• TOP
  • #WINE
  • ローカルが決め手! ドイツワインの新しい品種ムーブメント

ローカルが決め手! ドイツワインの新しい品種ムーブメント

いつまでも甘口の白だけじゃない

若手醸造家を訪ねてみると・・・セレクションは六者六様。

あらたに選ぶ。あらためて選ぶ。「これぞ」というブドウはやはり、どれも地元に根ざした品種だった。

訪問地4 Weingut Singer(ジンガー醸造所)

イチオシは、造り分け自在な「トロリンガー」。

5326-15

トロリンガーだけで7種のワインを造り分けている、ジンガー醸造所。バーバラ・ジンガーさんは、「うちはトロリンガーに特化したワイナリーです」と言い切る。スティルの赤だけでなく、スパークリングも軽い「トロリセッコ」としっかりロゼ色の「トロリンガー・ロゼ・ブリュット」の2種用意。親から引き継いだ畑の品種を次の世代へ伝えねば、との思いは強い。ただ、地球温暖化の影響で、新たにメルローをはじめとするボルドー系品種の栽培も可能になったと判断。「キュヴェB」は、10 年前から植え始めたカベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロのブレンドだ。

5326-16

訪問地5 Weingut Dautel(ダウテル醸造所)

イチオシは、料理を選ばない「ヴァイスブルグンダー」。

5326-17

ダウテル醸造所のクリスティアン・ダウテルさんの持論は「リースリングと比べ、上質なヴァイスブルグンダーのほうが合わせる料理を選びません」。なるほど、たとえばクレソンのクリームスープにも、クセのないヴァイスブルグンダー(ピノ・ブラン)はピッタリだ。「本当はレンベルガーにも可能性の高さを感じているけど、どちらの品種にせよ、今後はストーリーと一緒に売らなければ。ストーリーとは歴史、哲学のこと。長年ワインをただ飲み続けてきた国ではない、ワイン生産国ドイツならではのストーリー性で、ワインを肉付けして諸外国へアピールするべき」。ドレッドヘアの男は熱い。

5326-18

訪問地6 Weingut Heid(ハイト醸造所)

イチオシは、「トロリンガー」のロゼ。

5326-19

ハイト醸造所のマルクス・ハイトさんは、トロリンガーを世界中で通用するワインに仕上げたいとの希望を抱いてきた。当初はパワフルなフルボディの赤を造っていたが、どうにもムリが生じる。そこで、トロリンガーのチャーミングな色やピュアなフルーツのニュアンスを損なわないロゼワインへとチェンジ。グリーンサラダに合わせても違和感のない瑞々しさが際立った。トロリンガーの行く末が落ち着いたところで、目下の課題は16世紀に建てられた地下セラーの改装。予算の問題もあり、出来る限り自分たちで直していくつもりだ。数年後には、立派な試飲ルームが完成予定。

5326-20

訪問地7 Weingut Phannebecker(ファンヌベッカー醸造所)

イチオシは、酸が程よい「ヴァイスブルグンダー」。

5326-21

「リースリングの次にドイツ人が追うのはヴァイスブルグンダー」と予言するのは、ファンヌベッカー醸造所のマックス・ファンヌベッカーさん。確かに、ドイツでの栽培面積はジリジリと上昇あるのみ。気候の変化で収獲時期は毎年変わるのに、酸のボリュームが常に程よい加減で留まってくれ、食事と合わせやすいワインに仕上がるのも勝因だとか。「ところで。早飲みと思われがちですが、畑名を冠したワインなら10 年は保存できますよ」。赤のシュペトブルグンダーと同様、白のヴァイスブルグンダーも3年ほど経つと酸がよく溶け、オイリーな厚みがぐんとアップする。

5326-22

訪問地8 Weingut Winter(ヴィンター醸造所)

イチオシは、辛口の「リースリング」。

5326-23

サッカーで鍛えた筋肉を見せつつ、ヴィンター醸造所のシュテファン・ヴィンターさんは「筋肉質なリースリングは好きじゃない」と笑う。ただ、酸をきっちり残したミネラリーな味わいは守る。「辛口リースリングに注力してきたんです」。リースリングのことなら祖父母や父母のワイナリーで触れて熟知していた自負があり、大学に行って醸造を学ぶ4年間が惜しい。そこで高卒後すぐ親の援助を受け、1999年から有機栽培リースリングのワイン生産をスタート。ちょうど時代は辛口ワインにシフトし、玄人好みな彼のリースリングは大成功。「今は、次のステップを思案中」。

5326-24

訪問地9 Weingut Stallmann-Hiestand(シュタルマン・ヒーシュタント醸造所)

イチオシは、アタマがクリアになる「ブルグンダー系」。

5326-25

シュペトブルグンダーとグラウブルグンダー、どちらも推すのはシュタルマン・ヒーシュタント醸造所のクリストフ・ヒーシュタントさんだ。「リースリングはドイツ人の人生の一部」という言い回しがあるそうだが、ある日友人と「ドイツ人が人生哲学を語るなら、アタマがクリアになるブルグンダー系が一番」との新法則を発見。味が複雑すぎず、会話に集中できる点が高評価とか。幸運なことに、ラインヘッセンにあるワイナリーの周囲はブルグンダー系の栽培に適したエリア。もともと力を入れていた白ワインのなかで、特にブルグンダー系を後押しするさらなる理由が加わった。

5326-26

この記事を書いた人

WINEWHAT
WINEWHAT
YouTubeInstagramでも、コンテンツ配信中!
フォローをお願いいたします。

Related Posts

PAGE TOP