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元祖ボルドー「グラーヴ」地区のつくり手たちの肖像

平均6代目の老舗銘醸地にはさまざまな家族のかたちがあった

Château de Chantegrive

シャトー・ド・シャントグリーヴ

セラー脇に新設された販売コーナーは、シンプルかつゆったりとした配置。

趣味の切手が

ブドウ畑に変身

シャントグリーヴとは、渡り鳥であるつぐみの名。

「アルマニャック地方でブドウを食べたつぐみが、こちらで狩られておいしいご馳走になるの」と語るのは、2代目のマリー=エレーヌ・レヴェックだ。

彼女の父親、アンリがグラーヴの将来性を確信し、「収集していたお宝の切手を売って」2ヘクタールの畑を買ったのがすべてのはじまり。以降50年ほどかけ、飛び地でも少しずつ手に入れてきた畑は現在110ヘクタールにまで規模を広げた。

シャトーの名を押し上げたのは、新樽率50%の白「キュヴェ・カロリーヌ」。しかし1980年代の白ワイン不遇期には、やはり苦戦を強いられたという。当時は幸いにもアメリカ人のファンに支えられ、運営継続。

「今は、より日本人に好まれていますね」とマリー=エレーヌ。2006年からはシャトー・アンジェラスのオーナーがコンサルタントとして参画し、14年からはロゼ、15年からは甘口もリリース開始。つぐみのワインは、姿を次々と変えて世界のテーブルを飛び回る。

シャトー・ド・シャントグリーヴ白(右)と、樽の香るキュヴェ・カロリーヌ。

Château Ferrande

シャトー・フェランドゥ

コマーシャル担当のヴェレナは、頻繁にマールのもとを訪れて意見交換。

果実味が弾ける白は

メイン料理に

ボルドーを中心とし南仏やロワールにもワイナリーを所有する、カステル・グループ。フェランドゥは1992年、その傘下に入った。

ブドウの植替えと平行し、現在は建物部分のお色直しが着々と進行中。入口から試飲ルームにかけては、ステンレスと石のコントラストが際立つミニマムなテイストに。カステル家3代目のヴェレナ・ラウーは「近いうちに、このシャトーで食事もできるよう設備を整えているところ」と誇らしげだ。

ワインは、ライチの香るソーヴィニヨン・グリを1/3ブレンドする白がユニーク。醸造担当のマール・マントゥナンは、前菜やチーズだけでなくメイン料理とも合わせられるスタイルを目指したという。そのためには「飲んだ瞬間、花火のように果実を感じなきゃ」。勤続24年、「俺の人生はフェランドゥの人生」と笑うマールに、ヴェレナも全幅の信頼を寄せている。

白は生産量の少ないソーヴィニヨン・グリにフォーカスを当ててブレンド。

Château de Castres

シャトー・ド・カストル

コルク問題について語りだすと止まらない、熱いホセ。

父娘で畑もコルクも

健全に管理

300年前からワインを造っていた一族のもとに生まれ、現在は娘のレアとともにワインを造るホセ・ロドリゲス=ラランド。前職は、コルク会社のディレクターだ。1990年代はコルクが原因とささやかれるワイン劣化事例が多く、何度も訴訟が勃発。ブショネの原因解明を頼まれ、化学技師だった彼が辿り着いた原因のひとつはセラーの建材だった。

「防腐剤を使った木材がセラーで使われているとワインが劣化、との結果が導かれた。日本の建築のように、完全に乾燥させた天然の木材ならいい」とホセは語る。

コルク本体も、高圧力と二酸化炭素で処理したDIAMを選択。ひとまず彼が管理する4つのシャトーでコルク問題は勃発しない。

父親の代から自然派に転向し、一部の区画ではビオディナミも実践。セラーも畑も「常に適切で、健康にいいものを選ぶ」とのポリシーで一貫していた。

赤は基本、すべて樽熟成。生産量の8割は輸出にまわる。

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