世界中で愛されているワイン用ブドウの王さまについて知っておくべきこと

7156-a

もてはやされる理由

世界一栽培面積の広いブドウ品種が今回の主役、カベルネ・ソーヴィニヨン。世界中のあらゆるワイン生産国で栽培されているのだから、当然のことである。

一時の過熱感こそおさまったとはいえ、今なお高価で取引される、フランス・ボルドーの五大シャトー。これらはグラーヴのオー・ブリオン(メルローの比率が若干高い)を除き、いずれもカベルネ・ソーヴィニヨンを主体とした銘醸ワインだ。

未来のラフィットやマルゴーを目指し、振興産地のワイナリーがまず真っ先に、カベルネ・ソーヴィニヨンに挑戦するのも無理からぬこと。もちろん商品力の高さゆえだが、温暖で乾燥した気候をもつカリフォルニアやオーストラリアでは、圧倒的に栽培しやすいことも大きな理由のひとつである。

カベルネ・ソーヴィニヨンは熟期の遅い品種だ。涼しく雨の多い産地ではブドウが完熟せず、ビラジンと呼ばれる物資を原因とした青っぽいピーマン香をワインにもたらすことがある。じつのところボルドーは、カベルネ・ソーヴィニヨンが完熟する北限の土地。この品種に向く土壌が砂利質とされるのは、小石による蓄熱や輻射熱の効果と水はけのよさからで、ボルドーでも涼しい年や、不適切な土地にカベルネ・ソーヴィニヨンを植えてしまえば、未熟なブドウになりかねない。

一方、新興ワイン産地の多くは、気温や日照条件でボルドーよりも恵まれている。むしろ過熱のほうが懸念され、バランスのとれたカベルネ・ソーヴィニヨンを造るためには、適切な栽培管理と収穫のタイミングが求められる。

カベルネ・ソーヴィニヨンがもてはやされる背景は、この品種から造られるワインが色濃く、力強く、長期の熟成に耐えるからである。渋みが強いこともあって、ボルドーではしばしばメルローのように果実味のふくよかな品種とブレンドされる。

それに対してカリフォルニアやオーストラリアでは、タンニンまで熟して渋みがさほど目立たず、単一品種のまま瓶詰めされることも少なくない。

ありがたいことに収量を欲張っても、そこそこの品質のワインができるのが、この品種の大きな利点。低価格のチリ産カベルネ・ソーヴィニヨンが市場を席巻しているのがその証左。低価格から高価格までありながら、どれを選んでも大きな落胆を味わわずに済むのが、カベルネ・ソーヴィニヨンのよいところといえるだろう。

この記事を書いた人

WINE-WHAT!? 編集部
WINE-WHAT!? 編集部
メリー・クリスマス&ハッピー・ニュー・イヤーん!
2018年1月号(通巻20号)12月5日発売です!
特集は、石田博ソムリエと柳忠之さんによる「ヴィンテージ・シャンパーニュ27本テイスティング」と、柳忠之さんを座長とする「ワインと寿司のマリアージュ徹底検証」の2本立て!
岩瀬大二さんの「チリ紀行」にも注目。チリも積もればカベルネ・ソーヴィニヨンだけじゃない!
表紙はアニソンの女王・水樹奈々さんです。
ワインがスッキ、スッキ、スッキ、スッキ、ワインがスッキ、スッキ! 
へ、編集長、なんの替え歌だか若い人にはわからないです〜。