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日本トップソムリエによる 世界の銘醸ワイン ブラインドテイスティング

ボルドーブレンド主体編

ボルドーブレンド・ブラインドテイスティング インプレッション

シャトー・モンローズ
シャトー・モンローズ 2013年

洗練された最先端のメイキングで造られたファインワイン
参考上代:17,400円(税別)

メドックでも指折りの好立地、ジロンド河沿いに位置する。力強く、長期の熟成にも耐えるその造りは一名「サン・テステフのラトゥール」。ロバート・パーカー氏をして、メドックの一級に格付けされるかも、といわしめた。

太田
カシスやブラックベリーに加えて、生肉や鉄分のニュアンスも。凝縮感があり、かつ、心地よい味わい。樽の効かせ方も心地よく、クラシックで柔和な印象。ブライン
ドでも、伝統産地を彷彿とさせる「手のかかっている丁寧な造りのワイン」だな、と感じた。

井黒
熟した果実香のバランスもよく、樽由来のスモーキーなニュアンス、丁子、ナツメグなどの複雑香、そしてスミレなどのフローラルな雰囲気も。マルチレイヤードな香りで魅力的。ブラインドでも、ポテンシャルが非常に高いと感じた。一瞬、チリあたりの相当プレミアムなワインなのでは? とも思った。また一番タンニンが強いとも感じた。ボルドーは、2013年は一般的にはあまり良くないヴィンテージといわれるが、良いシャトーほど出来の良い傾向がある。それを代表するような1 本といえそうだ。

オーパス・ワン
オーパス・ワン 2016年

多くの人が素直に「美味しい」と思う味わいを具現
参考上代:65,000円(税別)

ロバート・モンダヴィ氏と「シャトー・ムートン・ロートシルト」のフィリップ・ド・ロスチャイルド男爵によるジョイントから生れた「作品番号1」。カリフォルニアの実力を世界に知らしめたワインとして知られ、世界中に多くのファンを持つ。

野坂
ブラインドの段階で「一番高価なワインかな?」と素直に感じた。新旧ワイン産地の良さが見事に表現されたワイン。構成するすべてのピースが計算通りパズルのようにピタリと当てはまっている。とても「精巧に造りあげられたワイン」

太田
ブルーベリーやカシスの果実味に、メントールの清涼感や、カフェモカ、ヴァニラのニュアンスも。丁字やシナモンなど、新樽に由来すると思われるフレーバーも心地よい。

田邉
熟度、バランスなど、非の打ちどころがない出来。まだまだ若いが、充分に楽しめる。造りの「ブレない強さ」で、多くの人が、素直に美味しいと思える味を具現。

井黒
フローラルで甘いニュアンス、重心が低く、詰まった深みのあるミッドパレットに広がるような余韻は、暑い産地でメイキングによって抑制的な味わいにされている感がある。

ヴィーニャ・セーニャ
セーニャ 2017年

土地の特性をしっかりと打ち出したチリのグラン・ヴァン
参考上代:22.500円(税別)

エデュアルド・チャドウィック氏とロバート・モンダヴィ氏のジョイントによって誕生した「チリを牽引するボルドーブレンドワイン」。ビオディナミ農法を採用し、テロワールを生かした造りを実現している。

太田
果実味はカシスやブラックベリーのコンポート。濃密で、樽のニュアンスも心地よく、ブラインドでも、チリのプレミアムカベルネ・ソーヴィニヨンと解った。

野坂
タイトで、フルーツの熟度が高く、フランスのポイヤックを思わせるニュアンスがある。「暖かいポイヤックかな?」と思った。

田邉
タイトで引き締まった印象があるので、デカンタに入れ、さらに大ぶりのグラスでサービスする「ダブルデカンタージュ」をすることで、このワインの実力は、大きく花開く。素晴らしいポテンシャルを秘めたワイン。

井黒
第一印象が「素晴らしいワイン」。驚いたのは、「ヴィーニャ・エラスリス」と同じアコンカグア・ヴァレーでありながら、異なる個性を持っていること。それだけ土地の特徴をしっかりと打ち出した造りであるということなのだと感銘を受けた。

