• TOP
  • #WINE
  • 「マネーの虎」と呼ばれた男 南原竜樹の「テイスト・オブ・オーストラリア2017」

「マネーの虎」と呼ばれた男 南原竜樹の「テイスト・オブ・オーストラリア2017」

オーストラリア大使館で開かれた豪州産食品・飲料の試食会に行ってきた

 

さる5月16日火曜日午後、東京・港区三田にあるオーストラリア大使館において、「テイスト・オブ・オーストラリア」と題するオーストラリア産品の試食会が開かれた。参加できるのは食品業界関係者のみ。2年連続ミシュラン2つ星のフレンチレストラン「ドミニク・ブシェ トーキョー」他、飲食店をグループ傘下にもつ、元「マネーの虎」南原竜樹がぶらりとのぞいてきた。

グルメの日本に売り込みたい!

イベントはこの春に赴任したばかりのリチャード・コート大使のあいさつから始まった。

要約すると、豪州大使館では自国産食品の日本でのブランド・イメージを高めることにつとめてきた。4度目の関税協議が開かれているおりでもある。

グルメの多い日本のリテール、肉、飲食業界のリーダーの方々に安全で栄養たっぷりのオーストラリア産品を売り込みたい。それには経験していただく方が印象に残って一番いい、というようなことだった。

日本とオーストラリアは、「日豪EPA」と略させる経済連携協定を2014年に結んでおり、2015年から発効している。引き下げ幅については製品によって異なるので、ここでは詳細にふれないけれど、要するにオーストラリアからの牛肉や乳製品、ワイン等の関税を引き下げることになった。オーストラリア・ワインの対日輸出は早い時期の関税削減を受け、2014年1−9月から2016年1−9月にすでに12パーセント以上増えている、とオーストラリア大使館のホームページにある。ボトルワインの関税は2021年までに段階的に撤廃されるというから長生きはするもんである。

一方、「『マネーの虎』と呼ばれた男」南原竜樹は大使館のセキュリティチェックを通過し、中庭の会場に入るやいなや、ワインを並べている出店者にところに行って名刺交換。それは大使のあいさつの始まる前のことだった。

トレジャリーワインエステーツジャパンが出店していたペンフォールズのビン8・カベルネ・シラーズ。トマトやチェリー、ベリー類、樽の香り、スパイスが感じられるフルボディを味わう。オーストラリアには地の利がある。安くてうまいワインは新世界に限る、と改めて思う元「マネーの虎」だった。

ちなみに、ワインはこのほか、オーストラリアでもっとも歴史のあるワイナリーのひとつと言われるアコレード・ワインズ社、豪州国内販売No. 1赤ワイン、マクギガン・ブラックラベル・レッドを擁するマクギガン・ワインズ社などが出店。

マクギガン・ブラックラベル・レッドは2016年、国内で348万本、1分間に6.6本販売したという。徹底したマーケティングによって“消費者が求める味”をつくりだす、というのがモットーで、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、シラーズ、グルナッシュ、その他をブレンドしている。

試飲してみると、チェリーやブラックベリー等のボリューム感ある香りにユーカリ等のニュアンス。プラムなどの果実感に甘さも感じられる。フルーティで微妙にスパイシーでもある。テイスティング・ノートの通り、飲みやすくて親しみやすい。マーケティングというのはスゴイもんです。

ペンフォールズの若いガイジンのお兄さんに、「マネーの虎! 光栄です」と勧められるままに試飲したあと、「虎」はすぐ隣の出店者のオージー・ビーフを試食。タスマニア産のグラスフェッド「ケープ・グリム」、オーストラリアでもっとも古い牛肉パッカーの「ジョン・ディー」、さらに抗生物質・ホルモン剤を使用することなく8〜12カ月放牧して育てたプレミアムラム「トップ・パドック」を試食。もちろん、名刺交換をしてから。

グラスフェッドとグレインフェッドのビーフの食べ較べると、グレインフェッドの方が脂がねちっこくて、グラフフェッドの方が爽やかだと思う、「虎」だった。

このほか会場で目立っていたのは、ナチュラル・チーズと、スーパーフードと呼ばれる食材の数々。だが、「虎」が次に狙ったのは中国貿易公司の扱う「カンソム・オーストラリア」の天然黒アワビだった。添加物を一切使わず、漂白もしていない。厳選された原料を鮮度の高いうちに加工製造している。そのおかげで、防腐剤を使う必要もないというその天然黒アワビをパクリと口に放り込みながら、名刺交換。同時に、「タンパク質補給ができた」と喜ぶ「虎」だった。

「虎」が今回、もっとも感動したのは、マクロミーツ社が扱うカンガルー肉(写真左)だった。

オーストラリアの大自然で育った野生のカンガルー肉。脂肪率が2パーセント以下の低脂肪で、ビタミン、ミネラル、それにオメガ3が豊富に含まれていて、健康的。味は意外にも牛肉に近い。

しかし「虎」が感動したのはそのことではなかった。

「50何年生きていて、初めてカンガルーの肉を食べた。まだまだ初めての経験がいっぱいある。これぞ生きていることの醍醐味だ!」

オーストラリア大陸からやってくる未知の食材は、世界中を飛び回った「虎」でさえも感動させたのだった。なお、1987年に設立されたマクロミーツ社が、このカンガルー肉の小売流通で世界最大の量をコントロールしているという。

最後に食品関係における南原理論をご紹介して起きます。「素人に味はわからん」という説があるけれど、あれは誤りで、「素人にも味はわかる」と南原はいう。というのも、彼は自宅でパーティーをひんぱんに開いていた頃、ビールの消費量が多くて、ビールの消費量が多いこと自体はよいのだけれど、翌朝、瓶や缶をゴミに出すのが憚られて困った。なんとなれば200人ぐらい集まると、ビール瓶でいえば200本分、ゴミ置場に置かなければならない。ワインの瓶だって、ものすごい量になる。

そこで「虎」は一計を案じた。ビールサーバーのタンクをビールではなくて発泡酒に替え、前回のパーティーの時にワインの空き瓶に紙パックのワインを詰めて出したのだ。もちろん節約の意味もあった。

その結果が何が起きたか?

どちらも消費量が歴然と減った。おかげで、翌朝のゴミ出しが楽になった。あまりの威力に、こういうことは2度としない、と誓った。味覚というのは決して侮ってはならない。

この記事を書いた人

WINEWHAT
WINEWHAT
YouTubeInstagramでも、コンテンツ配信中!
フォローをお願いいたします。

Related Posts

PAGE TOP