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エノテカが造った非発酵ワインテイスト飲料とは?

ジョエア・オーガニック・スパークリング・シャルドネ登場

エノテカが南フランスのドメーヌ・ピエール・シャヴァンと共同開発したワインテイスト飲料、ジョエア・オーガニック・スパークリング・シャルドネを発表した。7月1日から発売となり、価格は1512円だ。

発売に先駆けて、WINE WHATはこの飲料を、テイスティング。日本のワインラヴァー集団「エノテカ」が、3年の歳月をかけて造った、ワインじゃないワインはどんなものなのか?

ジョエア・オーガニック・スパークリング・シャルドネ
1,400円(税別)
キャップシールの白い部分は、ジップのようになっていて、上からめくれる。開封するとシャンパーニュ式のミュズレ、ワイヤー、コルクのトリオが現れる。

ノンアルコール・低アルコール市場の最近

ノンアルコール・低アルコール市場が、成長中だ。そしてその成長は、新型コロナウィルスの蔓延により、加速している。

パンデミック以前から、ミレニアム世代を中心として、外食やパーティー、バーなどで、アルコールを飲まない、というトレンドが形成されていた。またワインも、オーガニックや自然派、あるいは環境配慮型のパッケージの採用など、エシカルなのはもはや常識といった様相を呈している。

ここに、パンデミックがやってきて、アルコールを提供できない、あるいはしづらい飲食店は、より、アルコールテイスト飲料を求めるし、家で過ごす時間が増えたことで、健康や環境への意識がより高まり、低カロリーでアルコールを(ほぼ)含まない、アルコールテイスト飲料へのニーズはさらに高まった。

急に求められても、すぐには造れない! という造り手もいるほどだ。

このほど、エノテカが南フランスのワインテイスト飲料市場におけるリーディング カンパニ ー「ドメーヌ・ピエール・シャヴァン」と共同開発し、発売する「ジョエア・オーガニック・スパークリング・シャルドネ」は、2018年に企画が始まったものだというから、パンデミック以前から企画されたものだけれど、アルコール度数0.1%未満のアルコールテイスト飲料であり、このタイミングでのリリースは、時勢を捉えたものとなりそうだ。

フランス語では、喜びや楽しさをJoie(ジョワ)、その場がめでたいこと、ハッピーなこと、愉快なこと、楽しいことをJoyeux(ジョワイユー)という。エノテカはジョエアとカタカナ表記するけれど、JOYÉAという綴りは、よりフランス語っぽく言うなら、ジョワイエア。ジョワでイエーイみたいな語感で、楽しい場面がイメージできる。ドメーヌ・ピエール・シャヴァンによれば、生きる楽しさ、という意味が込められているのだそうだ。

エノテカは、こんなデータを引用している。

イギリスの調査会社IWSRによると、2020年、アルコール飲料は世界全体で消費が減少。一方で、ノンアルコール・低アルコール市場は、前年比4.9%拡大した。この市場は2024年までに31%伸長すると推測され、2028年まで、6.79%の年平均成長率が見込まれている。さらに、アルコールテイスト飲料のなかでも、ワインテイスト飲料が、もっとも高い伸長率を期待されている。

のだそうだ。

もはや、ノンアルコール・低アルコールワインはキワモノでも、消極的選択肢でもない時代が来ている。

ワインテイスト飲料の造り方

ワイン味のノンアルコール・低アルコール飲料はどうやって造られるかご存知だろうか?

これには、ワインを造ってからアルコールを取り除く、脱アルコール法と、そもそもアルコール発酵をさせない方法がある。

脱アルコール法にはいくつかあって、まず代表的なのは、ワインを熱してアルコールを飛ばす方法。蒸留酒ではアルコールを得るためにやる方法だけれど、脱アルコールする際は、アルコール以外を得るためにやる。加熱による味や香りへの影響をおさえるために、沸点を低くするべく、空気圧を下げて行うので、減圧蒸留法などと呼ばれる。

アルコールと水だけを通すフィルターを使うことで、アルコールを分離する方法もある。アルコールとともに水も減るので、水は別途足すことで、アルコールを減らしてゆく。この方法は、海水から淡水を造る際にも利用されたりするものだ。

スピニングコーンカラムという技術もある。これは特殊な装置を使うのだけれど、この装置にワインを一度通すと、蒸発する香りの成分を回収でき、二度通すと、アルコールを回収できるというもので、二度通して、アルコールを回収したあとのワインに、一度目に回収した香りを戻すことで、脱アルコールする方法だ。

これらの方法は、アルコールは極度に少ないけれど、元は本物のワインである、という飲み物が出来上がるのが長所な一方、アルコールとともに、なにかしらがワインから失われるのは避けられない、という弱点がある。そこで、ジョエア・オーガニック・スパークリング・シャルドネで採用されたのは、そもそも発酵させない、という方法だ。

収穫されたシャルドネは、通常のワインと同様、除梗、破砕される。その後、まず、スキンコンタクトを8時間行う。果汁を皮に接触させるわけだから、皮についている酵母が果汁の糖分を食べることで、発酵がはじまってしまいかねない。そこで、発酵槽の温度を4℃にすることで、発酵を防いでいるそうだ。そして、この液体を圧搾する。

その後が独特で、種とシャルドネの酵母からエキスを抽出するのだそうだ。普通の酵母だと発酵が始まるので、風味づけ用だ。そして、シャンパーニュでのドザージュ(34g/リットル)にあたるものとして、果汁をブレンドし、低温で炭酸ガスを注入し、瓶詰め。アルコールがないので、腐らないように、50分間、低温殺菌する。

ジョエア・オーガニック・スパークリング・シャルドネはこうして造られる。

こんなにドザージュをしたら、結構甘いんじゃないか? とおもうかもしれないけれど、飲んでみるとスッキリしていて、甘ったるさはまったくない。シャンパーニュで言えば、エクストラ・ブリュット、あるいは、ノンドザージュのイメージだ。

フレッシュな酸味が味わいの基調をなしている。酸っぱいという意味ではなく、酸味の傾向として例えるならレモンやカボスのそれ。余韻も長い。そして、カロリーは一般的なワインのカロリー、100mlあたり70キロカロリー程度と比較して5分の1以下の、13キロカロリー/100mlなのだそうだ。

香りは、熟れた洋ナシと青リンゴのイメージ。ワインとは明らかに異なる香りだけれど、冷やして飲むスパークリングでアルコールがないのに、これだけ香りが出るのか、とちょっと驚かされた。味わいは、前述のとおり、酸が基本。酵母の旨味や、木樽のニュアンスも感じられる。木樽はいいにしても、酵母の印象は、造り方を聞かないと、発酵させていないのに、なんで? と不思議に思うところ。発酵していないから炭酸も後付けだけれど、きめ細やかで控えめな泡が、自然に馴染んでいて、ここで、あまり熟成されていない瓶内二次発酵のスパークリングワインのブクブクとした大粒の泡のことを思い出したりすると、ちょっと複雑な心境になる。

ボトルの見た目と同様、シャープでクリーンな飲み物だ。

というわけで、長く語ったけれど、百聞は一飲にしかず。筆者はスパークリングワインを飲んだような気持ちにちょっとなったけれど、最初に言ったように、ワインが本物で、こちらは代用品、というような扱いをする時代でもない。

価格も手頃だし、まずは飲んでみるのがいいとおもう。

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