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実力派ソムリエ3名の 「普段着ワイン」拝見

今回はオーガニックなワインで語ろう

やわらかなタンニンのシラーは、冷やし加減で小ぶりのグラスで

櫻井 田邉さんのもう一本は赤ですか?

田邉 そうです。IGP ペイ・ドック モンミジャ、ジャン・ヴィアラードのシラー。

よく熟れたフルーツに、ブラックペッパーなどのスパイスや、かすかな生肉のニュアンスがあり、タンニンもそんなに強くなくてやわらかい。有機的な造りがきちんと反映している、優しくてナチュラルな味わいです。夏場には、少し冷やし加減でもよいかなと思って。あまり大きなグラスには入れずに、小ぶりなグラスに注ぐと、タンニンのやわらかさが活きます。

この味わいに合わせたのが、チンジャオロースーと黒胡椒チキン。このワインはオーガニックな造りで、ちょっと土のニュアンスがある。なので、ピーマンのグリーンのニュアンスではなく、筍などの根菜系の農作物的な土のニュアンスに寄り添わせてみました。また、味付けのオイスターソースにヨード感があるでしょう?

矢野 なるほど、聞いていてとてもイメージがしやすい!まるで、一緒にいて、同じものを食べているような感覚になってきました。

田邉 そもそもペイ・ドックは雨が少ない地域。ナチュラルな栽培が可能です。さらに、この造り手は、ヨーロッパでオーガニックがブームになるよりずっと前の1985 年からオーガニック栽培を始めている。醸造でも化学物質やSO2を極力減らしていますが、飲んでみると、きちんと品種の特性も表現されこれみよがしではない。オーガニックであることはバックラベルにさり気なく書いてあるだけです。最近の傾向でもありますが大々的にオーガニックを謳うよりも、こういうほうが、優先順位が高いのは美味しいワインを造ることで、その手段としてのオーガニックなんだ、と信頼できる印象があります。

矢野 確かに、イタリアでもそういう傾向はありますね!


ドメーヌ・オリオル
IGPペイ・ドック・モンミジャ・ジャン・ヴィアラード・シラー

生産国/地域 フランス/ラングドック
品種 シラー100%

希望小売価格 1,500円

輸入元 ラック・コーポレーション

紫がかった濃厚な赤色。よく熟した黒系果実のアロマを主体に、ブラックペッパーなどのスパイス香、生肉やなめし革などの獣系の風味も。口あたりはなめらかで、やわらかなタンニンがワインに充分溶けこんでいる。シャルキュトリ、焼き肉、煮込みなど肉料理全般と好相性。また有機的な造りのゆえか、土のニュアンスが感じられる野菜料理にも寄り添う。夏場には、少し冷やし加減で、小さ目のグラス使用がおすすめ。

夏場でも、飲むと元気になれる赤ワイン

櫻井 私も赤ワインを用意してみました。コノスルのオーガニックシリーズ、カベルネ・ソーヴィニョン、カルメネール、シラーです。どこにでもあって、誰もが知っているチリワイン。

迷った時に間違いないですし、まず素晴らしくコスパが良い。このワインは、3品種もブレンドされていて手が込んでいるし、カルメネールが入っているところがとてもユニーク。夏だけれど、疲れている時に一杯飲んで元気になれる赤ワインだと思います。

矢野 そういうワイン、ありますね。

櫻井 チリワインというと、果実味が強いイメージがあるかもしれませんが、このワインはピュアでやさしく、スッと入ってくる。オーガニックだから、というところが出発点ではなく、やさしい味わいからオーガニックであることに気づく、という順番。3種のブレンドで複雑味もあり、チコリなどのかすかな青さや、煙草やバニラなどの香ばしさもあり、とにかく香りに奥行きがある。口あたりもなめらかで、緻密で豊かな味わいがあり、タンニンもやわらかで、酸味も心地よく、果実味がふくよかに広がっていく……

田邉 まるで、隣で飲んでいるようにイメージできる(笑)

櫻井 しっかりした肉料理が合いますね。用意したつまみは、焼ラムのピンチョ。やっぱり、バーベキューとかやりたくなるなあ。



コノスル
オーガニック カベルネ・ソーヴィニヨン/カルメネール/シラー

生産国/地域 チリ
品種 カべルネ・ソーヴィニヨン49%、カルメネール26%、シラー25%

希望小売価格 1,150円
輸入元 スマイル

輝きのある深いルビー色。チェリー、ラズベリー、イチゴなどの果実香を主体に、チコリなどのヴェジタル、煙草やバニラなどの樽由来の複雑なニュアンスも。香りに奥行きがあり、香ばしさがアクセントになっている。味わいはなめらかで、豊かなタンニンがあり、ふくよかな果実味が広がるが、あくまでもおだやかで抑制的。土壌由来のミネラル系の滋味は、牛、鴨、ラム、BBQなど、しっかりした肉料理とマリアージュ。


矢野 オンライン飲み会って楽しいのですが、お互いが飲んだり、食べたりしているものを交換しあうことができない寂しさがある。でも、今日の会合は、おふたりの表現力があまりに優れているので、なんだか同じものを飲み、食べているように感じました。

田邉・櫻井 それは、お互い様です!(笑)


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