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ジャスティンはカリフォルニア中部からボルドースタイルでやってきた

ワイン産地としてのパソ・ロブレス発展のきっかけをつくったレジェンド!

20ドル・クラスの赤のカベルネ・ソーヴィニヨンでカリフォルニア第1位、全米第2位の売れ行きを誇る「ジャスティン」の日本における初お披露目昼食会がさる8月25日金曜日、東京アメリカンクラブで開かれた。

 

パソ・ロブレス 1981

ワインに魅せられた銀行家のジャスティン・ボールドウィンが、フランスのボルドー・スタイルのワインをみずから生み出そうとカリフォルニア中部のパソ・ロブレスにブドウ畑を構えたのは1981年のこと。

サンフランシスコとロスアンジェルスのちょうど中間あたり、セントラル・コーストにあるこの地の土壌は太古の海の堆積物からなる化石石灰岩質で、石灰質が多いのはブルゴーニュやサンテミリオン、ロワールなどと同じ。石灰質ということはカルシウム、マグネシウムの含有率が多くて、水はけがよいということである。

おまけに海抜1500フィート(457.2メートル)の丘にある畑は、カリフォルニアのどのワイン産地よりも昼夜の気温差が大きかった。ブドウの風味は暑い日中に強められ、涼しい夜には素晴らしい骨格、成熟度と自然な酸のバランスがつくられる。ボールドウィン氏が最初に購入した160エーカーの土地は、ボルドー・スタイルのブドウを栽培するのにピッタリだった。

1986年にカベルネ・ソーヴィニヨンとシャルドネを初リリース。1987年、最初のヴィンテージが誕生した。のちに「アイソセレス」と改名されるそれは、カベルネ・ソーヴィニヨンとカベルネ・フラン、メルローのブレンドで、典型的なボルドー左岸のワインをお手本にして、それを打ち負かすべくつくられた赤ワインだった。ちなみに”isosceles”とは二等辺三角形の意で、この3品種が美しいバランスで共存していることを表しているという。

手摘みで収穫し、人の手で選果、オーク樽で熟成されるブティック・ワイナリー的なつくりのジャスティンのワインは瞬く間に名声を得た。10年後の1997年、「アイソセレス 1994」はロンドン・インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティションで「世界最高のブレンドされた赤ワイン」に指名され、2000年には「アイソセレス 1997」が『ワイン・スペクター』誌の「トップ100リスト」の第6位に選ばれた。2015年には『ワイン・エンスージアスト・マガジン』の「ワイナリー・オブ・ザ・イヤー」に選出されてもいる。

フレンチ・オークの小樽で熟成する伝統的スタイル。

2013年にテイスティング・ルームもオープン。

もちろんレストランも併設。宿泊施設もある。

2010年にジャスティン・ボールドウィン氏は自分の名前をつけたワイナリーを売却することになるけれど、ワイナリー自体は順調に発展し、いまやジャスティンのカベルネ・ソーヴィニヨンは、20ドル・クラスのカベルネ・ソーヴィニヨン部門の小売店での販売量で、カリフォルニア第1位、全米第2位という圧倒的な人気を誇る。

この、日本でも知っている人は知っているジャスティンの輸入を手がけているのが東京銀座にオフィスをかまえるTYクリエイションで、5年ほど前から扱い始めている。今回、ジャスティンのアジア部門のゼネラル・マネージャーのクレメント・シウさんと北アジア地域の販売責任者のサラ・リオンさんが香港から来日した機をとらえて、メディア向けランチセッションが初めて設けられた。

ジャスティンの価格レインジを考えると、「売れるレストランはそう多くはない。まずはジャスティンというブランドを日本に根付かせていきたい。そのためにはメディアの方たちに知ってもらいたい」というのが彼らの控えめな目的であった。

ジャスティンが勝ち得た名声によって、パソ・ロブレスという地域全体が新たなワイン産地として一躍脚光を浴びた。ボールドウィン氏が最初の畑を買った80年代初め、この地にワイナリーは6軒しかなかった! なのに、ここ10〜15年で300軒超にまで増えたというのだから驚くほかない。アメリカのバイタリティはスゴイ!

なお、パソ・ロブレスは石灰岩質だけではなくて、花崗岩あり砂岩ありで、45種もの土壌の多様性があるというから、ワイン産地としての可能性はますます広がるに違いない。

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