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ガイヤック無名時代にいち早く海外進出した職人

WINE WHAT オクシタニーの旅 その3

オクシタニー地域圏の首府にして、オート=ガロンヌ県の県庁所在地、トゥールーズ。そこから北東へ約50km行ったところにあるワインの産地がガイヤックだ。古代ローマ人がブドウの苗を持ち込んだところからはじまるという歴史的なワインの地。その、ガイヤックに16世紀から続くシャトー・ラストゥールに生まれたユベール・デ・ファラモンさんは、ガイヤックに人生を捧げるワイン職人だ。

ファラモンさんとシェパードのゴヤちゃん

唯一無二のワインには地場品種が欠かせない

博学なユベール・デ・ファラモンさんは、コメントが明快。

「ガイヤックの語源は雄鶏。昔、上質なワインとして認められると雄鶏マークが付けられた。今でいう品質保証システムだね」

1579年作とされる印章は家宝

「うちでは地場品種のブロッコル、デュラスなど扱うけど、ブロッコルは収穫が遅くてカベルネ・ソーヴィニヨンに近い。デュラスはメルローと同時期に収穫できて、性質を見ても従兄弟みたいなもの」

白ラベルがブロッコル種主体の「キュヴェ・セレクシオン」、黒ラベルがカベルネをブレンドした「キュヴェ・デュ・ピジョニエ」

16世紀から続くシャトーに生まれたものの、若い頃は辛酸を舐めた。

第二次世界大戦後は家屋が火事で消失、資金はゼロ。父親とワイン生産に専念するも、卸業者へ樽売りすれば利益は少なく、輸送経路での品質管理にも疑問アリ。そこで、ガイヤックでは海外へ直接輸入する造り手が皆無だった時代、ネゴシアン勤務経験もあった彼は自らオランダやベルギーへ飛び、輸送ルートを確保した。

「シャトーを売却しなければならない瀬戸際まで行ったけど、『自分の代で潰すのは忍びない』と踏みとどまった。ボルドーの影に隠れがちなガイヤックワインだけど、海外で大歓迎され、心も支えられたんだ」

樹齢100年超のプラタナス並木がシャトー入口へ続く

9本の支柱を持つ珍しいピジョニエ(鳩小屋)。建設当時、所有畑の広さを鑑みてベネディクト派の僧がサイズを決めたとか

シャトー・ラストゥール(Chateau Lastours)
81310 Lisle-sur-Tarn
Tel +33 5 63 57 07 09
www.chateau-lastours.com/
見学は要事前予約、グループでの見学は有料

今後は地場品種のなかでも絶滅しかけたプリュヌラールに注力してみるという。

「ワインとしてうまくいくかは賭け。でも、モノづくりの人間として、ほかと違うものに挑戦するのは当たり前」

息子に代を譲りつつ、まだまだアクティブだ。

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