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ローカルが決め手! ドイツワインの新しい品種ムーブメント

いつまでも甘口の白だけじゃない

訪問地2 Weingut Roth(ロート醸造所)

扱うはローカル品種のみ、それが世界への近道。

「扱うブドウは8品種、すべてドイツの伝統的な固有品種です。でも醸造テクニックは最新。なので、テーマは『モダンなクラシック』ってところですね」
と語るのはロート醸造所のオーナー、サブリナ・ロートさん。1867年から細々と続いてきた家族経営のワイナリーだ。民宿とワイナリー経営を並行していたが、2005年にサブリナさんが父親からワイナリー業を継ぎ、料理好きな姉が民宿担当、と分業制に。

サブリナさんはまずラベルデザインを一新し、少しずつ畑面積を広げてきた。親から畑を譲られた若い人たちが農作業を敬遠するため、畑の入手は比較的スムーズらしく、現在の自社畑は5.5ヘクタール。周辺の畑では知名度が高く売れやすいシャルドネへの植え替えが進むも、「世界へ勝負に出るには、かえってローカル品種のほうが強い」との見解を持つサブリナさんがブレることはない。

白はリースリング、ヴァイスブルグンダー、ムスカテラーの3種、赤はトロリンガー、レンベルガー、ザムトロート、シュペトブルグンダー、ドルンフェルダーの5種。販路は今のところドイツ国内がメインだが、ともにワイナリーを支える伴侶や友人のソムリエたちから意見を聞きながら、ワインのスタイルをさらに研ぎ澄ませる日々を送っている。

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Trollinger 2015
トロリンガーは、ドイツで4番目に収量の多い赤ワイン用品種。とくにヴュルテンベルク地方で盛んに栽培されている。「トロリンガーは基本“ブレッド&バター”、つまり日常用の品種です。収量制限さえすれば、濃厚タイプに仕上げることも可能。ブドウの果皮が薄くて病害の影響を受けやすいのが困るけれど、うちではストロベリーやラズベリーが香る普段飲み用ワインに仕上げています。夏に赤ワインが飲みたくなったら、コレに限ります」(サブリナさん)。

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Lemberger 2014
ドイツの赤ワイン用品種のなかで、作付面積は7番目に留まっているレンベルガー。だが、ライバル過多のリースリングやピノ・ノワールから距離を置こうとする造り手たちが注目し始めたローカル品種である。トロリンガーと同じく、フルーティーな香りを保ちながら熟成していけるのが特徴。色調は濃いめ。「スキンコンタクトは長めに、マセレーションとマロラクティック醗酵を行い、トロリンガーより重厚なタイプに仕上げています」(サブリナさん)。

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Samtrot 2014
ザムトロートはピノ・ムニエの変種であり、ピノ・ムニエの1クローンとして扱われる。だが品種特性にせよ地域特性にせよ、ヴュルテンベルグでザムトロートと呼ばれるブドウは、ドイツの他地域やフランス、スイスなどで栽培されるピノ・ムニエ全般とは違った独自の個性があるとして再認識されている。「昔はピノ・ムニエの“イミテーション”として使われてましたけど」
と解説するサブリナさんからは、ヴュルテンベルグ人の矜持がチラリ。

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