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モエ・エ・シャンドン グランヴィンテージ2013に合う料理とは?

たぶん自宅でもできる「オマールブルーのグレナディンとグレープフルーツソース仕立て」

先だってWINE WHATでもお伝えした、モエ・エ・シャンドンの「グラン ヴィンテージ2013」。現在、2012年から2013年への切り替わりタイミングなので、2012年が欲しい方はお早めに。そして、最新、2013年ヴィンテージを楽しみたい方、いよいよ、手に入ります。

このほど、モエ・エ・シャンドンはグラン ヴィンテージの2013年の世界リリースを記念して、メディア向けのオンラインクッキングイベントを開催し、WINE WHATも参加したので、その模様と、グラン ヴィンテージ2013に合うレシピを、ここでは紹介させていただきます。

造り手が考えるモエ・エ・シャンドン グラン ヴィンテージ2013に合う料理はこれだ!

まずはシャンパーニュのおさらいから

モエ・エ・シャンドン グラン ヴィンテージ2013について、まずは、手短に紹介したい。

2013年は、この60年ほどのなかでも、記録的なほどに、冬・春と気温が低く、ブドウの開花が遅くなった年だった。花が咲いてから収穫までの日数は平均的だったので、ブドウが熟成したのが、他の年とはちがい、夏の終わり頃から秋にかけてだったことが最大の特徴だ。酸度とアルコール度数(≒糖度)のバランスが非常によいのも特徴だけれど、秋に熟成したことにより、独特のアロマがあらわれた、と、モエ・エ・シャンドンの最高醸造責任者ブノワ・ゴエズは言う。

1960年から現在まで、ヴィンテージごとの酸度とアルコール度数をまとめた図

「私のキャリアのなかでも経験がないほど、ブドウの成熟と収穫が秋へとずれ込んだ2013年は、秋らしさ、エネルギー、シズルが特徴です。香りは、リンゴ、洋ナシのイメージが第一層に、第二層に茶色いイメージ、ローストしたナッツのようなイメージがあるのですが、気持ちのいい秋のイメージです。味わいには、モエ・エ・シャンドンらしい親しみやすさがある一方で、凛としたところがあります。これがエネルギーです。」

そのエネルギーは、とりわけ、2013年は出来が傑出していたシャルドネの力によるところが大きいという。

また、ブノワ・ゴエズが、シャルドネとピノ・ノワールをつなぎ、バランスをとってくれる品種、と常々語っているムニエも上質だった。

ピノ・ノワールはそもそも繊細な品種ゆえ、初秋にかけての成熟と収穫には、注意が必要だった、ということだけれど、これは、畑のマネージメントにより、結局大きな問題はなかった、とのこと。

ピノ・ノワールはシズルをもたらす。ピノ・ノワールはシャンパーニュに使われる品種のなかでは力強い品種だけれど、2013年に関しては、ピノ・ノワールは繊細で、複雑さをもたらしている、という。そして、ピノ・ノワールがより重要になるロゼには、イチゴのような香りやスパイシーさを与えている。

2013年ヴィンテージでブノワ・ゴエズが強調し、また、実際に味わう際にももっとも注目したいのは、苦味だ。

「グレープフルーツのようなイメージ。白であればグレープフルーツの白、ロゼはルビーのグレープフルーツのようなイメージ。青々しい苦味ではありません。伸びやかに余韻をもたらす、苦味です。」

以前も触れたけれど、親日家のブノワ・ゴエズは日本料理で、苦味というのが避けるべきものではなく、美味しさのひとつの要素となることを実感したという。特に、アユは、印象深いそうだ。そして、温暖化によって、酸味の維持がこれまでほど容易ではない現代において、苦味はより積極的に引き出し、表現してゆくべき味の要素として考えている、という。

筆者、この話を聞くと、ブルゴーニュのとある有名な造り手を取材した際に、その人物も、同じような理由から、苦味に注目していると語っていたのを思い出す。この人もまた、苦味はワインで表現できる味覚になってきている、と言っていた。