テヌータ・サン・グイド
サッシカイア2017年

ブラインドでも際立つボルゲリの個性
参考上代:25,000円(税別)

テーブルワインながら味と価格は最高級クラスというイタリアはトスカーナの「スーパー・タスカン」の代表格。1994年に、ついにこのティレニア海沿いの海岸地帯ボルゲリ地区に原産地呼称「D.O.C ボルゲリ・サッシカイア」を取得した。

野坂
凝縮した果実味で非常に熟度が高く、力強くもしなやかなタンニンと、エネルギッシュな酸味が引き締まったストラクチャーを形成。日照量が豊富で、海からの風の影響により酸を保持できる産地、ボルゲリのカベルネブレンド?と感じた。

井黒
果実のニュアンスには、赤系と黒系……マルベリーやサワーチェリーが感じられる。ピオニーやバラなどの華やかな雰囲気に加え、動物的なタッチが複雑さを演出。フルボディで厚みのあるテクスチュア。甘く熟れたタンニンがブドウの成熟度の高さを表す。豊満でグラマラスなスタイル。オールドワールドのボルゲリか。

太田
果実のニュアンスは、赤・黒系のベリーに加えて、干プラムまで濃厚に感じられるが、他の5本とは少し毛並が異なる印象。特徴的な香りとして、煙草やロースト肉のニュアンスが。ブラインドでは、ジンファンデルかな?と感じた。

ヴィーニャ・エラスリス
ドン・マキシミアーノ・ファウンダーズ・レゼルヴ 2017年

「チリの優れた造り手のワイン」は抑制的で上品な味わい
参考上代:10,000円(税別)

「世界で最も優れたカベルネを生み出す」アコンカグア・ヴァレーをほぼ独占所有する「ヴィーニャ・エラスリス」。創業者の名を冠したこのワインは、太平洋の涼風に恵まれたミクロクリマの賜物。

野坂
芳醇な果実味、フェノールの成熟度の高さ、そして伸びやかな酸が生み出すメリハリのある味わいは、日射量が多く、昼夜の寒暖差も大きなテロワールを連想させる。充実感のある果実味と特徴的なラベンダーの香り、大胆さと洗練さが融合したキャラクターから「プレミアムチリの良い造り手」の手がかりのひとつではないかと思った。エントリーからフィニッシュまで様々な表情を見せるワインで、今飲んでも楽しめるパフォーマンス力の高さと、エイジアビリティーを感じさせるポテンシャルもある。とにかくバリューが高いワイン。

田邉
ピラジンが過剰ではなく、抑制的で、清涼感をうながしている。全体的に穏やかで優しく、余韻も長い味わいは個人的にすごく好き。コストパフォーマンスも素晴らしい。今回のラインナップの中で、この価格で互角に戦っているのは凄いこと。チリのテロワールも存分に生かしている。

シャトー・ポンテ・カネ
シャトー・ポンテ・カネ 2012年

「良いワインだな」と感じるクラシックで柔和なスタイル
本誌購入価格:8,200 円(税別)

2010年ヴィンテージから完全にビオディナミで造っている。アンフォラやコンクリートタンクによる熟成など革新的な製法で知られる。格付け第5級ながら「1級に肉迫する」ともいわれる。

太田
カシス、ブラックチェリーにセップ茸、西洋杉、ナツメグや甘草のニュアンスも。クラシックで柔和なスタイル。オー・メドックだなと思った。

井黒
アタックはリッチでインパクトがあり、アルコール感も高め。収れん味のしっかりしたタンニンが骨格を作り出し、下支えする酸味が全体のバランスをとっているフルボディのワイン。余韻にはドライトマトやオリーブのニュアンスがあり、時間が経つと炒ったコーヒー豆やブラウンシュガーのニュアンスも。

田邉
現在、すでに飲み頃。ブラインドでは2000年代中盤くらいの、もっと熟成したヴィンテージのワインかと思った。なめらかなアタックと緻密なタンニンが溶け込んでいる。トリュフやセップ茸などの高級食材が似合う、贅沢なシーンに合わせていけるワイン。サービスもデキャンターせずにボトルのままゆっくりと。

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