2ユーロほど懐フレンドリーな、複数のサン・ヴェランの畑をアッサンブラージュして、サン・ヴェラン以外なにも名前のつかないワインは、アッサンブラージュの妙技か、個性は弱まるかもしれないけれど、分かりやすく親しみやすい。こういう選択肢の豊かさがフランスの生活の贅沢だとあらためておもう。

そして、マコンのガメイ100%の赤ワインも素晴らしかった。価格は7ユーロ半ほどで、マコン ピエールクロという方が軽やかで、レ・センチネルというマコンの赤の方が熟成した果汁の甘みがある。

テール・セクレットとは、秘密の土地という意味。ただ、秘密のままでいるつもりはないようで、その下に「マコネーを明らかにする」というひとことが添えられている。マコンを発見するには、まず、ここから、というのは いいかもしれない。メインとなる醸造所では、ほとんどすべてのワインが試飲できる。

ちなみにその際は、ぜひ、クレマンも試して欲しい。ブドウはマコンよりむしろ、オート・コート・ド・ボーヌやオート・コート・ド・ニュイが中心のようなのだけれど、筆者、ここでの一番の感動はクレマン・ド・ブルゴーニュだった。熟成感と酸味のバランスがノン・ヴィンテージのブリュットでもすでに見事。最高級のミレジメ(2013年ヴィンテージ)は、ピノ・ノワール6割、シャルドネ3割に、アリゴテやガメイなどが加わっているそう。エクス トラ・ブリュット、36ヶ月熟成。爽やかだし、香り豊かだし、複雑だし、50ユーロといわれても一本買って帰りたいとおもったら10ユーロ20だった。ケースで買いたい!

Vignerons des Terres Secrètes  Vins

ずらりと並んだワインだけれど、これですべてではなく、もっとたくさんの選択肢がある。試飲しながらのワイナリーでのショッピングは楽しい時間になるはず

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WINE-WHAT!? 編集部
WINE-WHAT!? 編集部
(『猫』の次は『三四郎』より抜粋。あ、中身とは関係ありませんでした……) 

三四郎は鞄と傘を片手に持ったまま、あいた手で例の古帽子を取って、ただ一言、
「さよなら」と言った。女はその顔をじっとながめていた、が、やがておちついた調子で、
「あなたはよっぽど度胸のないかたですね」と言って、にやりと笑った。