シャンパーニュの造り手のなかでも、リーダー格のモエ・エ・シャンドンを任されるブノワ・ゴエズが、ブルゴーニュの高名な栽培・醸造家と仲が良かったとしても、不思議なことはもちろんないのだけれど、筆者は、この一致は、その道を極めた人は、同じ結論に至るものなのだ、と解釈している。

2013年ヴィンテージは、特に、ブノワ・ゴエズが注目する苦味の要素がうまく出ているので、ここを料理とのペアリングによって、より、実感して欲しい、というのだった。

飲む前はよく冷やしておきましょう

モエ・エ・シャンドンの料理長によるペアリング

モエ・エ・シャンドンのシェフは、シェフ・ド・カーヴだけではない。このメゾンには料理長がいる。マルコ・ファティガだ。

マルコ・ファディガは、イタリア出身の料理人で、パリの高級レストラン「メゾン・ロスタン」や「ルドワイヤン」で腕を磨いた人物。独立してボローニャで活躍したあと、モエ・エ・シャンドンの料理長となった。

マルコ・ファティガ氏。

彼の腕前と知識は、モエ・エ・シャンドンのゲストをもてなす料理において発揮されるのだけれど、活躍の場はそれだけではない。モエ・エ・シャンドンのそれぞれのシャンパーニュと料理とのペアリングの提案においても、彼は重要人物だ。

今回、WINE WHATが参加したのは、オンラインにて、マルコ・ファディガに習いながら、グラン ヴィンテージ2013に合う料理を一緒に作りましょう、というイベント。

もちろん、食材は事前にある程度、準備された状態で、参加者のもとに送るのでご心配なく、ということだったのだけれど、そうはいっても、それなりに調理は必要だった。

筆者の元へはこのような形で到着

料理名は「オマールブルーのグレナディンとグレープフルーツソース仕立て」。グレナディンというのは、ザクロ果汁のシロップ。その甘味、酸味、そして、グレープフルーツがもたらす、やはり甘味、そして酸味と苦味。さらに、オマールの苦味と旨味。ブノワ・ゴエズが、常々、シャンパーニュには無い要素であり、これを補うと、味覚が完成する、という塩味は、ラルド・ディ・コロンナータ(豚背脂の生ハム)とオマールがもつ塩味によって、もたらされる。さらに、ジャワナガコショウ(ロングペッパー)とカリカリにしたバジルも、味の要素として加わってくる、複雑な味わいの料理だ。

マルコ・ファティガ シェフによるお手本。

このあとレシピを紹介するので、結論を先に言ってしまうけれど、果物やハーブ、オマールなど、それぞれに食材の段階で、複雑な味や香りをもつ食材を、組み合わせることで、グラン ヴィンテージ2013のもつ複雑さと同じレベルの味や香りを料理によって実現し、かつ、それぞれが味や香りを補いあっている料理だった。例えば、ワインにおいてはそうはいっても、わずかな苦味は、料理が持ち上げ、この料理単体ではそれほど、強くは感じられない塩味は、ワインが加わることで、物足りなさがなくなる、といった具合だ。

仕上がりの味わいは、果汁が多いこともあって、結構甘いのだけれど、それも、グラン ヴィンテージ2013と組み合わせることで、スッキリとして、エクストラ ブリュットでドザージュの少ないグラン ヴィンテージをリッチに引き立てる。

ペアリングには、味わいを削ぎ落として、印象をシャープにしていくようなやり方もあれば、オーケストラにさらに楽器を足していくような、やり方もあるけれど、このペアリングは、さすが造り手たちによるペアリングだけあって、その両方の要素をもっていた。

簡単なレシピではないけれど、とはいえ、真似できないレシピでもない。モエ・エ・シャンドン グラン ヴィンテージともなれば、一流の料理店で食事とともにオーダーするような格のあるワイン。発売間もないグラン ヴィンテージ2013。どうせ飲むなら、ちょっと贅沢して、このレシピ、試してみてはいかがでしょう?

