家族経営が基本のブルゴーニュでは、いつかは必ず世代交代が起きる。近頃はブルゴーニュの閉鎖性も解消されたのか、新規参入の造り手も少なくない。新しい世代に共通するのは熱いパッション。それがワインの質にも表れている。
ブルゴーニュ

ペルナン・ヴェルジュレスの丘から眺めたブドウ畑。これぞコート・ドールだ。

野心を持った新しきワインメーカーに出会うため、コート・ドールへやってきた

10月下旬、すでに2019年の仕込みも一段落したブルゴーニュは、天候こそ曇りがちなものの、ブドウ樹の葉が黄や赤に美しく色づいていた。これぞまさしくコート・ドール……黄金丘陵の眺めである。

多くのワイン愛好家の心を鷲掴みにして放さないブルゴーニュ。その秘密のひとつはテロワールにある。

白はシャルドネ、赤はピノ・ノワールの単一品種から造られているにもかかわらず、畦道ひとつ隔てただけで微妙に異なるフレーバーや味わい。石灰が強いのか、それとも粘土が強いのか、斜面は東向きか南向きか、そもそも斜面なのか平地なのか、そうしたテロワールについて論議した時に、一種のカタルシスを覚えずにはいられない。

そしてもうひとつが人の手の温もりである。

多くの造り手がワイン造りでの非介入を主張するが、実際には収穫のタイミングから瓶詰めまで、人が手を出さざるを得ないことのほうが圧倒的に多い。したがって、完成したワインにはその造り手のパーソナリティが、多かれ少なかれ反映されてしかるべきものである。

前者は普遍だが、後者は人が変わるたび顕著に表れる。そこでわれわれは憧れのコート・ドールへとやってきた。野心をもった新しき造り手と出会うために。

彼らが造るワインは果たして、どこまで生まれ育った土地の特徴を語りかけ、造り手個人のパーソナリティを表現してくれるのだろうか?

13の新しき造り手たち INDEX

1.新たなステップを踏み出すブルゴーニュ最古のメゾン Maison Champy

2.徒手空拳で成功を収めた努力の日本人醸造家 Lou Dumont

3.わずか20年で頂点を掴む銘醸畑所有の大ドメーヌ Domaine de la Vougeraie

4.昨年、醸造施設を刷新し勢いに乗るライジングスター Henri Magnien

5.ワイン造りを再開した美人姉妹とその夫の挑戦 Domaine Cluny

6.名門ドメーヌの家系から有機農法に挑戦のため独立 Christophe Bouvier

7.母方から銘醸畑を継承ワイン造り12年目の新星 Domaine Joannet

8.よいブドウだから可能な濃密さとパワフルさ Olivier Jouan

9.1ヘクタールの畑に全身全霊を傾ける求道者 Nicolas Faure

10.伝説の醸造家の奥義を継ぐ孫娘のチャレンジ Monthélie-Douhairet-Porcheret

11.親から子へ着々と進むバトンタッチの準備 Hudelot-Baillet

12.ステレオタイプを覆すミネラリーなムルソー Marc Gauffroy

13.精緻なワインを造る新世代の女性醸造家 Agnès Paquet