2020 年、東京において、世界が注目する日本のスターソムリエ各氏をお招きして開催された「世界の銘醸ワインブラインドテイスティング」。1976 年のパリ・テイスティングや2004 年のベルリン・テイスティングには、それまで知られていなかったカリフォルニアワインの実力を知らしめたり、チリ ワインの真価を伝えたりする、歴史的な意義があった。今回の東京テイスティングにも、さまざまなヒントやポテンシャルが含まれている。それを繙くことは、ワインラバーとして極上の楽しみといってよいだろう。

日本のソムリエは9種のワインをこう飲んだ

no.1
クネ
インペリアル グラン・レセルバ 2012

生産国/生産地(原産地):スペイン/リオハ(リオハ・アルタ)
品種: テンプラニーリョ85%、グラシアーノ10%、マスエロ5%
参考小売価格:8,000円

現国王のフェリペ6 世ご成婚式に使われた唯一の赤ワインであり、王室に常備されている王室御用達。スペイン国旗のロゴ使用を認められた唯一のブランド。

菊池
輝きのあるガーネットの色合い。黒系ベリーを中心とした果実味に、小石を思わせるミネラル感も。アタックには清涼感があり、高台など冷涼な産地かな?と思わせる。後半は果実味がグンと広がり、凝縮感も出て、グランヴァンの風格。ブラインドでも「いつも使っているワインだ」と、ブランドがすぐに分かりました。

山口
力強いタンニンと、ダークチェリーなど黒系果実のニュアンス。今後、さらに熟成してからのポテンシャルが高いと感じた。

井黒
熟したミックスベリーにリキュールのようなニュアンスがあり、ほのかにクローヴなどのスパイスが加わる。酸によるストラクチャーがしっかりしており、格調の高い酸が生み出す瑞々しい味わいがボディを引き締め、長い余韻を形成。アフターテイストは、クリーミーで密度があり、ドライ。

no.2
ドメーヌ・アラン・ブリュモン
シャトー・モンテュス キュヴェプレステージ 2002

生産国/生産地(原産地):フランス/南西地方(マディラン)
品種:タナ100%
参考小売価格:12,000円

フランス南西部マディランにおいて、近代プレミアムワイン造りのパイオニアとなったアラン・ブリュモン氏が最初に手がけたシャトー。マディランの伝統品種を復活させたタナ100%。

井黒
今回のテイスティングで最も印象に残ったワイン。第一印象は「あふれる熟成感」。デーツやプラム、烏龍茶、八角、陳皮、ポプリ、枯葉など複雑で多様なニュアンスを感じた。アタック、アルコールも強く、酸に由来するストラクチャーもしっかりとしている。骨格が整った男性的な力強さがあり、今が飲み頃。ヴィンテージは1995かと思ったが実際は2002 だった。熟成感を求めるお客様におすすめしたい。コンテやオッソイラティなど、チーズに合わせても楽しめそう。

山口
とにかく熟成感があるプレミアムワイン。干したプラムやイチジクのニュアンス。力強さを残しながら、綺麗に熟成させている印象。ブルゴーニュかと思った。ワインをよく知るお客様におすすめしたい。

no.3
テヌータ・デル・オルネライア
オルネライア 2014

生産国/生産地(原産地):イタリア/トスカーナ(ボルゲリ)
品種:カベルネ・ソーヴィニヨン45%、メルロ38%、カベルネ・フラン10%、プティ・ヴェルド7%
本誌購入価格:34,000円

イタリアはトスカーナ州ボルゲリに本拠を置く造り手による、「スーパータスカン」を代表するワイン。カベルネ・ソーヴィニョンを主体に、メルロ、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルドなどを配分。

太田
中心が黒味を帯びたルビーの色合い。カシス、ブラックのベリーやチェリー、タールやメントールに、ミルクチョコレートのようなアロマも。アタックは、心地よく、インパクトがある。果実味はしなやかで張りがありジューシー。タンニンはのびやかで、酸とともにエッジが効いている。特に酸に由来する上向きの力があり、バランスに優れている。こうした全体の構成が、ワインに素晴らしい「品格」をまとわせている。

