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コンクールに挑戦するソムリエはどんな毎日を送っているのか?の巻

連載 石田 博、ソムリエ世界一への道 Vol. 02

採点ポイントを意識する

ソムリエコンクールの競技種目は、サービス(給仕)とテイスティング、そしてワインだけでなく飲料や料理全般の知識が問われる筆記試験からなる。石田の場合、サービスは日頃から行っているので、具体的な準備作業としてはテイスティングと学習が中心となる。

「テイスティングについては中本さんにワインのセレクトをお願いし、同じくアルゼンチンチンでの世界大会に向け準備をしている仲間と一緒に、月3、4回続けています。実力のある人たちばかりなので勉強になりますね」。

中本とは「ロオジエ」のシェフソムリエ、中本聡文のことである。仲間とは、佐藤陽一、谷 宣英、森 覚、野坂昭彦を指す。

このクラスのソムリエになるとワインの産地や年代、ブドウの品種などは、ほぼ見分けられる。訓練するのはテイスティングで感じたことを伝えるコメントだ。

「審査員はコメントに出てきた言葉のチョイスを採点の対象にしてきます。テイスティングした印象を適切かつわかりやすい言葉で表現する技術が重要になってくるのです」。

コメントのテクニックについて、石田はひとつだけ方針を公開してくれた。

「フィギュアスケートで技術や表現力でいかにポイントを稼ぐかに集中するのと同じく、採点ポイントを意識したコメントをしていきます。サービスも同様、コンクールならではの対応もあれば、普段のサービス対応もあります。それらをうまく使いこなしていきたい」

勝負は僅差で決まることが多い。コツコツと小さく稼ぐ方法も有効だと考えている。ベテランらしい戦い方に注目だ。

一方、筆記試験については「暗中模索」だという。

「こればかりはわかりませんね(笑)。どんな問題が出るかも、戦う相手がどんな勉強をしているかも、まったく見当がつかないのですから」。

前に大会に出たとき、「ソムリエにもカクテルの知識が必要」という情報を得て、100種類ものレシピを覚えたけれど、一問も出なかった。

「いまやワインの産地は世界中に広がり、毎年のように新しいワイナリーが誕生しています。それに加えて他の飲料や料理、サービスまで含めた知識となると、出題範囲があまりに広すぎてヤマのはりようがありません」。

こうしたなか、結局はどれだけ自分らしくやれるか、が勝負の分かれ目になる。

「ソムリエコンクールの競技はすべて1人ずつ別々に行われます。対戦相手の様子をうかがい知ることはできません。真っ暗闇のなかで競争しているようなもので、最後は自分自身に勝っていくしかないのです」。

そんな厳しさがあるからこそ挑戦のしがいがある。石田は若いソムリエたちにその魅力を知ってほしいと考えている。再び世界大会に挑戦するのは、そのためでもある。 

 

(つづく)

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