田原可南子さんの「ワイン初体験」シリーズ第6回。テーマは「ジャケ買い」。見た目で気に入ったものを買う、という意味ですが、知識や先入観にとらわれず、自由に選べるというメリットもあるんです。

取材・文&ワインナビゲーター:岩瀬大二 写真:篠原宏明

取材協力
ラ・ヴィネ tel.03-5424-2581
WINE MARKET PARTY tel.03-5424-2580
東京都渋谷区恵比寿4丁目20-7 恵比寿ガーデンプレイスB1
営業時間 11:00~20:00

見た目でどうぞ

ボトルやラベルデザインだけを見てワインを選ぶ、というジャケ買い企画に協力いただいたのは、ワインの品揃え、多彩さではやはりここ! という恵比寿の「ラ・ヴィネ」と「WINE MARKET PARTY」。「ラ・ヴィネ」店長の阿保孝史さんにもお手伝いをお願いしました。強力な助っ人を得て意気揚々のナビゲーター。

今回はスペシャル講師として、「ラ・ヴィネ」店長の阿保孝史(中央)さんにご協力いただいた。田原さんも阿保さんの説明に興味津々。右端は、本シリーズのワインナビゲーター岩瀬大二。

「では早速、選んでください!」

でも、可南子さんはちょっと怯み気味。

「なんの手がかりもないですし、私の知識でこれだけの沢山のワインの中から選べるものなんでしょうか?」

そこはお気になされず。中身を考える必要はなく見た目でどうぞ。だって「ジャケット」は造り手が自分たちのセンスで考えたもの。造り手がこういうワインでありたい、という気持ちを込めたものですから、それが自分の気分に合うな、と思えば、それはきっと自分にとって相性がいいワインのはず。

セットアップ:semoh tel.03-6451-0705 ピアス・リング:AURORA GRAN tel.03-6432-9761

「洋服を選んでいる時に、あ、この服と出会っちゃったな、というような感覚でしょうか。そういう服というのが結局、長くお気に入りになるのかも」

その場面、可南子さんが好きな海外の街でふらっと入ったお店だったりするとすごくドラマティックでしょ? ブランドや知識より、自分が第一印象で「好き!」と感じる。ワインも最初はそれでいいじゃないですか。

といってもかなりの品揃えのお店ですから、選ぶのも大変。まずは阿保さんに8本セレクトしていただいて、可南子さんの好きな傾向を見ていきましょう。

「ラ・ヴィネ」店長の阿保孝史さんチョイスの8本 
左から
メゾン・ジャンジー ブーズロン ベー 
生産国/地域:フランス/ブルゴーニュ 品種:アリゴテ100% 希望小売価格:3,900円 
ソフィー・ベルダン プイィ・フュメ レシックス
生産国/地域:フランス/ローヌ 品種:ソーヴィニヨン・ブラン100% 希望小売価格:3,500円
キュヴェ・フロール シャンパーニュ クロード・ミシェズ 
生産国/地域:フランス/シャンパーニュ 品種:シャルドネ主体、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ 希望小売価格:4,900円 
ルイ・マニャン ルーセット・ド・サヴォワ2014
生産国/地域:フランス/サヴォワ 品種:ルーセット(アルテッス) 希望小売価格:4,500円 
ジャン・ローラン コトー・シャンプノワ・ルージュ2012 
生産国/地域:フランス/シャンパーニュ 品種:ピノ・ノワール100% 希望小売価格:3,800円 
ドメーヌ・デュ・マルガロー トゥーレーヌ・ロゼ メトード・トラディショネル
生産国/地域:フランス/ロワール 品種:マルベック70%、グロロー30% 希望小売価格:2,500円 
シャトー・ド・ルーセ アルプ・ド・オート・プロヴァンス・ブラン ル・バンバン2017 
生産国/地域:フランス/プロヴァンス 品種:ヴィオニエ 希望小売価格:2,400円 
シャトー・ド・ルーセ アルプ・ド・オート・プロヴァンス・ロゼ ル・バンバン2017 
生産国/地域:フランス/プロヴァンス 品種:グルナッシュ、シラー、ヴェルメンティーノ 希望小売価格:2,300円 ※現在入荷待ち

可愛らしいジャケットは味も?