田邉
ブラインドで、良いワインだとすぐに思った。均整がとれているので、ワインを飲み慣れている人も、飲み慣れていない人も楽しめる。ボルドーの左岸、メドックの2級か3級かと思ったほど。バランスのとれたボルドータイプのお手本的味わい。

no.4
ドメーヌ・アラン・ブリュモン
シャトー・ブースカッセ ヴィエイユ・ヴィーニュ 2010

生産国/生産地(原産地):フランス/南西地方(マディラン)
品種:タナ100%
参考小売価格:5,800円

ブリュモン氏が手がけるフランス南西部マディラン地域の畑の中でも比較的標高の高い平地に展開するブースカッセ。丸石と石灰岩を含む、灰色、赤、黄の白粘土質が特徴。タナ100%。

井黒
若々しさと熟成感がちょうど良いバランス。現段階ではベストの飲み頃。さらに進化する可能性も。ブラインドでは、もっと若いヴィンテージのニューワールドのプレミアムワインかと思った。スモーキーなフレーバー。しなやかなテクスチャー。自分はあまり使わない表現だが、あえてシルキーと表現したい。エイジアビリティ(熟成できるポテンシャル)を感じるのでさらに熟成も可能。

田邉
豊かな日照を感じるワイン。オーストラリアなどニューワールドのワインかと思った。収斂性のあるタンニンは、カベルネ・ソーヴィニョンを思わせる。ニューワールド系が好きなお客様に受けが良いワイン。どちらかというと、カジュアルに楽しむのがおすすめ。コストパフォーマンスに優れている。

no.5
オーパス・ワン
オーパス・ワン 2016

生産国/生産地(原産地):アメリカ/カリフォルニア(ナパ オークヴィル)
品種:カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルロ、プティ・ヴェルド、マルベック
本誌購入価格:60,000円

カリフォルニアの実力を世界に知らしめた、ロバート・モンダヴィとシャトー・ムートンのバロン・フィリップによるジョイントから生れた「作品番号1」。カベルネ・ソーヴィニョンを主体に配分。

山口
親しみやすい味わい。分かりやすく、しっかりとした果実味。バランスの良さが最大の特徴。ナパらしい造りだな、と感じた。

菊池
濃い色調のガーネット。熟したフランボワーズやイチジク、ベリージャムのような凝縮感があり、メントールの爽やかなニュアンスも。果実味に持続性があり、まろやかで均整がとれている。重すぎないように仕上げよう、という配慮を感じる味わい。後味に残る、やや甘味を感じる果実のニュアンスも好印象。温暖な、南の産地かな?と感じた。

井黒
ジューシーなアタックでまろやかなフルボディ。酸はおだやかにも感じられるが、バックボーンにしっかりと存在している。分かりやすく、飲み心地の良いワイン。

no.6
コス・デストゥルネル
コス・デストゥルネル 2012

生産国/生産地(原産地):フランス/ボルドー(サン・テステフ)
品種:カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルド
本誌購入価格:28,710円

ボルドー1級の5大シャトーに引けを取らない「限りなく1級に近い2級格付けワイン」所謂、「スーパーセカンドワイン」の筆頭格。サン・テステフに畑を展開。カベルネ・ソーヴィニョン主体。

井黒
ワイルドベリーやドライなバラ、ベーコンなどの燻製肉、ブラックペッパー、動物的な雰囲気も感じさせる。グラファイトなどのミネラルのタッチやオリエンタルスパイスのニュアンスも。味わいもスケール感の大きさを感じさせるが、同時に緻密さも感じさせる二面性を持っているマルチレイヤードなワイン。香りのカテゴリーが沢山あったことが、高得点の理由のひとつ。骨格があり、緻密で、流石は格付けシャトーだと思った。

菊池
熟成した果実のニュアンスに、焙煎したコーヒー豆などの複雑なアロマも。血を思わせるニュアンスが、きっと抜群にジビエに合う。かすかなユーカリの清涼感も心地よい。口の中でもしっかりとした酸、果実味、タンニンが屹立し、収斂性が高い。

