リンゴから造られるお酒と聞くと「シードル」を思い浮かべる人は多いだろう。フランス語では「シードル」、イギリスでは「サイダー」とよばれるリンゴのお酒に今回はフォーカスする。日本で「inCiderJapan」というサイダー専門誌を発行するイギリス人リー・リーブさんにイギリスのサイダーについてうかがった。
サイダー 

イギリスのサイダー産地は主にどこになりますか?
リーブさん(以下敬称略)
ウエストカントリーとよぶ地方でサマセット州、ヘレフォードシャー州、東部のサフォーク州が有名です。

主なサイダー用のリンゴ品種の特徴を教えてください。
リーブ
生産者によってブレンドはさまざまです。ワインの産地のように、この地方はこのリンゴ品種が中 心といった傾向はありません。代表的な品種に「Michelin」「Dabinett」「Foxwhelp」「Kingston Black」などが挙げられます。単一品種サイダーを造る醸造家もいます。

サイダーのタイプ分けを教えてください。
リーブ
幾つかの方法があり、例えばリンゴの品種に焦点を当てたり、ドライ、ミディアム、スイートな どの味わいをポイントに分けたり、スティルかスパークリングかの発泡性の違いに注目する場合もあります。
また世界的には「トラディショナル・サイダー」「モダン・サイダー」というおおまかな分け方もあります。トラディショナル・サイダーはオールド・ワールドの生産国で、イギリス、ドイツ、スペイン、フランスなど。モダン・サイダーは主にニュー・ワールドの国々でオーストラリア、ニュージーランド、日本で、アメリカはこの二つの中間的位置づけです。

リー・リーブさん

リー・リーブさん。日本語・英語のバイリンガルのサイダー専門誌「inCiderJapan」の発行人兼編集長
撮影場所:「ボブゴブリン六本木」

トラディショナル・サイダーとモダン・サイダーの味わいの違いは?
リーブ
 トラディショナル・サイダーは、主に酸味やタンニンが強く、複雑な味わいです。一方、モダン・サイダーは生食用を使う場合が多く、ライトなテイストです。サイダー用品種を使わないとタンニンや複雑な味わいを表現するのは難しいです。ただ世界中で定義も変わってきています。それこそオールド・ワールド生産者も、最近は生食用リンゴをブレンドする人もいます。

オーガニックなどの取り組みはありますか?
リーブ
例えば8代続いている老舗メーカー「アスポール」がオーガニック・サイダーを造っています。

最近、イギリスでのムーヴメントはどんなことですか?
リーブ
 私の出身地ニューカッスルはビールが有名ですが、ここではサイダーが流行っています。またマンチェスターでも数年前から新たなトレンドとなっています。
一方、「RethinkCider」というキャンペーンを通して、サイダーを考え直そうという動きもあります。目的はクラフトサイダーと大手メーカーの量産サイダーの違いを消費者に〝教育〟することです。

何故、日本でサイダー専門誌を発刊しているのですか?
リーブ
人生で初めて飲んだアルコール飲料がサイダーであり、今でも一番好きなお酒なので、いつかサイダーに関わる仕事がしたいと考えていました。2017年に雑誌を発刊し、18年に会社を起ち上げています。これからは世界トップレベルの醸造家が造るクラフトサイダーを輸入販売します。少量生産の限定品も取り扱います。イギリスの伝統のサイダーを日本の消費者に知っていただきたいからです。

サイダー

左2本はこれからリーブさんが輸入販売するアルティザナル・サイダー。左「ロス・オン・WYE ルネット・オブリィ・サイダー」はルネット・オブリィという酸度が高いリンゴの単一品種のサイダー。中「コートニーズ」はミディアムスイートの味わい。右「リトル・ポモーナ」JAPAN CIDER MARKET(www.japancidermarket.com)