「オルネッライア2018」発表

スーパータスカンの代表的ワイナリー「オルネッライア」が、そのフラッグシップワイン「オルネッライア」の2018年ヴィンテージを発表した。テーマは「ラ・グラツィア （優美）」。そして、オルネッライアには国際的な芸術家を起用して造る特別ボトル「ヴェンデミア・ダルティスタ」が登場するけれど、今回の芸術家はベルギーのヤン・ファーブルだ。

2018年は何が優美なのか？

イタリアはトスカーナ州で造られる、品質を追求したワイン、いわゆるスーパータスカンの代表である「オルネッライア」から、その中核である「オルネッライア」の2018年ヴィンテージが発表された。オルネッライアには毎年、テーマとして、その性格を表現する一言が与えられるけれど、2018年のテーマは「ラ・グラツィア（優美）」。

オルネッライアの最高醸造責任者 アクセル・ハインツはこのヴィンテージをこう語る。

「絶妙のバランスに恵まれた年となりました。さまざまな土壌と畑で育ったブドウが互いを補い合い、相乗効果により、素晴らしいバランスを備え、複雑性のあるワインが生まれました。しなやかで絹のような舌触りがあり、ワインのすべての香り、味わい、風味が一つに溶け合い、美しさと気品になったのです。」

ここ数年、非常に暖かくて雨の少ない冬が続いたスーパータスカンの故郷、ボルゲリ。しかし、2018年は、理想とする気候、寒くて雨に恵まれた冬となった。ブドウの木は、ストレスから回復することができ、新たな生命サイクルは順調に始まったという。その後、春の豊かな雨により、畑の土壌の中には、水を蓄えた保水層が再び現れた。

そして、夏は乾燥した気候となった。おかげで、ブドウは快調に育ち、陽光に恵まれて快晴が続いた7月の終わりには、ブドウの緑の実が黒く色づく「ヴェレゾン」の頂点を迎えたという。酸度と糖度のバランスは素晴らしく、収穫は8月31日から始まり、10月8日まで続いた。

珊瑚を使った作品

オルネッライアには、「ヴェンデミア・ダルティスタ」と呼ばれる、芸術家が作品としてつくりあげた限定ボトルがある。そのうちの大型ボトル、そして9リットルのサルマナザール・ボトルは、オークションにかけられ、収益金は3年前から全額、ソロモン・R・ グッゲンハイム財団が進めるマインズ・アイ プロジェクトに寄付されている。マインズ・アイ プロジェクトは盲人、弱視の人も芸術鑑賞の楽しめるようになることを狙いとした活動だ。

訳せばアーティストヴィンテージとでもなるだろうか、2018年のヴェンダミア・ダルティスタを制作したのは、ベルギーのヤン・ファーブル。昆虫学者で有名なジャン＝アンリ・ファーブルのひ孫にあたる人物で、それが理由か、スカラベのさやばねを使った作品など、本物の生き物を使った作品が世界的に知られている。活動の領域は広く、作品にはドローイングや彫刻だけでなく、演劇もある。

オルネッライア 2018「ラ・グラツィア」をテーマとした作品では、「ラ・グラツィア」は「自然からの神聖な贈り物であり、調和と均整の巧みなバランス」と解釈し、珊瑚を使って彫刻を作った。この珊瑚は、ナポリ湾で採れた「赤い黄金」という稀少なもので、３本だけ作られるサルマナザール・ボトルに対して、それぞれ「慈悲の灯火」「いたわりの王冠」「美徳の心臓」の３つの作品を完成させている。

ファーブルによると、「芸術は、倫理的、かつ、美的でなければならない。このため、オルネッライア2018 を表す作品として、心臓、王冠、灯火、翼の形状を取り入れました。この形は、情熱、美徳、純粋のシンボルであり、枝や珊瑚色の真珠により、この３つのシンボルに生命が宿るのです。「慈悲の灯火」や「美徳の心臓」では、３つのシンボルが融合して１つになり、それは精巧なプロセスを経て生み出されたヴィンテージ、「ラ・グラツィア（優美）」、オルネッライア2018 も同じです。」

この3作品に加えて、111本の限定大型ボトルに珊瑚の彫刻を、750mlの通常ボトル用には特別ラベルを、そして、オルネッライアの館内の食堂「オルチャイア」を彩る作品として、珊瑚の彫刻と３つのシンボルをモチーフにした１組の絵画を完成させた、ヤン・ファーブル。

サザビーズのオークションで販売されるのは、このうちの限定大型ボトルと、サルマナザール・ボトル３本のうちの１本。時期は2021年9月だという。

ヤン・ファーブルがデザインした2018年の「ラ・グラツィア」のオークションには多数のロットがあり、すべてサザビーズのサイトで閲覧が可能で、落札希望価格も、オンラインで指定することができ、落札者には、ボルゲリのワイナリーから直接、ボトルが送られる。