オクシタニーに行こう!

ワインも世界遺産も地中海もある

リゾート地であり、観光地であり、ワインの名産地

フランスの南、スペインとの国境近くがオクシタニーと呼ばれるエリア。国として統一された歴史はないけれど、「領土の占有より、文化の共有」。オック語を共通言語とする民たちが何世紀にも渡って守り抜いてきたのは、おとぎ話さながらの古城、名物料理、めずらしいブドウ品種のワイン……

フランス国内でフランス人観光客数ナンバー1のオクシタニー地域圏。面積は72,720 km² と、地域圏としてフランス第2位の広さだ。避暑地も避寒地あり、ユネスコ世界遺産は都市や運河など8つ、温泉リゾートは30か所、AOP(原産地保護呼称)とIGP(地理的表示保護)認定のワイン産地は80を数える。

知れば知るほど恋心が募る、オクシタニーを旅しよう。

オクシタニーはどこにある?

「はい/いいえ」の「はい」をオック語では「オック」と言う。だから、オック語。そして、オック語を話す人たちの住むところが、オクシタニー。オクシタニアという響きを耳にしたことがあるなら、それはオック語でオクシタニーのことだ。

さて、フランスのどこにオクシタニーがあるのか、完全に把握している日本人は少ないだろう。でも、オック語と聞いてピンとくる人もいるはず。なにしろ、ラングドックというワイン産地名は、ずばり「オックの言語」を指すのだから。また、自然派化粧品メーカーのロクシタンは「オクシタニーの人」という意味。ちなみに、予言者ノストラダムスの出身地はオクシタニーだ。医者でもあった彼はペスト流行時に患者を診てまわったが、自身はペストに罹らなかったとの逸話も残る。予言の信憑性については非常にマユツバだが……ともあれ、まったく縁がないと思っていた遠いオクシタニーが、ちょっと近づいてきたかも?

その昔はボルドーからプロヴァンスに至るまで、大西洋と地中海をつなぐ太い帯状のエリアがすべてオクシタニー。ただし現在の行政上では、東側と西側とを省いた中央エリアのみがオクシタニー地域圏とされている。2016年にラングドック=ルーション地域圏とミディ=ピレネー地域圏が合併して誕生したのだが、当初「ラングドック= ルーション= ミディ=ピレネー地域圏」という長〜い名前で、半年後にサクッと「オクシタニー地域圏」となった経緯あり(ホッ)。

より、詳細な地図は以下より
https://www.tourism-occitanie.co.uk/interactive-map

残念ながらオック語はフランスで公用語として認められておらず、話者は年々高齢化により減り続けているが、まだ数十万人の人々がオック語メインで生活しているとか。交通標識や看板で、フランス語と併記されたオック語を目にする機会はまだまだある。

オクシタニーのワイン産地といえば?

オクシタニー地域圏内のワイン産地として代表的なのは、まずラングドック・ルーション。そして南西地方、コート・デュ・ローヌの一部が含まれる。

ラングドック地方最大のワインの生産地 コルビエールの「ワインの道」

ラングドック・ルーションでよく使われるブドウは、グルナッシュ、シラー、カリニャンなどいわゆるローヌ系品種。ボルドー寄りの南西地方になると、今度はカベルネ・ソーヴィニヨンやメルローなどのボルドー系品種が多く、しかし内陸へ進むにつれタナ、モーザック、デュラスなど、ワインをそこそこ飲んでいる人だけが知る品種名もチラホラ。

土壌成分は石灰、片岩、砂岩など多様。ピレネー山脈とセヴェンヌ山脈がそびえ、ガロンヌ川が走る内陸の地は様々な土壌が入り混じり、地中海沿いは海風の恩恵を存分に受ける。

写真は手前が砂利混じりの土壌、奥が粘土と石灰岩の土壌

自然派の生産者も多く、畑では、下草を生やしておく草生栽培も盛んにおこなわれている。

甘口ワイン好きはルーションへ

オクシタニーのワインといえば、やっぱりカジュアルな赤? いえいえ、白もロゼもスパークリングも揃っているし、お手頃価格から超高級の希少品まで何でもござれ。

しかし、忘れてはいけないのが甘口ワイン。とくにバニュルス、リヴザルト、モーリとフランスきっての甘口ワイン産地を多々抱えるのがルーションだ。

「あんこ系のお菓子も合うんですよ~」とルーション・ワイン委員会のエリック・アラシルさん。続けて「開栓から数日経っても美味なまま」と自信満々。お試しを!

オクシタニーへ!

WINE WHATは、オクシタニーを実際に訪れて取材。広いオクシタニーから、ワイン、ホテル、レストランを紹介します。

ワイナリー編
歴史、芸術、そしてワインを好む人が集う フォンフロワド修道院 L’Abbaye de Fontfroid
ムートン流哲学で新生したリムーの高級ワイン ドメーヌ・ド・バロナーク Domaine de Baronarques
ガイヤック無名時代にいち早く海外進出した職人 シャトー・ラストゥール Chateau Lastours
瀟洒なシャトーが造るお手頃価格のガイヤック シャトー・ド・ソール Château de Saurs
ヤンチャな曾祖父から続くバニュルスの老舗ワイナリー ヴィアル・マニェレス Domaine viticole Vial Magnères
古城散策とワイン試飲で人の行き交う小さな村 カヴォー・ド・キュキュニャン Caveau de Cucugnan
レストラン編
ガイヤックがおいしく学べるビストロ ラ・ターブル・デュ・ソムリエ La Table du Sommelier
たおやかな自社ワインと限りなく上品な料理 シャトー・ド・サレット Château de Salettes
散策の疲れを癒してくれる 熱々カスレ ル・サン・ジャン Le Saint Jean
コリウールの日本人シェフがつくる創作料理 ル・サンキエム・ペシェLe 5ème Péché
地中海料理とワインでヘルシーに満腹 ラ・ターブル・デュ・シャトー・ド・ペノティエ La Table du Château de Pennautier
絶景テラスとダイニング オーベルジュ・デュ・ヴィニュロン L’Auberge du Vigneron
石造りの修道院跡地は シーフード・パラダイス! ジャルダン・ド・コリウール Le Jardin de Collioure
ホテル編
ビオワインと美食。小さな村の上宿 ドメーヌ・リーブラック Domaine Riberach
世界遺産の中心に泊まる ホテル・ド・ラ・シテ Hôtel de la Cité
ジェラール・ベルトランのオーベルジュ シャトー・ド・ロスピタレ Château de l’Hospitalet
郊外の静かなシャトーで暮らすように泊まりたい シャトー・ド・トジ Château de Tauzies
カラフルな町のキュートなホテル オテル・ル・カーサ・パイラル Hôtel Le Casa Païral

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