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河村隆一は未来のシンデレラを探している

友情から生まれるワインと音楽

2018年にこの世を去った料理界の巨人、ジョエル・ロブションが晩年に愛したシャンパーニュメゾン「ラリエ」と、現在ロブションを受け継ぐ子息たちが、世界のジョエル・ロブションの店のハウスシャンパーニュとして生み出した「シャンパーニュ・ラリエ ジョエル・ロブション」が11月にリリースされた。そして、このシャンパーニュのアンバサダーを務めるのが、ミュージシャン 河村隆一さんだ。というのは 先だってもお伝えしたとおり。WINE WHATは、その「シャンパーニュ・ラリエ ジョエル・ロブション」の誕生に中核的な役割を担ったルイ・ロブションさんと、同シャンパーニュのアンバサダーをつとめる河村隆一さんに話を聞いた。

ロブションのシャンパーニュだった!

「ルイ君は、最初から僕をアンバサダーにするつもりだったよね?」

河村隆一さんがルイ君と呼ぶのは、今回のシャンパーニュ誕生で中核的な人物となったルイ・ロブションさん。ジョエル・ロブション氏の息子であり、少年のころから河村さんのファンだった。河村さんの曲なら全曲暗記しているというほどの。以前の記事でも言及したように、ワインを愛するふたりはワインを通じての出会い、いまでは友達だ。

「でも、シャンパーニュは個性の出るワインだとおもうし、ロブションの料理とレストランって、子供の頃に、お菓子の家って森のどこにあるんだろうって探したけれどなくて、その夢の世界がそのまま現実になったようだから、ルイ君、ロブションのシャンパーニュってどんなものなの? そういう興味からはじまりましたね。そうしたら、味のキレがはやくて、これだったらどんな料理にも合う!」

一昨日も一緒に夕飯を食べたんですよ、と、河村さんは補足する。その時もこのシャンパーニュを味わった。

河村隆一
LUNA SEAおよびTourbillonのボーカリスト。また、俳優・小説家・レーサー・音楽プロデューサーとしても活動。男性ソロアーティストのアルバム売り上げ歴代1位のレコードホルダーで、ワイン愛好家。

「そのときも話してたことだけれど、ロブションのお料理はケーキのようにデコラティブに見えるけれど、食べると素材の味がして、後味もすっきりとして飽きない。フレンチって食べ過ぎちゃうと胃もたれしたりしちゃうけれど、まったくないもんね。」

「それがロブションの哲学です。素材がよければ、それをシンプルに、あまり手をかけ過ぎずに昇華させたらいい料理ができるのです。」

ルイ・ロブション
ジョエル・ロブション グループを受け継ぐ、ジョエル・ロブション氏の子息のひとり。シャンパーニュ ラリエ ジョエル・ロブションほか、ワインの輸入販売を行う株式会社ルイRの代表でもある。

「うん。シャンパーニュにとっては、もっとも手頃なブリュットが美味しいことはとても大事で、今回のシャンパーニュもそう。爽やかでありながら、物足りなさのないしっかりしたところもある。でも、個人的にはブラン・ド・ブランは好きだな。シャルドネを感じて、白ワインみたいですよね。」

「アイ村のシャルドネだから珍しいものですが、ブドウの個性がでているでしょう?いいブドウが育てられれば、人の手をかけ過ぎず、このようないいシャンパンができる、というわけです。ロブションの哲学と一緒ですね。」

「ロゼは、乱暴かもしれないけれど、ぐっと冷やしてピザと合わせても美味しいだろうな。ロブションの料理にピザはないか。でもパンとチーズ、それにトマト?」

「合うでしょうね!」

「もちろん、僕はワイン造りに関わったわけではなくて、デザインもロブションのレストラン同様、森田さん(*)によるもので、それも含めて、お店の雰囲気に合っていますよね。」

