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ロングアイランド最果ての「コントコスタ・ワイナリー」

ケニー奥谷のNY Winery Trips 第13回

ケニー奥谷。ニューヨーク在住のインターナショナル・ホスピタリティーインダストリー・スペシャリスト。1989年からシンガポールのウエスティン・スタンフォードホテルに勤務。その後、サイパンのハイアットリージェンシーを経て、1994年から2005年まで、ザ・プラザ・ニューヨークのアジア地区営業部長を務めた、日本人にしてアメリカホテル業界の達人だ。

そのケニー奥谷がいま、あししげくかよっているのが、ニューヨークのワイナリー。
摩天楼から、クルマで1ー2時間。美しい海と自然に恵まれたロングアイランドには、40を越えるワイナリーがあり、「ニューヨークのボルドー」と称される。
ケニー奥谷による、ニューヨーク ワイナリー探訪記第13回!

この記事はニューヨークの日本語情報紙「よみタイム」Vol.242 2014年11月15日発行号掲載の「NYワイナリー探訪 UNCORK NEW YORK」をもとにしています。

ダブル・ゴールド賞獲得!

紺碧の海を眺めながらワイングラスを傾ける。

つまみは、ぽいっと投げて、風に浮かぶカモメとシェア。夕暮れ時に立ち寄った人は、陽が沈み終わるまで動けなくなる。

こんな楽しみがあるワイナリーは、ロングアイランドでは他に存在しない。最東端にあるコントコスタ・ワイナリーは、雄大な眺めを求めてくる人々でいつもにぎわっている。

テイスティングルーム

板で外側を囲った素朴な造りのテイスティングルームと、海風を受けて力強くまわる風力発電ユニット。これらが示すものは自然環境を守る強い意思。さらに特殊な節水設備やリサイクルスティールを使っていることなどが加わり、LEED(Leadership in Energy and Environmental Design)から金賞を与えられた、北米では数少ないワイナリーだ。

風力発電が描かれたラベル

2002年に初めて苗が植えられ、2007年にボトルができたばかりというのに、間もなくロングアイランド最高のワインを産するだろうという期待がかけられている。既に2012年産のカベルネ・ソーヴィニヨンは、2014年のInternational East Meets West Wine Challengeでダブル・ゴールド賞を獲得している。

畑の面積は62エーカー。年間生産量は3,000ケースのみ。

にもかかわらず、人気の高い「シャルドネ」は生産していないと聞いて驚いた。その代わりに、オーナーのMike Kontokostaは、フランスのロワール渓谷のメイン種である「ソーヴィニヨン・ブラン」と「カベルネ・フラン」に賭けたという。

フランは芽を早くだすので、その分、熟成期間を長くとれるというのが理由だ。もと企業弁護士だった彼は、ロングアイランド・ワイナリーのパイオニアの一人であるRay Blumと働きながら「なぜそうなる?」を口癖に、こうした貴重な知識を得て成功を導いた。

類稀な美しい景色を保有したことで、テイスティングルームは満杯状態が続く。

3,000ケースは、ここのビジターの需要だけで終わってしまうため、他では販売されていない。さて、海辺にこしかけて、ここにしかないワインを飲むことにするか。


今回紹介したワイナリー

Kontokosta Winery

825 NorthRoad, Greenport, NY 11944

www.kontokostawinery.com


この記事を書いた人

ケニー 奥谷
ケニー 奥谷
奥谷啓介。ニューヨーク在住。インターナショナル・ホスピタリティーインダストリー・スペシャリスト 。慶應義塾大学卒。
ウェスティン・ホテルズ 初の日本人学卒スタッフとして、アジア地区セールスオフィスに入社。1989年よりシンガポールのウエスティン・スタンフォードホテルに勤務。その後、サイパンのハイアットリージェンシーを経て、1994年から2005年まで、ザ・プラザ・ニューヨークのアジア地区営業部長を務める。2005年、ザ・プラザの閉館とともに退社。現在、文筆、講演、コンサルテイング活動を行いながら、ニューヨークと日本を行き来する日々を送る。

雑誌「男の隠れ家」や「日刊ゲンダイ」で連載記事を掲載。著書に『世界最高のホテル プラザでの10年間』『海外旅行が変わるホテルの常識』『サービス発展途上国日本』『なぜ「お客様は神様です」では一流と呼ばれないのか』『超一流の働き方』がある。

公式サイト:okutanikeisuke.com

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