山口
クラシックで、樽のニュアンスも上品。スムーズに入ってくる。100 点。

no.7
ドメーヌ・アラン・ブリュモン
シャトー・モンテュス XL 1999

生産国/生産地(原産地):フランス/南西地方(マディラン)
品種:タナ100%
参考小売価格:21,000円

XL とはラテン語で「40」の意。800L の新樽で40 ヶ月熟成。ブリュモン氏が、フランス南西部マディランのポテンシャルが窺えるようプレミアムな試みを志向したスペシャルキュヴェ。タナ100%。

太田
印象に残るワインだった。ブラインドでは、ブルゴーニュのグランクリュかと思ったが、実際はモンテュスの1999 だった。樽熟成のニュアンスが心地よく、枯れ葉やダージリンティー、ポルチーニ茸、なめし革などの複雑なアロマが、グランヴァンらしさを醸し出している。タンニンは豊富で、かつ緻密でしなやか。比較的高めの温度で、大きなバルーングラスでサービスしたい。

田邉
熟成感が今、ちょうど良いバランスになっている。熟成したボルドーかと思った。

山口
香りはピノなのかな?と思うくらいフローラルなニュアンス。飲むと、ローヌのようなしっかりとした果実味があったので、シャトー・ヌフ・デュ・パープかと思った。

井黒
ファインダイニングでサービスするべき極上のワインだ。

no.8
ドメーヌ・アラン・ブリュモン
シャトー・モンテュス ラ・ティル 2010

生産国/生産地(原産地):フランス/南西地方(マディラン)
品種:タナ100%
参考小売価格:23,000円

生産本数わずか1 万本。ロマネコンティを凌ぐ低収穫量で造られるモンテュスの最高キュヴェ。3~6週間の発酵の後、14~16カ月樽熟成。ノンフィルター、タナ100%の構成は、フランス南西部の実力が解る。

菊池
今回のブラインドの中で、とても気になるワインだった。外観は若々しいが、樽のニュアンスが特徴的。ブラックベリーやカシスの果実味は、リキュールのニュアンスになり、ビターな甘苦味も出て大人の味わい。よいレストランに、大切なゲストをお招きする際に用意したい、とっておきの一本。

田邉
すぐにブリュモンと解った。クオリティの高いプレミアムワイン。凝縮しているのに、アルコリックではなく、上品な果実味が存分に感じられる。タンニンが緻密で、上質なボルドーのよう。しっかりとした酸が、タンニンや果実とバランスをとる、「スケールのあるワイン」。すでに今でも熟成感があって美味しいが、今後もさらに熟成することだろう。サービスは、大ぶりのグラスがおすすめ。

no.9
アルマヴィーヴァ
アルマヴィーヴァ 2017

生産国/生産地(原産地):チリ/マイポヴァレー
品種:カベルネ・ソーヴニヨン、カルメネール、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルド
本誌購入価格:24,000円

バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド社とコンチャ・イ・トロ社とのジョイントでチリに誕生。リリース以来パーカーポイント90点以下の評価が無く、世界最高品質のカベルネ・ソーヴィニヨンと謳われる。

太田
濃いルビーの色合い。ブルーベリー、カシス、メントール、黒胡椒などのニュアンスが、チリのカベルネ・ソーヴィニョンを髣髴とさせる。全体に濃密で、特に香りの凝縮感が高い。味わいは、アタックが心地よく、タンニンもジューシーで、バランスよく調和。濃厚かつ軽快な、ニューワールドのプレミアムワイン。

井黒
メントール系のニュアンスがあり、かつアルコール度数も高く、揮発力がある。「パワーのあるワイン」と表現したい。さらに、ボディに良く溶け込んだ渋みがまろやかさを際立たせる。リッチ&ゴージャス。

菊池
甘草やフレッシュな赤系果実にメントールの清涼感。口に含むと、果実味がなめらかに広がり、適度なタンニンと溶け合う。アフターも、酸とタンニンが引き締め、熟成感を際立たせる。