今や、世界各地に銘醸地は屹立し、各地で造られるプレミアムワインの品質は高いレベルで拮抗している。
そんな今だから、各ワイン産地の「テロワール」をテーマに魅力を改めて探ってみたい。
それも、世界に冠たる実力を持つ日本のトップソムリエたちの力を以てーー
そんな思いを実現させるブラインドテイスティングを開催してみた。

文・構成/髙山宗東飯島千代子
コーディネート/加藤勝也(ワインアンドフードラボ)
企画協賛/JALUX
撮影協力/フォーシーズンズホテル東京大手町
東京都千代田区大手町1-2-1

チリの戦いに注目したい

今回編集部が用意したワインは、フランス2アイテム、イタリア1アイテム、アメリカ1アイテム、チリ2アイテムの計6アイテム。いずれも、ボルドーブレンド主体の逸品揃いである。

左から、シャトー・ポンテ・カネ 2012年、シャトー・モンローズ 2013年、サッシカイア2017年、オーパス・ワン 2016年、ドン・マキシミアーノ・ファウンダーズ・リザーヴ 2017年、セーニャ 2017年

ラインナップからも、今回のブラインドテイスティングで注目される産地のひとつがチリである。チリでワイン造りが始まったのは16世紀半ばで、スペイン人の入植とともにブドウ栽培が始まった。19世紀半ば頃には、フランス系品種が大量に持ち込まれるなどの発展があった。

1970年代後半からは、優良なテロワールが世界的に注目され、気鋭の醸造家がこぞってチリを訪れた。2000年以降は、プレミアムワイン造りが盛んになり、国際品種を用いた世界的評価の高い、優れたワインも多く造られている。

南北に細長い国土にはさまざまな産地があり、各地のミクロクリマを生かした栽培が実践されている。例えば霧の影響など気象・気候の研究も進み、冷涼産地の特徴を印象付けるような、繊細流麗なワインを生み出すことはもはや周知の事実である。

今回エントリーされた2本も注目の逸品。一本は「世界で最も優れたカベルネ・ソーヴィニヨンを生み出す」といわれる〝カベルネの聖地〞アコンカグア・ヴァレーの『ドン・マキシミアーノ・ファウンダーズ・レゼルヴ』。チリ屈指の伝統を誇り、また最先端の取り組みでチリワインを牽引し続けているワイナリー「ヴィーニャ・エラスリス」が、その創業者へと奉げたオマージュである。

もう一本は「カリフォルニアワインの父」と呼ばれるロバート・モンダヴィ氏と、エラスリス家当主エデュアルド・チャドウィック氏のコラボレーションによって1995年に誕生した『セーニャ』である。セーニャといえば、2004年にドイツで開催された「ベルリン・テイスティング」を彷彿とさせる方も多いことだろう。居並ぶフランスやイタリアのプレミアムワインを抑え、第二位を獲得したそのワインである。このことによって、常に世界水準にチリワインはあると、その存在感を示す、ターニングポイントになったことは確かである。当然、チリワイン飛躍の大きなきっかけとなった。

ただ、今回は6本のワインの優劣を決めるためにスターソムリエ4名にお声がけしたわけではない。ボルドーブレンド主体の世界屈指のワインを完全ブラインドテイスティングをすることで見えてくることはどのようなワイントピックになるのだろうか?

今回、テイスティングをお願いした4ソムリエ。左から
野坂昭彦氏
マンダリン オリエンタル 東京シェフソムリエ。日本ソムリエ協会主催「第7回 全日本最優秀ソムリエコンクール」準優勝、「第3回アジア・オセアニア最優秀ソムリエコンクール」日本代表など、さまざまなコンテストで好成績をおさめ、国際的に活躍する。

井黒 卓氏
フレンチレストラン「ロオジエ」ソムリエ。2020年、 日本ソムリエ協会主催「第9回全日本最優秀ソムリエコンクール」で優勝を果たし、2021年「A.S.I(. 国 際ソムリエ協会)」主催「アジア・オセアニア最優秀ソムリエコンクール」の日本代表となった。

太田賢一氏
フレンチレストラン「エスキス」アシスタントマネージャー兼シェフソムリエ。世界のワインに通じ、ニューワールドのワイン産地にも幅広く、深い造詣を持つ。ワインに対する鋭い分析には定評がある。

田邉公一氏
ソムリエ ワインディレクター。レストランやワイン関連会社のワインセレクション、ドリンクアドバイザーを務め、ワインを中心に、イベント監修やコメンテーター、プロモーション活動など、幅広く活躍。