イタリアワインに詳しい永瀬喜洋ソムリエによると、和食とイタリアワインのペアリングの失敗率はたったの15%だそう。成功率85%!? そう主張する理由を永瀬ソムリエ自身が語る。



永瀬喜洋さん

第8回JETCUPイタリアワイン・ベスト・ソムリエ・コンクール優勝。イタリアワイン通が足繁く通う名店「ヴィーノ デッラ パーチェ ラ ソスタ」でソムリエとして活躍したのち、独立。現在はワインスクール講師、ワイン販促のアドバイザー、プロモーションの企画・運営など、日本でのイタリアワインの普及に尽力している。



1 ワインと食の国際結婚、成功の秘訣は自然体

ワインと和食のペアリング。フランス語でマリアージュ(結婚)と呼ばれるのはよく知られているが、「外国のワインと和食のマリアージュって、ようは国際結婚ですよ」と永瀬喜洋さんが笑顔でたとえてみせた。同じ土地で長年一緒に育まれた酒と食は、同郷のよしみで自然に馴染む。生まれ育った地が違えば、それだけマリアージュのハードルが上がるのは当然だという。

けれど、「イタリアワインなら和食と合わせやすい」と永瀬さんは断言する。さすがアモーレ(愛)の国イタリア、ワインが情熱的に和食へ迫ってマリアージュを成就させる図式なのか??

「いえいえ、じつはイタリアでは、ペアリングのことをアッビナメント(Abbinamento)と呼んでいます。意味は、“馴染ませる”。結婚に近いニュアンスでの“ペアリング”もありますが、そこまでガチっと型にハメるのでなく、基本的には『2つが一緒になったら、なにか面白いことが生まれるんだろうなぁ』くらいの意識でスタートしていくんです」

私たちの食卓にのぼる和食は、食材の風味をきちんと残した滋味あふれる料理ばかり。原料のブドウらしさをきちんと残したワインなら、和食との間にスタイルの共通性が生まれ、ペアリングの成功率が格段に上がる。「ブドウらしさ」とは、品種の個性と言い換えることができる。けして醸造テクニックを駆使しすぎず、品種の個性をほどよく残して和食と合わせやすいワインは「イタリア、スペイン、ギリシャ……このあたりの国々に多いんです」と永瀬さん。

なるほど、永瀬さんがイタリアワインを和食に推すわけだ。

よく造りこまれた超高級ワインも美味ではあるけれど、それらが似合うのは、同じく手間暇かけて調理され素材感が前面に出てこない欧米の料理……。

と言いながらも、天ぷらや寿司といった高級料理には、やはり高級ワインを合わせるべきでは?

「天ぷらも寿司も、昔は屋台で提供されていたファストフード。歴史的背景、出自にも着目すれば、これらは超高級ワインでなくてもフィットすると納得できるでしょう」と永瀬さんの答は明快だった。



画像はイメージです。

2 イタリアワインと和食なら85%失敗ナシ

“歴史”という単語が永瀬さんから飛び出し、いよいよペアリングの極意へと話が移るかと思いきや……

「イタリアワインと和食のペアリングなら、どんな組み合わせでも85%の割合で失敗しません!」と永瀬さんから爆弾発言が飛び出した。

多種多様なイタリアワインと、これまた多種多様な和食。

ブドウ品種の個性と食材の風味とでスタイルをリンクさせやすいとの理論は納得がいくとはいえ、何も考えないままイタリアワインと和食を合わせても85%という高い割合で失敗ナシとは、これ如何に?

「ペアリングの精度をどこに持っていくかで話は変わるのですが、“失敗”とは『料理とワインがケンカする』ということ。それを全体の割合で見ると、残念ながら10~15%はどうしても合わない。つまり、望んでいない味わいが生まれてしまう。

それ以外の85%は『合わないことはない』という状態で、ワインと料理がケンカしない。

そのなかの5%以下が、いわゆるベストマッチ。ソムリエなどの専門家たちは、この5%以下に当てはまるワインと料理との相乗効果を求めてペアリングに挑んでいるのです」

家飲みパーティや持ち寄りワイン会に誘われると、どんなワインを持参していこうか悩んでしまう。

もし「食事は和食で」と事前に聞いていたとしても、料理内容が漠然としていてはワインを選びようがない。そんなとき、とりあえずイタリアワインを手に参加すれば、大きな確率でハズレは避けられる。ワインで迷ったらイタリアン、と覚えておきたい。



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3 イタリアワイン攻略は「品種ファースト」でラクラク

『ワインワット』としてはその5%以下のベストマッチを目指して精進したい。

たとえイタリアワインに苦手意識を持つ読者がいるとしても、だ。

イタリアの地場品種の種類は2000超、ワイン法による格付けや認定エリアは度々変更され、「スーパー・タスカン」をはじめ格付けに捕らわれないワインたちが煌めき続ける。イタリアワインに向き合う覚悟を決めても、どこから手をつけていいやら途方にくれるほどのカオスっぷり……。

普通、ワインを勉強する人は最初に地図を開く。有名なワイン生産国の地図を眺め、主な産地ごとに区切って気候風土の特徴をつかみ、その地を代表するブドウ品種をおさえていくのが定石だ。ただ、イタリア20州すべてを訪問して土壌の多彩さを体感してきた永瀬さんからすれば、「産地ファースト」セオリーは非推奨。産地ごとに区切って勉強しても、土壌が違えばワインの味は変わる。品種ごとに産地が明確に限定されてもいない。

ゆえに、永瀬さんは「イタリアの場合、産地でなく品種の特徴をまず知っておく」ことをオススメしている。とくに食事との相性をすぐ見極めたいなら、ワインの味に一番大きな影響を与える要素から紐解くのが、合理的なのだ。

永瀬さんは以前、「イタリアの黒ブドウ三大品種との付き合い方」という記事で、ネッビオーロ、サンジョヴェーゼ、アリアニコのイタリア3大品種と料理との相性を紹介している。さらに次のステップとしておさえておきたいのが、3大品種に続く代表的な8大品種で、これについては「ネッビオーロ、サンジョヴェーゼ、アリアニコ以外で知っておくべきイタリアの8大ブドウ品種」で紹介しているので、ぜひご覧ください。

イタリアワインと和食とのベストマッチを自分で発見するべく、さあ「品種ファースト」で行こう!

ネッビオーロ、サンジョヴェーゼ、アリアニコ以外で知っておくべきイタリアの8大ブドウ品種につづく。



【ちょっとおさらい】 

和食とピッタリ!! イタリア3大品種

ネッビオーロ
イタリア北部で多く栽培されているブドウ品種。料理の油脂を洗い流してくれる酸味と、パワフルなタンニンが特徴的で、豚の角煮やすき焼きと仲良し。

サンジョヴェーゼ
味わいの基本にあるのは、酸と果実味。タンニンは強すぎず、するする飲めるスタイルが主流だ。余分な脂のない炭焼きの牛肉や、マグロの刺身に。

アリアニコ
酸もタンニンも効いてる、イタリア南部の代表品種。スパイシーだからカレーと合うし、果実味たっぷりなタイプなら、ほんのり甘いジンギスカンもオススメ。

この記事を書いた人

WINEWHAT
WINEWHAT
年末はこの1年の感謝を込めてシャンパーニュを開けまして。

キリスト教とは無関係でも開けまして。

正月は新しい1年の無病息災を祈って開けまして。

あけましたらおめでとうございます〜。