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おいしさの秘密は〝デナミザシオン〟にあり!

シャトー ル・ピュイ13代目ジャン=ピエール&フランソワーズ・アモロー夫妻

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天体のエネルギーを使う

サン・テミリオンの東、アペラシオンでいうとボルドーのコート・デ・フランに、1610年以来、400年以上農薬を使わずにブドウを育ててきたシャトー・ル・ピュイの畑がある。

サン・テミリオンやポムロルと同じ岩盤の台地だが、ル・ピュイの標高はそれより少し高い。現当主は13代目のジャン=ピエール・アモローさん。ル・ピュイでは、畑に除草剤や防かび剤は使わない。畑の一部は馬を使って耕し、収穫はすべて手摘みである。醸造は、基本的には先祖代々の昔ながらの方法で行ない、培養酵母や糖、瓶詰め前の亜硫酸は添加しない。ワイン造りの全作業をビオディナミで行なっている。

ビオディナミ(「化学的、人工的なものを排除する」だけでなく、「自然の力を引き出す、最大化する」ことに重きを置く)は今や珍しくない手法だが、ル・ピュイを特徴づけているのは〝デナミザシオン(活性化)〟である。ジャン=ピエールさんは言う。
「デナミザシオンとは、世界や天体のエネルギーを実在するものに変えて注ぎ、人のために使うこと。アインシュタインも、エネルギーは形ある物質が動くことで発生すると説いた。自然界ではエネルギーは天体で発生し、星が動くことで混ざり合い、それらが統合して地球に降り注ぐ。植物が育つのも、土壌からだけでなく、空からの恵みを受けているからだ」。

ジャン=ピエールさんは外界からのエネルギー・ゼロの完全遮音室に入り、2分ほどで気分が悪くなって出てしまった経験がある。

「人もエネルギーなしでは生きていけないことがよくわかった。だから、エネルギーは精神論ではなく、物質として存在し、ビオディナミも精神論ではなく、実際に存在する。これを人為的に直接与えられるのではなく、アクセスしやすい準備をすること。それこそがデナミザシオンなんだ」。

ル・ピュイで行なうデナミザシオンのひとつに、樽で熟成中のワインをかき回すことがある。一般的にバトナージュと呼ばれる作業だが、かき回して発生する渦で表面積が広くなると、外からのエネルギーがより受け取りやすくなる。左右逆方向にかき回せば、さらに正負両方のエネルギーが受けられる。畑に撒く溶液も同様にかき回している。なお、別の行為をデナミザシオンと捉えて行なう生産者もいる。

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