*ラベルのデザインは、「シャトーレストラン ジョエル・ロブション」の内装を手がけるなど、これまで各種のロブション関連商品のデザインを担当してきた、GLAMOROUS.co.ltd.の森田恭通さんによるもの。ラベル中央には、ジョエル・ロブション氏がモデルになっている、巡礼者を描いた絵をもとにした図像があしらわれている。

「レストランは非日常の場所ですから、来てくださる方には夢を与えられるようなところでありたい。河村さんのライブとレストランってちかしいものがあるかもしれないですね。」

ワインに感じる歴史の魅力

河村隆一さんはニューアルバム「Beautiful Lie」に続き、2枚組のアルバムのリリースを予定している。そのアルバムの最後の楽曲は、このシャンパーニュに捧げられている。河村さんが大げさな曲になったという、まだタイトルも歌詞もついていないこの曲については

「このシャンパン美味しいをフランス語にしたものをタイトルにしようとかいってルイ君を困惑させていたます。みなさんにもできるだけはやく、聞いていただけるようになればとおもっていますが、発表はもう少し先になるかもしれません。この曲は特定のシャンパーニュに合わせて書いたというよりは、ヨーロッパの空だったり土だったり、歴史に対して、作曲していった、というほうが、ただしいかもしれないですね。この母なる土地じゃないとできてこないんだろうな、とおもうと、どんどんどんどん大げさになっていっちゃって。そして空。特に夏のヨーロッパは夜でも明るくて、あの明るいんだけれど憂いがある色。影響されましたね。」

「ラリエの畑も、ずっとブドウを育ててきた歴史があるでしょうから、このシャンパーニュ自体は新しく造ったものかもしれないですけれど、歴史を感じていたのでしょうね。それから、やっぱり、ロブションのゴージャスさ。ロブションさんの偉大さも曲に反映しているとおもいます。」

ワイン好きであることもファンにはよく知られている河村さん。特に、1970年代などの、ヴィンテージワインを飲んだときに、ワインに引き込まれたという。

「何十年も前の飲み物が飲めるということ自体も驚きますし、レンガ色をした古いワインならば、枯れた香りがしたっておかしくないとおもうんですけれど、そうじゃない。草や花、それこそ、バラの花束のなかにいるようなワインもある。ワインが好きになったのは、ロブションさんの料理と同じで、華やかさと素朴さとのおとぎの世界のようなギャップなのかもしれないですね。」

「河村さんにアンバサダーをお願いしたのは、私がファンだっただけではなく、特別なワイン、明らかに派手なワインや、有名・高級なワインでなくても、いいワインはいいと見抜くところなんです。」

「ワインが好きな人って、いいとおもったワインが10年、15年後に何倍もの値段になっていて、あのとき、もっと買っておけばよかった!っておもったこと、あるとおもうんです。だから僕は、ルイ君に教えてもらいながら、未来のシンデレラを探しているんですよ。この間も素晴らしいスペインのワインに出会って。それが5000円くらいなんです!」

と、河村さんは取材陣としばらくその話で盛り上がり、あっと止まる。

「ルイ君が今度、ロブションブランドで出すワインも美味しかったんだ。」

「あれも、スペインですよ。」

「あれ、いくらで出すの?」

「やっぱり、5000円くらいになりますかね」

「えっ!それはいいなぁ……」

終始、仲睦まじいこのふたりから、片や素晴らしいワインが、片や世界中を魅了する音楽が生まれる。創造的な友情が羨ましい。

シャンパーニュ・ラリエ ジョエル・ロブション
アイ村のシャンパーニュ メゾン ラリエがジョエル・ロブションを受け継ぐ、ロブションの子どもたちとともに生み出したシャンパーニュ。世界中のジョエル・ロブションの店でハウスシャンパーニュとして使われるほか、オンライン販売、小売販売もされる。15haのラリエの畑から選りすぐりのブドウで造ったこのシリーズは、写真左から、ブリュット NV(7,500円)、ブラン・ド・ブラン グラン・クリュ N.V.(10,800円)、グラン・ロゼ グラン・クリュ N.V.(9,800円)、そして日本限定のミレジム 2012(13,000円)からなる。*価格はいずれも税別

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