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シャトー・メルシャン 日本ワインづくり140年記念イベント

大橋健一マスター・オブ・ワインの基調講演もありました

大橋健一MWの基調講演

英国に拠点を置くマスター・オブ・ワイン協会が認定する、ワイン業界において最も名声の高い資格とされるMWに2015年に合格した大橋健一。メルシャンのブランドコンサルタント就任は2017年1月。

大橋MWは日本のワイン市場状況について、「データが煩雑でどれを信じていいかわからない」と嘆いた。これでは一流のワイン生産国とはいえない。国税庁によれば、日本でのワインの総生産は95,150kl、このうち日本ワインは18,613klで、前年比約20%増(大橋MWの示した数字は前述のメルシャンの数字と異なっていることに注意)。ワイナリーは過去5年、右肩上がりで増えていて、現在280以上ある。ブドウの収穫では白と赤が1:1。白は甲州18%、ナイアガラ12%、赤はマスカット・ベーリーA13%、コンコード11%で、コンソリデーション(統合・整理)が進んでいる。

東京23区内にある客単価5000円以上の寿司屋1433軒のワインリストーーある外資系リサーチ企業に査定してもらったら4ケタの価値があるという大橋MW独自のこの調査によれば、1位はフランスワインで、70%のお店が置いている。2位は日本で25%近く。以下イタリア、USA、チリと続く。ここで大橋MWが提起するのは「日本ではあらゆるワインが買えるのに、フランスばかり。日本にはフランス人は少なくて、来日観光客はアジア人ばかりなのに、なぜフランスワインなのか?」ということである。日本はオーセンティックな国で、日本人はワインといえばフランスと思い込んでいる。「主観性が欠落している」と手厳しい。

日本のワイン市場のレポートはマスター・オブ・ワインの資格を取るための必須課題。

一方、日本ワインが2位にきているのはすごくいいこと。東京から地方にこれから普及していくだろうから、日本ワインのポテンシャルは大きい。「震災前ではこうはいかなかったかもしれません」というコメントは示唆に富む。

品種別では、シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨン、シャンペンブレンド、ピノ・ノワール、ソーヴィニヨン・ブランで、7番目に日本固有種の甲州がきている。甲州にはまだ伸び幅がある。というのも、日本はミシュランの星付きレストランが一番多い国だし、和食はユネスコの無形文化遺産に登録されている。日本政府は東京オリンピックが開かれる2020年に外国人観光客を4000万人を呼び込む目標を立てている。昨年は2400万人。日本にはすでに約240万人の外国人が中長期滞在していて、昨年は前年比6.7%増加している。いつか日本がニューヨークみたいになるかもしれない。この増加率だと、そうなるのに30年もかからない。

フランスワインに固執しているのは60歳以上の人である。われわれは完全にフォロワーになっている。このような中、シャトー・メルシャンは日本全体を盛り上げる必要性がある。

国産ワイン市場でメルシャンは30%、最大専有率を有している。生粋の高級ワイン信奉者は、藤沢工場でつくっているバルクワインを国産ワインにしちゃうのはいかがなものか、と否定する。はっきりいってその通りである。しかし、その10倍以上ポジティブである、と大橋MWはいう。「ワインの間口を広げていることの方が大きい」からだ。とり貴族が280円から298円に値上げすることに対して、3人にひとりが困るとテレビでいっていた。そんな世相でバルクマーケットがなくなったら……。メルシャンには、ブルゴーニュの名門アルベール・ビショーに提供したQC(品質管理)、QA(品質保証)は光明である。同じ技術がメルシャンのバルクワインには使われているのだから。

メルシャンはファースト・ムーバー、最初に動いた人である。日本のワイン産業に従事する者として、シャトー・メルシャンの品質を注目すべきである。フォロワーのコストは低くなる。テロワールという言葉は、ブドウをつくっているところでしか使わない。品種と産地をアピールすること。北海道/ピノ・ノワール、というコンビネーションが出来上がったときに世界に認知される。

世界中どこも、ワインメーカーはタレントである。どうしてメルシャンはプロモーションをイマイチにしてきたのか。安蔵さんのゆるキャラを前面に推しておきたい。ということも強調した。

ということで、ゆるキャラ安蔵さんをもう一度。

「私は日本のワインのアンバサダーである。私がやりたいことは、メルシャンを通して日本のワインを世界に羽ばたかせたい。日本の底上げがしたい」と大橋MWは熱く訴えるのだった。

最後に大橋MWは日本におけるワイン産業の意味について語った。

大橋MWがこの4月に長野県上田市にあるシャトー・メルシャンの自社管理畑「椀子(マリコ)ヴィンヤード」に赴いたとき、小さな子どもたちが元気に畑仕事をしていた。102名の地権者から借りている土地の一部を隣の小学校に貸して、小学生がジャガイモを植えている。毎年、体験実習で農業の楽しみを教えている。農薬は使っていない。

「椀子ヴィンヤード」ではシルバー人材を活用し、ハーベスト・ボランティアを募集すると「瞬殺」一瞬で埋まる。お弁当と豚汁、マリコのロゼを目当てに240名が上田市に集まる。これには上田市も協力している。

秋田・大森ではリースリングが栽培されている。栽培に対する注文が細くて、農家は大変だ。でも、感謝している。1年中、母ちゃんと一緒にいられる。冬でも仕事を与えてくれて、出稼ぎに行かなくてもいい。5月27日にはパーティが開かれる。リースリングだけで400人弱が集まるのは世界中で秋田・大森だけである。地方のテレビ局が取材にくる。「よっとくれ。先生もテレビに出れるぞ」と大橋MWも農家のおじさんに誘われた。

このほか、福島・新鶴など、シャトー・メルシャンの畑があるところで、ブドウ栽培は地域をポジティブに向かわせるアクティヴィティとなっている。地域振興、社会貢献に寄与するところ大である。

というように、日本のワイン産業について、データを交えながら客観的に語ろうとする大橋MWの基調講演は大変興味深いものであった。

シャトー・メルシャンでは今後、“Tasting Nippon”をキーワードに、日本ワインだけでなく、日本文化までも牽引すべく活動を深化していくという。

その活動第一弾として、ファン参加型のコミュニティクラブ、「シャトー・メルシャン・クラブ」を9月22日に発足する。ブドウの植樹や収穫など、直接ワインづくりに触れられる体験や、メンバー限定のワイナリーツアーなども実施する。

10月6-8日には第二弾として、「シャトー・メルシャン ハーベスト・フェスティバル」を東京・六本木で開催する。次の140年、日本ワインがますます盛んになることを祈念しないではいられない。

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