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フランチャコルタを担う新世代のつくり手6組

イタリアの高級スパーリングワインの産地を現地取材しました

風土、人、郷土料理から知るフランチャコルタの魅力

フランチャコルタでは珍しい斜面に広がる畑。グッサーゴの「LA CANTORIE」にて。

フランチャコルタ協会認定のレストランにて。この地方の伝統料理とのペアリングが楽しめる。

世界でも比類なき唯一無二の個性

イゼーオ湖の南岸に広がる氷堆積丘陵を産地とする瓶内二次発酵のスパークリングワイン、フランチャコルタ。ロンバルディア州を代表するワインであることはいわずもがな、今や、イタリアを代表する高品質のスパークリングワインとして、世界中の愛好家を魅了している。

16世紀からワイン造りが行われていたこの地で、発泡性ワインのフランチャコルタが誕生したのが1960年代。11の生産者グループが発起人となり、1967年にピノ・デイ・フランチャコルタがDOC(統制原産地呼称)の認定を受けたのが始まりだ。以降、70年代のイタリアワイン変革期に多くの起業家が参入し、栽培面積が拡大。

1990年、フランチャコルタ・ワイン品質保護協会が発足し、1995年、瓶内二次発酵で造られるワインとして初めてDOCG(統制保証付原産地呼称)に認定された。わずか半世紀間の大躍進。「フランチャコルタの奇跡」といわれるゆえんだ。

高い品質から「イタリアのシャンパーニュ」などといわれていたフランチャコルタだが、今や唯一無二の個性を持つスパークリングワインとしてさらに評価を高めつつある。

ブドウの栽培面積は約3000haと、シャンパーニュの約十分の一。内、70%が有機認証及び有機栽培へ移行中の畑だ。

二次発酵中のフランチャコルタ。「BIONDELLI」のカンティーナにて。

温暖な気候は、豊かな果実味、香りを生み、十分に熟したブドウは、ごくわずかなドザージュで充実した泡が得られる。

瓶内での法定熟成期間は、シャンパーニュの15カ月を上回る18カ月。恵まれた自然環境、小規模産地だからこそ叶う産地一丸となっての品質への追求が、現在の評価に繋がっているのだ。

ここ数年、黎明期を支えた第一世代の孫たちが続々とワイン造りに参入。

畑でのブドウ栽培により重きを置く彼らの姿勢が、また新たな風を吹き込んでいる。活況は、まだまだ続きそうだ。

多彩な味わいが料理と引き立て合う

フランチャコルタで特筆すべきが、“サテン”の存在。シャルドネを主体に50%までピノ・ビアンコの使用が認められており、ガス圧は5気圧以下。口当たりがなめらかでチャーミングなスタイルは、アペリティーヴォにも好適だ。

さらに2017年から従来のシャルドネ、ピノ・ビアンコ、ピノ・ネーロに加え、エルバマット種の使用が認められるようになった。グローバルウォーミングの影響で、シャルドネの酸度が得にくくなっている中、酸度の高いエルバマットを補助的に使うことを目的とした新たな試みだ。

「奇跡」と賞される栄誉に浴しても、さらに発展の道を探る。これこそがフランチャコルタ・スピリッツにほかならない。

ドザージュによるバリエーション、熟成期間や収穫年で異なる個性と、さまざまなタイプがあるフランチャコルタは、食中酒としても万能。アンティパストからドルチェまで、フランチャコルタでのペアリングが可能だ。

地域伝統のサラミ、淡水魚・サルメリーノのタルタル、淡水イワシのオイル煮など。「LANTIERI de PARATICO」併設のリストランテの前菜の一例。

ロヴァート風牛肉のオイル煮。アンチョビやケッパーが効いたソースとポレンタを添えて。「OSTERIA DELLA VILETTA」の1皿。

牛肉とグラナ・パダーノを詰めたカゾンチェッリは、「ROMANTICA」のリストランテのもの。

優良なワインの産地には見るべき食文化があるのが定石だが、フランチャコルタも例外ではない。

半月型のパスタ、カゾンチェッリは、地域を代表するパスタ料理。またロヴァート地方では牛肉のオイル煮が伝統的だ。イゼーオ湖の淡水魚で作る料理も豊富で、バゴスをはじめとした牛乳製のハードチーズ、ハムやサラミなどの豚肉の加工品にも事欠かない。

イタリア第二の都市、ミラノから車でわずか1時間、ベルガモ等近隣都市の避暑地としても栄えた歴史を持ち、イゼーオ湖周辺に風光明媚な景色が広がる。食文化のレベルは高い。

スローフード協会の認定を受けた老舗オステリアが町の人々でにぎわい、大規模ワイナリーがレストランを併設。土地ならではの料理を味わうシーンも広がっている。

コアなワイン愛好家のみならず、ツーリストをも虜にする魅力にあふれている。

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