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村名アペラシオンの底力が炸裂、サントネイの赤にハマれ!

AOCの隠れた可能性 ブルゴーニュワインの村 vol.1 :サントネの赤ワインを発見しよう

伝説の特級畑をトップに置く、ブルゴーニュワインの格付けピラミッド。ブルゴーニュをそれなりに飲む人なら、理解している構図だろう。いつも目線はついついお山のテッペンへ。ただ、さすがにそれらはお値段も特級で、財布と相談しつつ「こっちもオイシイもん」と選ぶACブルゴーニュが、いつしかハウスワインに……

とはいえ、感性の鋭い人はさらに1歩先へ進んでいる。

特級畑とACブルゴーニュの間に挟まれた、地域限定アペラシオンや村名アペラシオンから、自分の財布と舌にフィットするお宝ワインを探し出すのだ。

ところで最近、村名アペラシオン物を飲んだご経験は?

かなりのブルゴーニュ通となった人たちがあらためてハマるという、渋好みの村名物。けれど、今まで大半のワイン通にスルーされていた状況のほうが、逆にオカシイ。村名を名乗るからには、その村で造られたワインならではの個性がきちんと表現されているし、一級畑となればまた凝縮感がアップ。

村名表記や畑の等級を決定するのは村人でなく、ワイン委員会が長期に渡って公平にジャッジした結果だから、名乗った産地の個性はワインからきちんと伝わってくる。

村名アペラシオンに縁がなかったら、ひとつ選んでみてほしいのがコート・ド・ボーヌのサントネイだ。

(c)BIVB www.armellephotographe.com

白ワインも 造っているサントネイ村だが、よく知られるのはやっぱり赤ワイン。

昨年開催されたウェブ・セミナーでサントネイの魅力について語ったソムリエの岩田渉さんは

「サントネイは、もともと力強いワインとして有名。産地がダイナミックなんです。地質はジュヴレ・シャンベルタンに似ていて、標高もユニーク」と太鼓判を押す。

サントネイはコート・ド・ボーヌで一番高い山、標高521メートル のモンターニュ・デ・トロワ・クロワを抱く。そこから川へ向かう斜面に畑が広がり、一級畑のサントネイ・プルミエ・クリュと村名のサントネイ、それぞれの畑(クリマ)が入り組んでいる。

サントネイ赤のキャラクターは、畑や造り手によって多彩さを魅せる。3本のサントネイ赤を試飲した岩田さんのコメントからもそれが納得できるだろう。

岩田渉ソムリエによるセミナーはこちらで確認できます。
youtube.com/watch?v=T8_Lfp2-u7Q

1.
Les Héritiers SAINT-GENYS
Santenay 2016
レ・ゼリティエ・サン=ジェニ
サントネイ 2016
2016年は、4月の霜害で生産量が激減した年。
「量は減ったが、質は申し分ないと言われています。このワインの第一印象は、チャーミング。もぎたての赤系果実に、華やかな牡丹やバラの上品なフレグランスが加わり、グラスを回すと少しヨード的なミネラル、スモーキーさが出てきます。口入れたアタックの瞬間から、非常にジューシーで、軽やか。チャーミングなだけでなく、余韻が長くクオリティが高い。この軽やかさには、ブルゴーニュ伝統料理ならポーチ・ド・エッグの赤ワインソース煮を。フードフレンドリーで肉料理とも合いますが、魚なら鰹のたたきなどと。ポン酢をかけると、よりワインと接点が多くなり、いい架け橋になります」
日本の調味料の使い方次第で、さらにペアリングが高まる、とか。

2.
Domaine Claude NOUVEAU
Santenay Les Charmes Dessus  2017
ドメーヌ・クロード・ヌーヴォー
サントネイ レ・シャルム・ドゥシュ 2017
かわいらしかった1本目とはまた違ったキャラクターを見せる、こちらのサントネイ。
「 レ・シャルム・ドゥシュ」という クリマ(畑の1区画)のブドウだけを使用。
「ひとつのクリマに限定されているだけに、テロワールの個性を如実に表現。スパイシーで土っぽさがあり、ジビエの動物的なニュアンスがあります。赤系果実にドライハーブ、きのこの香り。食欲を刺激する、旨味的な香りに溢れています。アタックはやや力強く、フルーツの凝縮感と豊かさで、横に広がっていくような芳醇な味わい。力強さだけが目立つことなく、キメの細かいなめらかな酸の質感が、フルーツのフレーバーを下支えしてくれます。タンニンの主張は、南側の産地ならでは。合わせるなら、鶏肉の赤ワイン煮込みや、鴨ロースを甘辛いタレで合わせた京料理などと。」
料理も、ワインと同じく複雑な要素を持つ食材を使った、存在感あるレシピがオススメだ。

3.
Domaine JESSIAUME
Santenay Premier Cru Les Gravières 2016
ドメーヌ・ジェシオム
サントネイ プルミエ・クリュ レ・グラヴィエール 2016
一級畑のコチラは、全体にまとまりがあり、温かみが感じられるサントネイだ。
「完熟したラズベリーやクランベリー、ドライジンジャー、またオレンジピールのコンフィといった柑橘系の香り。腐葉土やブラウンマッシュルームなど、土っぽい香りもスワリングすると出てきます。アタックはソフトで柔和なキャラ。つややかで緻密な酸が、豊かな赤い果実、黒い果実と交わります。タンニンがかなり多く、主張の強さはあるが、荒々しくはありません。ボリュームはありながら、キメ細かい酸のニュアンスでしなやかになり、アプローチのしやすいワインに。同じワインでも、2017年になると、今度は酸のレベルがより高く、またフルーツの甘やかなニュアンスも強くなりますよ。」
和牛のイチボのたたきに軽いコンソメジュレをのせ、最後に黒七味を振った一品が合う、とのこと。

(c)BIVB Aurelien IBANEZ

かつては温泉でも有名だったサントネイは「ワインより水」と湯治客が押し寄せ賑わってきた村である。ワイン産地としてのイメージが隠れがちなのは、知名度がまだ発展途上なのも理由かもしれず、まだあと数年は隠れた銘醸地のまま? なら、なおさら狙い目だ。

好きなワイン産地を尋ねられたとき、「ブルゴーニュのサントネイかな。」なんてサラリと答えてみたら、「お、渋い……(知名度ばかりを追わず、本質を理解するヤツ!)」と一目置かれること間違いナシ??

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