うまいワインをつくる人は、うまい食事を探すのも上手。
そこで今、話題の新世代ボルドー(❇︎)を代表するボルドー格付け4級「シャトー・ラフォン・ロシェ」のアナイスさんと、名門「ヴィニョーブル・シオザール」の6代目をつぐダヴィッドさんが東京・築地の場外市場にてブラブラ&パクパク、マリアージュを探して徹底調査した。
さておふたかた、自分たちのワインにピッタリな食は発見できたかな?

取材・文/山本真紀
collaboration : ボルドーワイン委員会(C.I.V.B)

❇︎新世代ボルドー
20〜30代の造り手たちが中心となり、新しい感性溢れるワインを産み出すムーブメントの総称。ボルドーの長い伝統と、最新技術の導入やデザイン性にまで心を配る革新的な思想の融合に、世界中から注目が集まっている。

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アナイス・マイエ Anaïs Maillet さん(左)は、ボルドー、サンテステフの格付け4級「シャトー・ラフォン・ロシェ」栽培責任者。ニュージーランドやアルゼンチンなど新世界の各国で醸造・栽培の研修を積み、ボルドーへ戻って25歳で現職に。
ダヴィッド・シオザール David Siozard さん(右)は、アントル・ドゥー・メールで双子の兄とともに「ヴィニョーブル・シオザール」を共同経営。主にマーケティングを担当しており、赤、辛口白、甘口白、ロゼ、と多彩なワインを世界20カ国に輸出している。

いきなり、寿司に甘口ワイン

アナイス(以下アナ) ボルドーワインの今を知ってもらうプロモーションのため、初来日しました! 日本人って、みな優しくて、いい国ね。

ダヴィッド(以下ダヴ) アナイスは20代、僕は30代。若者の視点でボルドーワインを新しい方向に牽引してきた。僕は家業のワイナリーでマーケティングを担当しているから、この機会に日本の市場を理解しておきたい。ということで、僕たちは今、巨大な市場のある築地にいまーす。

アナ え、あなたの理解したい日本の市場はワイン消費者のマーケットってことでしょ。築地市場のことじゃなくて。

ダヴ ノン、ノン、アナイス。日本人がどんな食を好むかわかれば、合わせるワインがイメージできる。これこそ立派な市場調査さ。

アナ マリアージュは本当に大切だものね。食とワインのクオリティを余韻まで吟味して、いくつもの味わい要素を重ねて判断する。その仕組みを知ると、食べる喜びと飲む喜びで満たされ、私たちはもっと幸せになれる!

ダヴ じゃあ早速、築地市場の場外で食べ歩きだよ〜〜。

アナ 食べ歩きって、いろんなメニューを少しずつ食べられるの? ボルドーワインと日本食の相性を考察するには最高の方法だわ。

ダヴ 何からいく?

アナ とても日本的なもの。寿司!

ダヴ なら、マグロの寿司にしよう。僕らがフランスで食べるマグロは、普通グリエか缶詰だけど。

アナ 生で食べることは少ないなぁ。

ダヴ わさびを添えて、醤油をつけて食べると……マグロ自体にも一種の酸味があるんだね。青く苦いわさびのアタックと醤油の塩気が、魚のおいしさを引き立てる。噛み応えのある魚に、ふわっとした寿司飯の対比も興味深いな。これは、僕の造るソーテルヌの出番な気がする。

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アナ いきなり、寿司に甘口ワイン?

ダヴ フランス人にとってもこのマリアージュが一般的でないのはわかってるよ。

アナ ボルドーにはバルザック、ルーピアックなど甘口ワインの産地がいくつもあるでしょう。なかでもソーテルヌに限定する理由を教えて。

ダヴ パワフルなマグロの脂身に醤油のコク、わさびの風味が合わさり、複雑味が増す。美しい酸と豊満な甘さで奥行きがあるソーテルヌだからこそ、きちんとバランスが取れるんだ。

アナ ふむふむ。

ダヴ ソーテルヌならフォアグラやロックフォール・チーズと考えがちだけど、そんな高級食材でなく、もっとカジュアルにも楽しめる。長期熟成させず、造ってから5年以内に抜栓してフレッシュなスタイルを楽しむソーテルヌも最近は増えてきたし。

アナ マグロ以外の寿司でも、わさびで複雑味を持たせればソーテルヌに合うものかしら。

ダヴ もちろん。薬味やスパイスの使用は強くオススメするね。わさびの代わりに生姜や胡椒でもいい。スパイスってのは、料理の付加価値を高めるために存在している。ただし、使いすぎには要注意。

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シャトー・ラピネス(AOC ソーテルヌ)

寝かさず早めに開けて飲んでも、完成度が高くて喉越し良好な甘口白。いつまでも飲み続けたくなる。「単体の刺身でなく、酢飯、わさび、小人のハーモニーがあるマグロ寿司が、複雑でクセになる甘口ワインにフィット」(ダヴィッドさん)

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WINE-WHAT!? 編集部
WINE-WHAT!? 編集部
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