ワインの造り手に必要なものはなんだろう。
すき焼きとモエ・エ・シャンドン

「酸味、苦味、甘み、うま味、塩味の五味のうち、シャンパーニュには、塩味がない。ゆえに、塩味と組み合わせると絶妙なハーモニーになる」とブノワ・ゴエズは語る。「単に塩でいいという話ではない。魚介の味や醤油の塩気など、塩味の側も複雑であるほど、モエ・エ・シャンドンには合う」この日は、東京 人形町の「すき焼割烹 日山」にてすき焼きと合わせた。「日本食でモエ・エ・シャンドンに合わない例にはいまだ巡り合わない。素材を厳選し精密に仕上げるという発想がシャンパーニュと共通しているのだとおもう」

シャンパーニュ最大規模のメゾン モエ・エ・シャンドンで15年間も醸造最高責任者の大任を務めるブノワ・ゴエズは、「何よりもチーム。モエ・エ・シャンドンのような巨大な組織では私一人では何もできません。また個人はブレます。チームになることでしっかりします」

ブノワ・ゴエズ

ブノワ・ゴエズ
1970年、フランス ブルターニュ生まれ。バイオテクノロジーに興味があったが、本人曰く「成績が足りず」農業を学ぶうちに、ワインの世界で活躍するようになり、2015年からモエ・エ・シャンドンの醸造最高責任者を務める。2002年に匹敵するグレートヴィンテージなるかもしれない、と期待を寄せる2019年のベースワインのテイスティングが始まる直前、来日した。日本食好きで「秋の日本は食事が最高に美味しいから、秋に来られて嬉しい」

 

「私個人をいえば幸運でしょうか。私はフランスでは珍しい、ワインを造っていない地方の出身です。20歳でモンペリエの高等学校で作物栽培学を学びました」この高等学校というのはフランスのエリート養成専門大学のような機関を指す。「学校でワイン醸造とブドウ栽培を学ぶ友人や教授の影響で、ワインに惹かれました。なぜなら、科学、技術に感性をバランスさせるものだから。また、文化的で社交的なものだと知ったのです」

その後、世界のワイナリーで修行を積んで、南仏で転職を考えていたころ、たまたまワインメーカーを探していた、モエ・エ・シャンドンに1999年、参加。2005年に醸造最高責任者になったのも「たまたま、そこにいたから」だと語る。

「いるべきときにいるべき場所にいることが一つ。それから、勉強だけではダメで、経験を積むこと。旅をして、いろいろな価値観や味を知ること。理屈や情報量だけでいいなら、高度なA Iがもっとよいシャンパーニュを造るかもしれません」

そういうブノワ・ゴエズの時代はテクノロジーの時代だ。入社当時は1日1回、目視で検査していた発酵槽は、いまや密閉され、5秒に一度、各種データを取る。過去から、未来を予想することもできるという。しかしそれは「道具に過ぎない」「たとえば、あなたは視力が1.5だから、という理由で誰かを愛しますか? 飲んで楽しい。まずはそこから。完璧なシャンパーニュがあったとしたら、冷徹でつまらない。魂なくして偉大なシャンパーニュは生まれない。だから、ちょっとしたほころびを私は愛します」

グラン ヴィンテージ 2012

最新のヴィンテージである「グラン ヴィンテージ 2012」は口当たりが優しく、軽やかでフレッシュで明るい。ブノワ・ゴエズは「春から夏になりつつある季節のようなイメージ。淡い光、淡い色。成熟しきって、色や香りがはっきりしているのではなく、まだ、薄く色づき始めて、緑をのこしている植物のようなイメージです」と表現した

この記事を書いた人

WINEWHAT
WINEWHAT
年末はこの1年の感謝を込めてシャンパーニュを開けまして。

キリスト教とは無関係でも開けまして。

正月は新しい1年の無病息災を祈って開けまして。

あけましたらおめでとうございます〜。