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M. シャプティエ7代目社長ミッシェル・シャプティエ、かく語りき

私がつくりたいのは“おいしいワイン”ではない!

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テロワールという概念には人間が含まれる︎

彼は続ける。

「われわれはテロワールを重視する。テロワールとは土壌という意味だけではない。シュタイナーは世界を鉱物界、植物界、動物界、人間界の4つの次元として把握したが、ワインにおいてそれは知識学的土壌、ブドウ、微生物や昆虫や鳥、そして人間の4つに対応する。そしてそれらの総合的連関作用がテロワールと呼ばれるものだ」。

土地はそのままでは土壌ではない。そこにブドウを植えてもテロワールの表現をしない。なぜならそれらにはアストラル体がないからだ。

「なぜ土壌微生物がワインに必要なのかはわかるだろう」。

しかし動物がいてもブドウはワインにはならない。動物には自我がないからだ。自我をもつ人間だけがワインという次なるステージへと進めることができる。

「だからテロワールという概念には人間が含まれる」。

そこで自然と疑問がわく。ミッシェル・シャプティエの考え方、感じ方を共有し、あるテロワールの鉱物界・植物界・動物界の様相を正しくとらえて具体的な正しい行いをなすことができる人間がいなければ、彼の言葉は空論に終わるのではないか。

「だからここ何年か、人事に重点的に取り組んできた。正直、オーストラリアでのワインづくりは最初はうまくいかなかった。なぜなら本社からオーストラリアに人を送り込んだだけだったからだ。それに気づいてから、私はあらゆるプロジェクトには現地の人間を採用し、最低1回収穫・仕込みを共にしてのち、権限を委譲することにした。私は彼ら全員の指揮者だと思っている」。

こうして1時間半、ミッシェルと話をし、彼の思想を端的に表現するエルミタージュの単一畑ワインを飲んだ。
「私がつくりたいのは“おいしいワイン”ではない。私はそれぞれの土壌に語ってほしい。しかしその声はノイズとして現れる」。

彼はノイズを耳に心地よいメロディにするのではなく、それをメッセージにする。“おいしいワイン”をつくろうとしてしまう。そして、それで儲けようとする煩悩と低い次元の行為を自ら律して無になる。

「ブレンドを排する単一畑・単一品種。味の調整を排する無補糖・無補酸」とはそういうことだ。ワインとは真理に触れるための手段であって、快楽の道具ではない。

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