「こうやって並べると違いが分かりやすいですね。第1印象は……まず右の2本、イラストに描かれている赤い果実? お花ですか? それもとても可愛らしいです。お味も可愛らしいのかしら?」

阿保さんが笑顔で答えます。

「ピーチネクターのような雰囲気があります。ドライではありますけれどフルーティな甘みです」

お、やはりイメージと合致するものですね。これがそのテイストでヘビーメタルなジャケットってことはないですもんね。

「そうすると隣はインパクトが強い。中身も個性ありそう」と可南子さん。花火が炸裂しているようなジャケット。阿保さん、ここでも笑顔。

「これはロワールというエリアで、マルベックというブドウ品種を使ったスパークリングワインです。あまりこの地でこのブドウを使って泡はつくらないんで個性的ですよね。力強い印象のワインですよ」

おぉ! 合致。

その後も、「安心感」、「レトロ可愛い」、「高い店に来ちゃった感じ」、「スタイリッシュ」といろいろなキーワードが出てきます。阿保さんの解説を聞くとワインの中身と不思議にあうものです。

最後は、画像向かって左、石灰岩と修道院のアーチのようにも見えるBの黒いロゴと、純白のイメージボトルが印象的な「ブーズロン ベー メゾン・シャンジー2014」。若き醸造家がブルゴーニュの重鎮たちを驚かせているというワインで、圧倒的な透明感とピュアな味わい。文字の情報がなくても、なんとなくその背景の物語とテイストが伝わってきます。

可南子さん、感慨深げに「正直、フランス語にしても何が書いてあるかわからないですし、この白ボトルのようになにも書いていないのも今の私には一緒ですから、ジャケ買いっていいかもですね」。

さあ、それではいよいよお店の中から可南子さんに、選んでいただきましょう。

「なんだか楽しみになってきました!」

おぉ、心強い。さて、15分ほどわくわくした表情で探して、選んだワインはこれ! ポップなジャケットの「ル・プティ・グザヴィエ・ブラン」。ボトルでヒゲの水兵さんが笑ってます。ボーダーもいい。

「とにかく、かわいい! かわいすぎる。インスタにのせたいです。撮るなら明るい場所で。フランスワインでも、私の好きなイタリアンの魚介系にもあいそうじゃないですか。そんな料理と合わせて紹介したいです」

飲んでみた印象は?

「意外と軽いだけじゃない。パワーはありますね。でも、さっと消えていく。ヒゲさん、力強いけど爽やか(笑)」

ここで阿保さんから情報が。

「実は、モエ・エ・シャンドンでブレンドを担当していたグザヴィエ・ヴィニョンが、故郷の南仏で造っているワインなんです。2002年創業ながら、圧倒的品質で注目されています。アルコールのボリューム感もありますね」

ちょっと専門的に紐解けば、ブドウは、ローヌ地方ヴァントゥー地区の葡萄と、ラングドック地方のコルビエール地区で栽培された葡萄をブレンド。これはいろいろなアぺラシオン(原産地)を使う、シャンパーニュのブレンドにインスピレーションを得ているとのこと。なるほど、清涼感と濃厚さやボリューム感を併せ持った魅力的な味わいには裏があるわけですね。せっかくの出会い、ボーダーのおじさんに名前をつけてみません?

「名前は……ジェームズ。南仏のジェームズおじさん! もう忘れません(笑)」

自分を変える運命の洋服と旅先で会うように、一目ぼれしたワインから始まることがあります。なにより、好きになったワインだから、今までは記号に過ぎなかった、地域名やブドウ品種もこれをきっかけに覚えられる。それが次にワインを選ぶときのヒントになります。

みなさんもジャケ買いからワインの世界、広げてください! 



田原可南子さんが選んだ2本

グザヴィエ・ヴァン ル・プティ・グザヴィエ・ブラン(左)
生産国/地域:フランス/南仏 品種:ソーヴィニヨン・ブラン50%、ピクプール30%、グルナッシュ・ブラン20% 希望小売価格:2,000円
ブルーノ・コラン ブルゴーニュ・シャルドネ
生産国/地域:フランス/ブルゴーニュ 品種:シャルドネ100% 希望小売価格:3,900円

ジェームズおじさん」(左)と最後まで悩んだもう1本が、うって変わって見た目はクールな雰囲気の「ブルーノ・コラン ブルゴーニュ・シャルドネ」(右)。たとえて言うと「育ちの良いかっこいい人でしょうか。でもちょっとチャラさも(笑)」 
こちらはブルゴーニュでも指折りの名醸造一家の当主の息子さんが設立したドメーヌ(自社畑でワインを造る生産者のこと)。よく熟した白い果肉のフルーツの風味にミネラルのニュアンスが絡まりあっているという印象。阿保さんからは「2015年は良年で、シャルドネの繊細さと相まって複雑で豊かな美味しさが楽しめます。確かにちょっと色気があるかも(笑)」。




田原可南子のこの1本

ル・プティ・グザヴィエ・ブラン

たはら・かなこ
1994 年生まれ。東京出身。女優。父は歌手の田原俊彦。大学卒業後、芸能活動を本格始動。ドラマ「ヒモメン」「架空OL日記」などに出演。

この記事を書いた人

WINE-WHAT!? 編集部
WINE-WHAT!? 編集部
(『猫』の次は『三四郎』より抜粋。あ、中身とは関係ありませんでした……) 

三四郎は鞄と傘を片手に持ったまま、あいた手で例の古帽子を取って、ただ一言、
「さよなら」と言った。女はその顔をじっとながめていた、が、やがておちついた調子で、
「あなたはよっぽど度胸のないかたですね」と言って、にやりと笑った。