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オーストラリアワインの多様性と創造性をめぐるセミナー by マイク・ベニー

「ビッグでボールドな赤」だと思い込んでいたら大間違い!

ピノ・ノワールと弟子と師匠

第2セットは、「Dr Edge ‘North’ Tasmania Pinot Noir(ドクター・エッジ ‘ノース’ タスマニア ピノ・ノワール)2016」と「Bass Phillip ‘Issan’ Gippsland Pinot Noir(バス・フィリップ ‘イッサン’ ジップスランド ピノ・ノワール)2015」の比較である。マイクが早口で語る。

「これは面白いコントラストです。オーストラリアのピノ・ノワールにも、素晴らしいストラクチャーとタンニンが見られるものがあるということを示したかった。オーストラリアのワインというと、強い日光による高い温度によって、ジャムっぽさを凝縮した、と思い込まれているとおもう。でも、このふたつのワインは、オーストラリアの中でも、最も寒いところが産地です。このふたつを比べるときに、別のいい方をすると弟子と師匠に似ている」

中央の2本に注目! Dr EdgeはDredgeという苗字の人がつくっている。

ドクターエッジは、もっとも尊敬されている大手ワイナリーの『ペタルマ』でワインをつくっていたピーター・ドレッジという若手のワインメーカーが2009年にタスマニアに移住して、15年から自身のブランドをスタート。タスマニア島自体は寒い土地ながら、その中では最も温かいノース・タスマニアの小さなシングル・ヴィンヤードから厳選したワインをつくっている。

もうひとつのバス・フィリップのストーリーは40年前に遡る。彼らはブルゴーニュ・スタイルのピノ・ノワールをつくることにかけて来た。だけど、オーストラリアのアクセントを忘れずに。現在のワインメーカーのフィリップ・ジョーンズはビオディナミを追求している。パス・フィリップのスタイルは変わっていて嫌いという人もいる。灌漑、農薬、肥料はなし、濾過の最少化、天然酵母で発酵させ、清澄剤は使わない。自然任せだからワインのデキは年によって変わる。「オーストラリアでも最も素晴らしいピノ・ノワール、というピノ・ノワール・ラヴァーもいます」とマイクはうれしそうにいった。

大越の意見を聞いてみよう。

マイクのワインのチョイスに大越も驚嘆。

「ドクターエッジはつねにフレッシュ感をまとっている。こういう香りをまとっていること自体、これまでのオーストラリアには見られなかった。口に含んだ瞬間、アタックの段階から酸味の存在を感じることができる。ほかの産地のピノ・ノワールだと、最初は甘い果実感で、酸はアフターで感じるものだった。ジューシーなテイストというイメージが多かった。つまり、冷涼な産地を表現している。引き締まったタイトな感じ。酸味とタンニンの存在をつねに表現し続ける。だから、昔とはだいぶスタイルが違う。せっかくこれだけ酸が感じられるのだから、お料理もそれを生かしたいと思う。たとえば、チリみたいな甘くて辛いみたいな料理。甘すっぱ辛い料理がアジアには多い。酸味と酸味の相性はフレーバーを伸ばしてくれる効果がある。より楽しめるのではないか。

バス・フィリップは好き嫌いがあるかも、という話でしたが、私自身は大好き。チェリー系が熟した中に、いい意味でのグリーンな感じがある。クリーンな果実感とは違うタイプ。複雑性の香りを持っている。テイストとしても口当たりが柔らかくて旨味が豊富。それでいて、最近のオーストラリアワインと同じように重い感じがない。果実の熟度感はあっても重くないから、世界のいろんな料理と合わせて行くのに、ぴったりだと思う。ヴィンテージによる違いも、バリエーションとして楽しめる。こういうタイプだと、辛味とか酸味が秀でているより、料理としてバランスが取れていて、旨味がのっているものがいい、と思います」

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