WINE WHAT 2020年5月号にて特集したイングリッシュワイン。いま飲むべきイングリッシュワインとして、ここでは、日本市場に本格参入してまだ間もない、そしてイングリッシュスパークリングワインの牽引役としての役割が期待される、ナイティンバーを紹介したい。

ナイティンバーを代表する「クラシック・キュヴェ・マルチヴィンテージ」。シャルドネ50-60%、ピノ・ノワール30-40%、ピノ・ムニエ10-20%、ドザージュ9.5g/L。もちろん、瓶内二次発酵。リザーブワインは25-35%。2012 年にエリザベス女王即位60 周年パーティーにも使用されている。

華麗なる受賞歴を引っさげて日本市場に登場

ウエストサセックス州、ハンプシャー州、ケント州に10箇所、280ヘクタールもの自社畑をもつナイティンバー。2006年ヴィンテージから毎年IWCやIWSCなどの国際ワインコンクールで金賞を受賞しており、2009年に「クラシック・キュヴェ・マルチヴィンテージ」がボリチーネ・デル・モンドで世界スパークリングワイン部門優勝を果たしているなど、ワインのコンクールにおける受賞歴華やかな、質・量の両面においてイングリッシュスパークリングワイン界を牽引するワイナリーだ。

中核となっているのは2006年にエステートを取得したオーナー、エリック・ヘレマと2007年から醸造責任者としてエステートに参加したシェリー・スプリッグス。

醸造責任者のシェリー・スプリッグス。2018 年には女性で初、シャンパーニュ以外で初のIWC「スパークリングワインメーカー・オブ・ザ・イヤー」を受賞するという快挙を遂げている。

国外への進出は2013年から本格化。2016年にはイビザ、マヨルカ、モナコなど世界の華やかな高級リゾートに顔を出し、2017年からアメリカ、ドバイ、香港、シンガポールに。著名なレストランのワインリストにも登録され、話題には事欠かないのだけれど、シャンパーニュの一大消費地であるここ日本では、2019年、本格輸入開始となったニューフェイスだ。  

ラインナップはフラッグシップの「クラシック・キュヴェ・マルチヴィンテージ」と「ロゼ・マルチヴィンテージ」が核。ここに「ブラン・ド・ブラン」、英国初となるドゥミセック、つまり甘口の「キュヴェ・シェリー・マルチヴィンテージ」、そしてシングルヴィンヤード、ナイティンバーという名前が地所として登録された1086年にちなんだ「1086 プレスティージキュヴェ」および「1086 プレスティージキュヴェ・ロゼ」という、プレステージキュヴェまでが加わる。

ロゼ・マルチヴィンテージ

ブラン・ド・ブラン

イングリッシュスパークリングはいまだ小規模生産者が多く、こういった広範なラインナップは珍しい。

これは、ナイティンバーがイングリッシュスパークリングのイメージを変えようと、目標をもって歩んできたからこそ実現しているもの。栽培品種はシャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエとシャンパーニュ同様の王道3品種。すべて自社畑のブドウを使い、良年のみ醸造、動瓶の日程を公開する、UV光からワインを守るため、暗褐色のボトルを採用するといった、真正面からワインの質で勝負するルールを設定している。

地所は1086 年に土地台帳にナイティンバーという名で登録されている歴史がある。ブドウの植樹は1988年。

それを下支えするのが、シャンパーニュ地方から地続きの後期白亜紀の石灰質土壌、そして、グリーンサンドと呼ばれる砂岩の土壌。グリーンサンドには前期白亜紀からのローム質と酸を含む。畑の北緯は51度と北限といってよい位置で、ゆえに気温は穏やかで、ブドウはゆっくりと成熟し、豊かなアロマを蓄える。海に近いものの地形の恩恵から風雨の影響も少ない。

理想の環境と高い志。世界を席巻する勢いに乗ったまま、日本でもイングリッシュスパークリングワインの牽引役となるか? まさに今の飲むべきワインだ。