というわけで、以下にレシピを紹介いたします。

「オマールブルーのグレナディンとグレープフルーツソース仕立て」のレシピ

材料(1人前)

殻なしロブスター(オマールブルー) 1尾  尾と爪の部分を使う
ピンクグレープフルーツ 1個
ピンクグレープフルーツジュース 200ml
スライスされたラルド・ディ・コロンナータ(豚背脂の生ハム)100g
岩塩 少々
オリーブオイル
無塩バター 25g
ザクロシロップ 50ml
フレッシュバジル
レッドカラント(グロゼイユ)のピューレ 50ml
ジャワナガコショウ 3粒
*ラルド・ディ・コロンナータはおそらくベーコンでも代用可能

用意すべき調理器具
オーブン
ラック
プレート
コンロ 2口
電子レンジ
ソースパン(フライパン) 2つ
調理用温度計(なくてもなんとかなる)
キッチンペーパー・ラップ
深皿 2枚
泡立て器
ハケ(ペストリーブラシ)
スキマー(網じゃくし)

作り方

クリスタライズドバジルを作る

1.  深皿の上にラップを広げ、ラップにハケでオリーブオイルを塗り、その上にバジルの葉を5枚ほど置き、バジルの葉の上にもハケでオリーブオイルを塗る。その上に、ラップをかけ、ラップの3ヵ所に穴を開ける。この皿を、電子レンジに入れ、1分加熱しする。

ラップ、バジル、ラップと層状にして、電子レンジで1分

2. 電子レンジから皿を取り出し、ラップをはずし、バジルの葉をキッチンペーパーの上に並べておく。

ラルド・ディ・コロンナータのチップを作る

3. オーブンを200℃に予熱する。

4. 薄くスライスしたラルド・ディ・コロンナータをオーブンラックに並べ、5分加熱。加熱を終えたらキッチンペーパーの上に並べておく。

カリカリになればOK

ロブスターのブロスを作る

6. グレープフルーツの皮をむき、ワタ(白いところ)を取り除く。今回使うのは果肉ではなく、こちら。

7. 以下の材料をソースパンに入れる。
水 400ml、グレープフルーツジュース 200ml、グレープフルーツの皮とワタ、フレッシュバジルの葉5枚、塩少々、バター 25g、ザクロシロップ 50ml、ジャワナガコショウ 3粒

8. ロブスターを入れ、ソースパンをコンロに乗せて火をつける。温度を確認できるよう、温度計を用意しておき、温度が65°Cになるまで中火で加熱する。

ポイントは温めすぎないこと、だとおもいます。画像は筆者が作ったものですが、もっと加熱を控えてもよかったかも……

9. 65°Cになったらソースパンをコンロからはずす。この際、ロブスターは冷めないようにブロスの中に入れたままにしておく。

盛りつけ前にスキマーでロブスターをブロスから取り出します。

ソースを作る

10. 別のソースパンにブロス大さじ10杯とレッドカラントのピューレ50mlを入れ、弱火で煮詰める。

ソースは泡立て器でよくかき混ぜます。ブノワ・ゴエズ氏はアシスタントとして参加

仕上げ

11. もう一枚の深皿の底に、適量のソースを入れ、その上にロブスターのテイルと爪を置き、上からソースを注ぐ。

皿にソースを敷いて、その上にオマールを載せていき、さらに上からソースをかける。

12. ラルド・ディ・コロンナータのチップを指でくだいてふりかける。クリスタライズド・バジルを飾ってできあがり。

こちらは筆者が実際に作ったものです。上のマルコ・ファティガ氏によるものと比べると、立体感がイマイチ……ラルド・ディ・コロンナータは塩味が強いので、少量で十分だった

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